これまで1と2まで読み進めてきた「大地の子」。
3と4も一気に読んでしまった。
妹や日本の父との再会があまりにも偶然すぎる点や、
昔の恋人だった丹青とは嫌な別れ方をしたにもかかわらず、
最後には偶然の積み重ねで丹青が一心を救済するに至るなど、突っ込みどころは多い。
それでも、ハラハラする展開に加え、当時の時代背景や状況が鮮やかに思い浮かぶような描写に引き込まれる。
幾度となく理不尽な出来事に見舞われながらも、あきらめず誠実に立ち向かい、
その結果として救いの手が差し伸べられ、
なんとか持ち直す、この流れは少しでき過ぎで、人生の理想的な側面を強調しすぎている感もある。
しかし、読んでいて思うのは、自分も理不尽に愚痴ばかり言うのではなく、
少しは受け入れ、都度立ち向かい、力強く人生を歩まなければならないということだ。
現実の人生でここまで正義が勝つことはまずないし、このパターンを信じるだけではあまりにナイーブだ。
理不尽が起きることを前提に生きるべきだし、あきらめず一心のように誠実に戦ったとしても、
その先に勝利の道が開かれる保証はない。
それでも、こうして生きることは美しいし、何より人生を終えるときに自分自身に納得がいくような気がする。
結果に執着せず、その過程を自分に正直に、誠意を尽くしてやり続けられるか、それを日々自分に問い続けることだ。
本書は、そんな生き方を確認させてくれる一冊だった。

