本作ではついにロシアへ!シャーロックの兄・マイクロフトにかけられた容疑を晴らすべく奔走するシャーロックを描いた作品です。
その職業がらなのかシャーロックの兄であるマイクロフト・ホームズは、“影で暗躍する冷徹な頭脳派”で、自身の計画のためなら実弟でも“駒”として平気で利用できるヤな奴で何かとシャーロックと衝突することが多いキャラとして描かれ、その結果として兄弟仲が険悪だったり兄弟というよりライバル関係のような設定(肉親かつ、互いの才能を認めているからこそ発生しする関係性でもあるのですが…)になっていることが、僕が知る限りでのパスティーシュでは多かったりすのですが、このシリーズではマイクロフトは弟・シャーロックの父親代わりとして自身に出来うる最大限のことをしているし、シャーロックはそんな兄・マイクロフトを尊敬しその期待に応えようとしている…といった感じで、「弟思いのマイクロフト」「兄貴大好きっ子のシャーロック」という、極めて良好な兄弟関係で描かれています。
そんな尊敬する兄が容疑者にされた挙句にその命が狙われているとあっては「兄貴大好きっ子」としてはいてもたってもいられず縦横無尽に奔走!
そんなホームズ兄弟の兄弟関係を描く一方で、前作までシャーロックの師であった人物との関係は少々微妙に。ただ、この微妙な関係性の変化はシャーロックの「自立への第一歩」でもあり、本来の読者ターゲット層(~中高生)に宛てたメッセージとして、好感を覚えました。
本家ドイル作品との“つながり”を暗示するシーンは本作でも健在。しかも今回は、満を持してあの「重要なアイテム」との出会いが登場!その「オチ」はもちろん知っているのですが、そこに至るまでの経緯は、なかなかに説得力があって面白かったです。
このシリーズ、ティーン・エイジャー向けらしい“キラキラ感”や“盛った感”は、やはり最後までくすぐったく感じましたが(^^;)、少年期のホームズの成長談として非常に読み応えがある素晴らしい作品でした。
現時点では、この第3作が最新のようですが、この続きが出たらぜひ読みたいな(^^)。
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