今日の一曲
【つづき】
熱海に泊まったその日はゆっくり始まった。なにせ当時は毎日朝4時に起きていたオィラ、連絡しそびれたところに連絡するっていっても、そんな早朝からする必要もない。
横浜から葬式屋さんが到着してこちらの葬式屋さんと引き継ぎをする。
横浜から牧師さんがきてスピーチ用の話を聞かれる。
納棺師さんが“死に化粧”を施す。
淡々と、粛々と、進んでゆく。いきなりではあったが、80を過ぎた年寄り。『もう充分だろ』という空気がある、というよりオィラが作り出していたのかも知れない。
『じゃこれで横浜に向かいます。 事務所で待ってます。』
と葬式屋さんが霊柩車ならぬ寝台車を熱海から横浜へ出発させたのは13:00頃だったのか。
牧師さんはほどなくしてバスで熱海駅、そこから電車で横浜へと向かう。これが彼の悲劇の始まりとは気づかないまま。
オィラと兄はしばらく母の部屋を掃除する。必要な書類を探したり、いらないものはゴミとして捨てたり、金目のものを物色したりといえなくもない(笑)。
1時間ほどして
「あんまり横浜で葬式屋さん待たせても悪いからそろそろ行こうよ」
と言ったが兄はまだやると言い張る。
兄は牧師さん同様、電車移動なのでオィラと一緒にクルマで移動したほうが効率的ではある。
結局先に行くことにした。もしも最悪の事態になっていたらこれが最善の策ではあったが、このあとに起こる事態をまだ誰も知らない。
『そうだ、世話になる親戚に干物買って行こう❗』
『この辺くらいからNack5入る(=受信できる)んだよなぁ』
とカーラジオの周波数を79.5(だからナックファイブ)に合わせたのが14時46分だった。
【まだつづく】