また、読みやすい本を手にとってしまったと読み始めた際に思った。

しかし、読み進めていくうちに、自分の問題意識にも合致することも多く、楽しみながら読んだ。

 

大手銀行でエースだったものの、出世競争にやぶれ、子会社に出向し、そのまま定年を迎えた人の話。

定年と言っても、その後の人生も長く、本書はそれを如何に過ごしていくかにフォーカスを充てている。

自分もそのことについて時折考えることがあるものだから、内容が自分にささってしまった。

 

定年を迎えると、やることがない。

妻との旅行、恋愛、趣味、大学など色々と試すが、どれも本来的にやりたいことではなく、

やはり自分は仕事がしたいのだと気づく。

そこで、たまたまジムで知り合ったスタートアップの若手社長から乞われて、その会社の顧問につくと、

いろいろあってその会社の社長を務めることになる。

そのシナリオ自体、そんなうまい話しがあるかい、と反応してしまったが、

その会社が結局倒産してしまってみじめな結末を迎えることになったストーリーにはむしろ安心感を感じた。

なぜなら、結局、人生うまくいかない方が普通だからだ。

 

そのようにうまく行かなかったとて、幸せであるかは自分次第であり、

見た目でうまく行っているように見えても、その人自身が幸せであるとは限らない。

 

本書ではこのようなコメントを度々目にすることがあり、そうだよなと思わされたが、

具体的なコメントは忘れてしまい、メモをとればよかったと今では思う。

 

自分に正直にやりたいと思えることを磨くに限る。それは定年を迎える前からやるべきである。

そして、人との関わりが死ぬまで重要だということを思わされるとき、

その関わりをうまくできる自分でありたいと思うとともに、妻との関係は大切にすべきと痛感させられた。

 

読むことができてよかった。

 

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