翻訳家・日暮雅通さんのエッセイ『シャーロッキアン翻訳家 最初の挨拶』。本書のための書き下ろしではなくミステリ・マガジンやご自身が翻訳された書籍のあとがきや解説文などに加筆・訂正を加えてまとめたものです。
ホームズに関するマニアックな話はもちろんのこと、パロディ/パスティーシュの歴史や分類、翻訳に対する姿勢など、どれも非常に濃い内容でしたが、近所の“ホームズ大好き叔父さん”が、珈琲(いや、ウイスキーかな…^^;)を呑みながら「実はね、こんな話がありまして…」なんて感じで同じ目線から話をしてくれるような優しさのある文章で、最後までリラックスして楽しく読むことができました。
特にパスティーシュに関する一連の文章は、その歴史や分類・分析を淡々と書き連ねるだけでなく、パロディ/パスティーシュ作品群やその作者に対する愛情や敬意を感じるもので、「この人が紹介してくれた本なら、絶対面白いよな」なんて思いました。(そんなふうにしてまたホームズ関連本が増えていくワケですが…^^;)
また、“翻訳”に関する一連の文書も、本業(職業翻訳家でありホームズ研究家でもある)に関わる部分だけあって、本書の中でも特に熱く読み応えがありました。ここで書かれていた翻訳家・日暮雅通の主義主張は多いに共感できるものがあり、あらためて「この人が関わっている本なら、選んでも安心だな」なんてことを思いました。
本書の帯に「シャーロッキアン翻訳家、初の書籍にして集大成!」という一文があるのですが、ぜひ第2弾!第3弾!を読みたいものです。
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