軽薄な自己啓発本ばかりに手を出すのではなく、
意識的に小説を読もうと意識している。
できることなら名著・古典といきたいところだが、
集中しないとすぐに迷子になってしまうので、読みやすそうなのを選んでいる。
それでも、なかなか入り込める作品に最近出会わないのだが、本作はかなり入り込めた。
佐藤正午氏の著書は直木賞受賞作品ということもあって、「月の満ち欠け」を読んだが、
イマイチ自分には刺さらなかった。
それにも関わらず、本書を手に取ったわけだが、読めてよかった。
不運が重なり、多くの大切なものを犠牲にしながら、それでもなんとか生き抜こうとする女性の話。
自分とは性別は違えど、感情移入せざるを得なかった。
それにしても、こんなに思うようにならない人生なのに、
ここまで粘り強くいきようとするのは、女性だからなのではないかと思った。
息子への愛が原動力になっていて、見栄とか損得とかに引っ張られず、
純粋に愛のために生き抜こうとしている姿に心打たれた。
そんな目立ったストーリー展開でもないのだろうが、
とにかく読ませる良い文章だったのだろう。印象に残る作品だった。
