今回は少々やらしい話…ながら残業というものを考えるにあたり、避けて通れない話なぞ。
前回のブログに登場したAさんとBさんの、ある1か月(以下□月)の給与計算をしてみます。
Aさん・Bさんの基本給は200,000円/月。
□月における彼らの所定労働日数は20日で、2人とも無遅刻無欠勤。休日出勤なし。
Aさんは毎日「100」を8時間でこなしたため、20日間中、1日も残業しませんでした。
Bさんは毎日「100」をこなすのに10時間かかり毎日2時間残業、□月の残業時間数は40時間(20日×2時間)でした。
とまぁ…例によって教科書のような値ですが、そのほうがわかりやすいので(^^;)。
では、さっそく。
Aさんの賃金計算はとても簡単。無遅刻無欠勤で休日出勤も残業もなしですから、□月の給与は200,000円也。
実務者からすると、一番楽なパターンで「みんなが毎月こうならいいのになぁ~ッ!」ってな感じです。まず、あり得ませんけど(^^;)。
続いて本日のメインイベント(?)、Bさんの賃金計算。
Bさんは残業をしているので「割増賃金」を出すことになります。割増賃金を計算するには、時単価を出す必要があるのですが、これを今回はあえて面倒な方法で計算します。
まず日額を(=1日あたりの給与)を計算します。
Bさんの月給は200,000円ですから、その日額は次の計算で出ます。
月額:200,000円÷所定労働日数:20日=10,000円
次に時単価。上の計算で出た“日額”を1日の所定労働時間で割れば計算できます。
日額:10,000円÷1日あたり所定労働時間:8時間=1,250円。
いよいよ割増賃金の計算です。
1日8時間を越えた場合の割増率は皆様ご存知のとおり通常の賃金の2割5分増。
ちなみに労基法の条文では2割5分“以上”としています。もっとも「ウチの会社は2割8分増にしています」…なんて話はあまり(まったく?)見聞きしたことは、ありませんが…^^;)。
話を戻して。
1時間あたりの割増賃金は次のような計算で算出できます。
時単価:1,250円×1.25=1,563円(小数点以下の端数切上しました)
これに1か月の残業時間数をかければ、□月の残業代が算出できます。
残業時間:40時間×割増賃金/時間:1,563円=62,520円
これでBさんの□月における給与額を計算するすべてのパーツが揃いました。Bさんの□月の給与は基本給:200,000円に残業代:62,520円を足した262,520円也。
長々と書いてきましたが、Aさん・Bさんの□月の給与を、現行の法令に則って計算すると、こうなりました。
Aさん:200,000円
Bさん:262,520円
ちょいとやらしいですが、あるいはこう書くと、どんな印象を持つでしょう?
「100」という仕事を8時間で終わらせるAさんの給料は、200,000円でした。
「100」という仕事を10時間で終わらせるBさんの給与は、262,520円でした。
AさんとBさんとの間には
日額にして3,126円(帰りに居酒屋で一杯呑めますね…^^;)
月額にして62,520円(HPのノートPCが買えますね…^^;)
仮に…この状況がもし1年続いたら…(計算してください)
これをBさんの同僚であるAさんが知ったら…はたして納得するでしょうか…?