新加算における自立支援について | 福祉事業開業支援の行政書士ブログ

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■新加算における自立支援について

こんにちは。行政書士の浅井です。
障害児等通所支援事業において、令和6年度報酬改定では自立支援について2つの加算が新設されましたので、その内容についてお伝えいたします。

1.通所自立支援加算
こどもの状態等も踏まえながら、通所や帰宅の機会を利用して自立に向けた支援を計画的に行った場合に算定できる加算です。
単位数:60単位/回(算定開始から3月を限度)
要件:学校・居宅等と事業所間の移動について、自立して通所が可能となるよう、職員が付き添って計画的に支援を行った場合

2.自立サポート加算
高校生について、学校や地域との連携の下、学校卒業後の生活を見据えた支援を行った場合に算定できる加算です。
単位数:100単位/回(月2回を限度)
要件:高校生(2年生・3年生に限る)について、学校卒業後の生活に向けて、学校や地域の企業等と連携しながら、相談援助や体験等の支援を計画的に行った場合

このように、お子様の年代や状態を踏まえて自立支援を提供することが評価されます。
ではここで示されている自立支援とはどんなことを指すのでしょうか?一言で支援と言っても多くの関わり方があるかと思います。今後の支援を組み立てていくためにも、まずは基本的な自立支援の概要から確認していきましょう。

2.自立支援とは
自立とはどういったことを指すのかについては、厚生労働省が障害福祉サービスにおける自立の概念を公表している資料があります。確認してみましょう。
自立の概念
「自立」とは、「他の援助を受けずに自分の力で身を立てること」の意味であるが、福祉分野では、人権意識の高まりやノーマライゼーションの思想の普及を背景として、「自己決定に基づいて主体的な生活を営むこと」、「障害を持っていてもその能力を活用して社会活動に参加すること」の意味としても用いられている。

厚生労働省は自立を「自己決定に基づいて主体的な生活を営むこと」「障害を持っていてもその能力を活用して社会活動に参加すること」というように示しています。
つまり放課後等デイサービスで言う自立支援は、
・お子様が自ら考え主体的に生活ができるよう支援すること
・お子様が卒業後社会活動に参加できるよう支援すること

この2つの観点で支援を提供していくことであると考えられます。
自立支援の重要性
先述の通り、自立の概念は厚生労働省が明文化しており、その重要性は報酬改定にかかわる議論の中でも言及されています。

・学童期や思春期のお子様が、自分で何をするかアイデアを出しながら、自分の生活をマネジメントできるようにしていくことが重要であること
・家庭においては、自分で組み立てて出来る活動を増やしていく視点が重要であること
・高校年代になると就労への移行や進学に向けた準備もあることを踏まえて、それぞれの年代に応じた支援を推進することが必要であること

このようにお子様の年代によって必要な支援は異なります。事業所としては、お子様の今だけでなく将来を見据え、主体的に生活ができるようになることを念頭においた支援の実施が重要です。また、主に高校年代において、学校卒業後の就労等に向けた準備が必要になります。お子さまに合った就労準備の支援ができるよう、体制を整えておくことも必要です。

3.自立支援の現状
自立支援について、現状支援を提供したことによる加算評価はなく、支援内容も多岐にわたります。ではどんな支援を提供していくべきなのか、過去の報酬改定に関する検討会資料の中で「自立等に向けた支援」と「就労等に向けた支援」という名目で実状の報告がありました。それぞれ確認しましょう。
自立等に向けた支援の現状
自立等に向けた支援では、お子様が事業所へ通う際に職員が同行して、公共交通機関の利用を促す等、こどもの自立や地域生活を見据えた取り組み事例があることが過去の報酬改定資料で紹介されています。
就労等に向けた支援の現状
続いて就労等に向けた支援について、高校年代においては就労への移行も重要な自立支援の要素でしたが、放課後等デイサービスでは現状、どのような就労に向けた支援が実施されているでしょうか。厚生労働省の調査では、いくつかの事例が挙げられています。

■事業所内でできること
・就労先や実習先を見据えて、実際の現場に近い空間や流れを作って作業練習を実施する
・就労した後に必要なスキルや体験(対人関係、余暇活動の展開、お金を使う体験など)ができるプログラムを提供する

■事業所外でできること
・近隣の企業や就労支援施設と協力して見学や体験を実施する

このように将来の自立等に向けた支援の実状が報告されました。報告書の内容を踏まえて今回の報酬改定では、通所や帰宅の機会を利用して自立に向けた支援を計画的に行った場合や学校卒業後の生活を見据えた支援を行った場合に評価されることが盛り込まれました。
先述の報酬改定の改定内容についてもれなく確認し、改定に備えましょう。


4.まとめ
令和6年度報酬改定の改定事項確認
ここまで令和6年度報酬改定で将来の自立等に向けた支援の充実に関わる部分をピックアップし、現状を確認してきました。
今回お伝えしてきた内容を最後にまとめますと以下の通りとなります。

■従来の将来の自立等に向けた支援
・自立等に向けた支援に関する加算の評価は令和5年度までは存在せず

■改定内容と概要
・通所自立支援加算の新設
学校・居宅等と事業所間の移動について、自立して通所が可能となるよう、職員が付き添って計画的に支援を行った場合に算定可能

・自立サポート加算の新設
高校生(2年生・3年生に限る)について、学校卒業後の生活に向けて、学校や地域の企業等と連携しながら、相談援助や体験等の支援を計画的に行った場合に算定可能

今回の報酬改定では自立支援に関する論点以外にも、様々な内容が改定されていますので、要件よくご確認いただいた上で、加算を取得するようにしましょう。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本日が皆様にとって素晴らしい日となりますように。