リード・ギター:後編 | 元祖!ジェイク鈴木回想録

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私の記憶や記録とともに〝あの頃〟にレイドバックしてみませんか?



 これはまた異なる。

 LED ZEPPELIN「Kashmir」
 https://www.youtube.com/watch?v=sfR_HWMzgyc

 荘厳な管弦楽団の演奏が全体を覆い尽くしているため、「Carouselambra」と似たような印象を受けるものの、リフを作曲したのも弾いているのも〝リード・ギタリストの〟ジミー・ペイジである(と思われる)。ご本家LED ZEPPELINの特にこのスタジオ・ヴァージョンでは、管弦楽によれたテープのような音響効果を施している故に判り辛いが、LED ZEPPELINの〝究明バンド〟Mr.JIMMYの生演奏で聴いてみたら、この楽曲のこのテンションが如何にリード・ギターに依って担われているか一耳瞭然・・、っちゅうか、青天の霹靂の感でさえあった。

「Carouselambra」はジョーンジィー(:ジョン・ポール・ジョーンズ:b./kb.)の〝リード・シンセ〟に依る楽曲・・、っちゅうよりも、むしろ「シンセで大まかに作ってみたから、後はペイジさん(※1つ年長なので〝さん〟付け)、何か格好いいギターのリフを考えてよ?」ってな段階・・、つまり、作りかけのような感じがしてならん。

 エレキ・ギターっちゅう楽器は、主に天然素材の木材で構成されているため、気温や湿度の影響を受けた経年〝優〟化が度々起こり得る。
ペイジが愛用している1958年製のGibson Les Paul Standard等は、まさにその最たる一品だろ?
「Carouselambra」でも間奏部の4:08辺りから、それもまた愛用機の1本(:2本?笑)であるGibson EDS-1275・・、即ち、ダブルネック・ギターを使用していて、それもまたまさしく、映画『狂熱のライブ』の「天国への階段」を彷彿させていないか?

 極めて個人的な偏見ながら、私はシンセサイザーの音が好きじゃない。
何でかって?ロックっぽくないから、全然。
アレは持たざる者達がおいそれと買えて、おいそれと修得出来る楽器じゃあねーんだよ。
しかも、楽器そのものは劣化しなくても、テクノロジーの急激な進化に依って、すぐに時代遅れの音になりがちだ。

 アルバム『IN THROUGH THE OUT DOOR』の制作時、ロバート・プラントの喉が潰れ、リード・ギタリストがスタジオに来たり来なかったりしていたら、彼とボンゾ(:ジョン・ボーナム/ds.)でバンドを引っ張るしかなかったのが、たった4人しか居ないバンドの宿命・・。
だったらジョーンジィーには、リード・シンセじゃなくてリード・ベースで奮闘してほしかったよな!名曲「Blackdog」みたいに!
ご存知かどうか、「Blackdog」のあの複雑なリフはジョーンジィー作で、制作当初、御大は弾けなかった・・、らしひ。(笑)

 その満身創痍の(?)創作過程の中で、怪我の功名みたいな名曲「All Of My Love」が生まれている。

 この楽曲を例えばサイモン・フィリップスが叩いていたら、もっと上手に、もっと流暢に仕上がっていたのかも知れないけど、このどーしようもない悲壮感は、ボンゾの〝リード・バスドラ〟ならでは、だろ!
まさに慟哭のドラム!
愛息を失ったばっかしのロバート・プラントの、ボンゾはLED ZEPPELIN以前からの親友だからな・・、プラントの歌唱に泣きながらバスドラを踏んでいたような・・。(※単なる個人的な感慨で、事実か否かは知りません。)

 LED ZEPPELINたあ、そーいう生々しい人間繋がりが非常に露骨なバンド故に、『IN THROUGH THE OUT DOOR』では特にリード・ギタリストのサボリもまた顕著に表れた・・、と云ってしまえば身も蓋もないんだけど。(笑)

 活き活きとしたペイジ・・、否、リード・ギターたあ、これだ!

 LED ZEPPELIN「The Song Remains The Same」
 https://www.youtube.com/watch?v=KGvr-2THzNI

 幾重にも多重録音されたペイジのギターが、まさにバンドを引っ張っているだろう!?
曲の長さは「Kashmir」や「Carouselambra」に及ばないものの、エレキ・ギターだけで、この聴き応え!(クドイようだが、如何にペイジとは云え、同時に弾けるのは1本だけ!笑)
起伏に富み、終わるのか?終わるのか?と思わせつつ、巧みに繋がれていく物語的な構成もまた、このバンドの真骨頂だろう!?

 だからな・・、時々思う。
その後、LED ZEPPELINが続いていたとしても、リード・ギターやリード・バスドラが不在だったら、聴き続けていたか?否か?
これもまたクドイようだが、リード・シンセなら要らん・・、YMOとか大嫌いだしな!(笑)
今でも聴いているTHE ROLLING STONESや、AEROSMITHや、KISSは、その膨大なキャリアにも違わず、キース・リチャーズや、ジョー・ペリーや、エース・フューリの貧乏臭えギターが傲慢に輝いていた、主に'6~70年代に於けるごくごくごくごく一時期の楽曲に過ぎん。

 既に録音されている音は、昔も今もまったく変わんねーんだからよ!


※文中敬称略