こちらは、最近読み終えた1冊です。
アメリカの作家:ロバート・L・フィッシュの『シュロック・ホームズの冒険』。
本作の存在は、以前読んだムック本で知り、いつか読んでみたい…と思っていたのですが、たまたま立ち寄った(=普段行かない)本屋さんで見つけたので、迷わず購入してきました。
本作のホームズは“シャーロック”ではなく“シュロック”(ちなみに“ホームズ”の英語標記も“Holmes”ではなく“Homes”)、相棒はワトニイで、住んでいる部屋もベイグル街221B…と、そこから既に茶化してます(^^;)。
肝心な探偵としての能力は…というと、行動力こそ御本家に迫るものがありますが、その観察力・推理力のほうは、完全にあさっての方向(^^;)。
お得意のひと目で相手の素性を掴む観察はことごとくはずす(そのくせ説明だけはそれっぽい)、事件も結果的に(!)解決すれば幸運なほうで、事態を最悪の結末に導くこともしばしば。
にもかかわらず、本人(達)にはまったく悪気もなければ反省もなく(大惨劇に導いてもそれ気がつかない鈍感力は半端ないです…^^;;)、世間からも“名探偵”として一目置かれているのですから、たいしたもの。
物語上の設定だけでなく、語呂合わせによる遊びや隠語・俗語による“言葉遊び”もふんだんに使われており(日本語訳においてもそんな“言葉遊び”を再現に努めていることがよくわかります)、作者の“遊び心”があちこちで炸裂しています。(前述のムック本によると、翻訳不能な言葉遊びが多いらしく、原文(英語)で読めたら、更に楽しめるそうです…)
シリアスな“御本家”を、「これでもか!」というくらいに茶化している物語ですが、作者がドイル作品をこよなく愛しており、そのストーリー展開などにも通じていて、その上で徹底して遊んでいるんだろうな…ってことも、よくわかります。だから、“御本家”を茶化されたことに対する怒りよりも、そのギャップが生み出す面白さの方に惹かれちゃう。
やるなら徹底的に!の手本のような、見事なパロディー作品でした(^^)。
- シュロック・ホームズの冒険 (ハヤカワ・ミステリ文庫 42-1)/ロバート L.フィッシュ
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