「世界は文学でできている1」を読んでタメになったので、本書も手に取った。

 

今回は、フランス文学を専門にされている野崎歓氏のセクションもあり、

さらには、これまで知らなかった英米文学を専門にされている都甲幸治のセクションも興味深く、とても充実していた。

 

そして「蹴りたい背中」でおなじみの綿矢りさ氏も。

名前や著作名は良く聞いていたが、読んだことはなかったので、

こういったところでその一端を知ることができてよかった。

 

本書のおかげで、都甲幸治氏の書籍も手に取るに至ったし、

今も Raymond Carver の短編集を少しずつ読み進めている。

 

ただ、自分としてはやっぱりしっかりとフランス文学を原著で読みたい。

紹介されていたアゴタ・クリストフ(ハンガリー出身)やミラン・クンデラ(チェコ出身)は、

非母語であるフランス語でそれぞれ執筆していて、

どのようなフランス語を書いているのかが気になるだけでなく、

外国人として見たフランスの見方に共感できるのではないかとの期待もあり、必ず読みたい。

 

といった感じで、同シリーズ(やっぱり世界は文学でできているシリーズ)は

良い気づきが次々とあって楽しめるので、他の作品も読み進めたい。

 

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1. 文学論・概念の考察

  • 「もののあはれ」と「焼きが回る(感傷)」の違い

    • もののあはれ: 単なる感傷ではなく、主観と客観のダイナミックな出会いを含んでいる。

    • 焼きが回る(感傷): 客観と正しく向き合えておらず、自分自身に対する憐れみ(自己憐憫)による涙に過ぎない。

2. 推奨・言及されている文学リスト■ 野崎歓が推奨するフランス(語)文学ベスト10

  1. ルソー『告白』

  2. シャトーブリアン『墓の彼方からの回想』

  3. スタンダール『赤と黒』

  4. ネルヴァル『火の娘たち』

  5. ランボー『ランボー全詩集』

  6. プルースト『失われた時を求めて』

  7. カミュ『異邦人』

  8. デュラス『ロル・V・シュタインの歓喜』

  9. シャモワゾー『カリブ海偽典』

  10. ウエルベック『地図と領土』

■ 沼野充義が推奨するフランス(語)文学ベスト(抜粋)

  • スタンダール『赤と黒』(情熱)

  • カミュ『異邦人』

  • フランソワ・ラブレー『ガルガンチュアとパンタグリュエル』(過剰)

  • ヴォルテール『カンディード』(理知)

  • 野崎歓『異邦の香り――ネルヴァル『東方紀行』論』(彷徨)

  • 堀口大學編訳『月下の一群』(官能)

  • レーモン・クノー『地下鉄のザジ』(実験)

  • サン=テグジュペリ『星の王子様』(純粋)

■ 都甲幸治が若い読者に勧める英米・英語圏文学10冊(解説付き抜粋)

  • ヘンリー・デイヴィッド・ソロー『森の生活』

    • 自ら小屋を建てて生活を実践した、有言実行のすごみがある衝撃的な作品。

  • リチャード・ブローティガン『西瓜糖の日々』

    • 簡単に見えて一筋縄ではいかない、不思議な魅力と怖さをあわせ持つ特別な存在。

  • トニ・モリスン『青い眼がほしい』

    • 白人の「美」の象徴(青い眼)に憧れ、精神的に追いつめられていく黒人少女を描いた傑作。

  • J・M・クッツェー『マイケル・K』

    • 周囲から人間とみなされない主人公がどう生きるかを描いた、現代世界文学最高峰の小説。

  • マーガレット・アトウッド『侍女の物語』

    • 近未来のディストピアで「子産みマシーン(侍女)」とされた女性の運命を描く衝撃作。

  • カズオ・イシグロ『日の名残り』

    • ファシズムに加担する主人に仕え、自らに嘘をつきながらも揺らぐ執事の微妙な心理を描く。イギリス文学でありながら日本文学のようでもある。

  • その他の推奨作:

    • エドガー・アラン・ポー『黒猫/モルグ街の殺人』

    • ジャック・ロンドン『野性の呼び声』

    • F・スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』

    • J・D・サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』

■ 綿矢りさのおすすめ3冊 + α

  1. オルコット『若草物語』

  2. スティーヴンソン『ジーキル博士とハイド氏』

  3. 吉本ばなな『TUGUMI(つぐみ)』

  • +α:フィッツジェラルド『若者はみな悲しい』

3. その他の注目すべき文学作品・作家・書籍日本文学・日本語の特性

  • 谷崎潤一郎「吉野葛」: 随筆から幻想的な世界へと入り込む、フランス文学には珍しい日本特有の書き方。

  • 水村美苗『私小説 from left to right』: 翻訳なしの英語が約2割混在する、破天荒なバイリンガル小説。

  • 石牟礼道子『苦海浄土』: ソ連のソルジェニーツィン『収容所群島』に匹敵する、巨大な記録文学。

  • 林芙美子『放浪記』: ぜひ一読を勧めたい作品。

  • 蓮實重彦『反=日本語論』: 野坂昭如とロラン・バルトを同時に受容できる、日本の読書文化の特異性を指摘。

現代フランス文学と移民作家

  • アゴタ・クリストフ(ハンガリー出身)やミラン・クンデラ(チェコ出身)など、非母語話者である移民作家が参入し、フランス語の境界が大きく揺らいでいる。

  • マブルーク・ラシュディ『郊外少年マリク』: ラップやインターネット世代の息吹を感じさせる現代作。

アジア・ラテンアメリカ・その他の文学

  • 魯迅「阿Q正伝」: 近代中国を考える上での原点。

  • 莫言『酒国』: 推奨される現代中国文学。

  • エドムンド・デスノエス『低開発の記憶』(野谷文昭訳): 第二次世界大戦後を背景に、キューバの文学青年を主人公とした小説。

  • サルマン・ラシュディ: 『悪魔の詩』(五十嵐一訳)で知られる作家。

  • その他注目の作家: イーユン・リー、ジュノ・ディアス、ミランダ・ジュライ。

4. 文学原作の映画ベスト10(野崎歓・偏愛選)

  1. 『黄金の馬車』(監督:ジャン・ルノワール / 原作:メリメ)

  2. 『やさしい女』(監督:ロベール・ブレッソン / 原作:ドストエフスキー)

  3. 『めまい』(監督:アルフレッド・ヒッチコック / 原作:ボワロー&ナルスジャック)

  4. 『快楽』(監督:マックス・オフュルス / 原作:モーパッサン)

  5. 『去年、マリエンバートで』(監督:アラン・レネ / 原作:ロブ=グリエ)

  6. 『恋のエチュード』(監督:フランソワ・トリュフォー / 原作:アンリ=ピエール・ロシェ)

  7. 『ロバと王女』(監督:ジャック・ドゥミ / 原作:シャルル・ペロー)

  8. 『流れる』(監督:成瀬巳喜男 / 原作:幸田文)

  9. 『近松物語』(監督:溝口健二 / 原作:近松門左衛門、川口松太郎)

  10. 『秋津温泉』(監督:吉田喜重 / 原作:藤原審爾)

    • ※『秋津温泉』は岡田茉莉子主演で、日本のメロドラマの最高峰とも評される名作。