カラマーゾフの兄弟を読み進めているが、なるほどと思いながら読めていない。
もう少し、自分に響くような形で読むことができないだろうかと思って、本書を手にとった。
佐藤優は言わずと知れたロシアの専門家。
そして、同志社の神学部出身ということもあり、宗教・キリスト教にも詳しい。
この2点はドストエフスキーを理解する上では必須なのだろう。
本書では「五大長編」を紹介しており、「カラマーゾフの兄弟」以外にも
「罪と罰」「白痴」「悪霊」「未成年」も取り上げる。
最終的にはどれも読めねばとの気にさせられた。
紹介されていた「土壌主義」はこのロシアの土の上にいるわれわれは、
知識人でも農民でもユダヤ系でもドイツ系でも正統派でも分離派でも、
みんなロシア人なんだ、大地の子なんだ、というロシア固有の思想・イデオロギーとのことで、なるほどと思った。
そして、資本主義が拡大一途のエントロピー構造を持つ一方で、
ロシアがグローバル資本主義にならなかったのは耐エントロピー性があったからというのも、
この土壌主義にも関連しているのだろう。
こうしたロシアの根本的な考え方を本書を通じて知ることができ、
今後「カラマーゾフの兄弟」を読み進める上で、少しは足しになることを期待するが、そうは問屋が卸さないだろう。
一回読んだだけでは結局よくわからないだろうから、
これからの人生、何度か読むつもりで気長に取り組んでみたい。
そして、この「わかりたい」という気持ちがきっと大事なんだと思いたい。
