超加工食品はすでにジャンクフードだけなのではなく

 

冒頭の記事は英国の報道で、「超加工食品が子どもの摂取カロリーの 3分の2を占めていることが判明」というもので、そこに衝撃的な調査でという冠で強調されているものです。

 

日本でも、子ども(だけではないでしょうが)の摂取カロリーの大部分が超加工食品からであることは同じだと思われます。

 

「しかしなあ…」

 

と、ふと思いますのは、ここにあります「超加工食品」というカテゴリーは、あまりにも広くなっているため、何が超加工食品で何が超加工食品ではないかが今では曖昧となっている感じがするのです。

 

超加工食品の規定は何かというと、たとえば、最近の医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルのレビュー記事によれば、

 

超加工食品の例には、調理済み食品、包装された焼き菓子、スナック、砂糖入りシリアル、炭酸飲料などが含まれる。これらの食品は複数の工業的加工工程を経ており、通常、着色料、乳化剤、香料、その他の添加物が含まれている。さらに、添加糖、脂肪、塩分が多く、食物繊維やビタミンが少なく…

 

等とあります。

 

しかし、冒頭の写真を見ていますと、いわゆる超加工食品といわれるものの「根幹」としては、

 

「小麦粉 + 植物油 + 砂糖」

 

がメインとなっているものが多そうです。

 

以下は、今回ご紹介させていただこうと思っている米エポックタイムズの「超加工食品は 32の健康リスクと関連している」という記事にある写真ですが、これもまた「小麦粉 + 植物油 + 砂糖」が際だっています。

 


Epoch Times

 

実際には、これらの「小麦粉、植物油、砂糖」から完全に逃れられるのは日常では難しいとは思います(私自身は、小麦粉も植物油も砂糖も数年単位で摂っていないですが、これに関しては、まあ…趣味の話ですので)。

 

では、たとえば、梅干しなんかはどうでしょうか。

 

まさか、梅干しを超加工食品と呼ぶ人はいないようには思いますが、スーパーで、適当に商品の梅干しの裏側を見てみます。

 

スーパーで見た梅干しの原材料

 

「A社の梅干しの原材料」  梅、漬け原材料(果糖ブドウ糖液糖、砂糖、醸造酢、食塩、還元水あめ、はちみつ、蛋白加水分解物)、トレハロース、酒精、酸味料、調味料(アミノ酸等)、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)、香料、ビタミンB1

 

「B社の梅干しの原材料」  梅、漬け原材料(還元水あめ、果糖ブドウ糖液糖、食塩、醸造酢、しそ液、蛋白加水分解物、酵母エキス)、調味料(アミノ酸等)、酸味料、野菜色素、ビタミンB1、甘味料(スクラロース)、香料

 

もはや十分に「超加工食品」じゃないでしょうか。

 

私は、よく梅干しを食べるのですが、結局、自分で漬けるもの以外で、「梅と塩(塩分20%が必須)だけの梅干し」を購入するには、インターネットで買うしかないという現実があります。

 

周辺じゃ、ほぼ買えません。

 

私が梅干しを積極的に食べるようになったのは、東城百合子さんが、『自然療法』という本に以下のように書かれていたからですが、ある程度、昔ながらの梅干しでないと、こうはいかない気がします。

 

「梅干しのバクテリアには、有用な腸内の細菌を活性化させ、雑菌を殺す力があるので、おおいに食べるべき」 - 東城百合子

 

そもそも、今売られている梅干しの塩分って低いですからね。塩分 3%なんてのもあって、これだと保存食ですらない。長期保存食であるべき食品が長期保存食になっていない、という事例も今は多いです。減塩とか意味がよくわからないのですが(減塩は体に悪いので)、まあ、社会はそうなっています。

 

また、先ほどの梅干しには、アセスルファムKやスクラロースなどの人工甘味料が使われていましたけれど、人工甘味料は、「腸内環境を壊す」ことが知られています。

以下は、オーストラリアの研究をご紹介したものです。

 

(記事)人工甘味料の「身体破壊の威力」がまたも明らかに : 低カロリーあるいはノンカロリー甘味料は「腸内細菌の環境を徹底的に破壊」し、健全な人間を2週間で糖尿病へと導く可能性
In Deep 2018年10月7日

 

つまり、腸に対して逆効果になってしまう。

 

ともかく、一般的に言われている超加工食品というカテゴリーを大きく超えて、今は「何でもかんでも超加工食品じみている」という中に暮らしていると言えると思います。

 

東城百合子さんは、数十年前に、「私たちは食品のお化けに囲まれています」と書かれていましたけれど、それから約 40年後の今は、それがさらに進んでいると。

 

そういうこともあり、現在の生活の中で超加工食品から「完全に」離れることは難しいでしょうけれど、「ある程度離れることは可能」だとも思います。

 

先ほど「趣味」と書きましたけれど、私は、6、7年くらい前に小麦粉(正確にはグルテン)を摂取するのをやめ、同じ頃から基本的に砂糖の摂取をやめ(人が作ってくれた料理に入っているものは当然とります)、そして、2年くらい前に植物油の摂取をやめました(これも人が作ってくれた料理に入っているものは当然とります)。自分で使う油は、動物性の油だけです。

 

こういう生活をしていると、どうなるかというと、ふだん食べるものが全然ないんです(苦笑)。

 

それでも、私はトシですから、特に何にも思わないのですが、若い人だと苦しいだろうなと思います。ですので、人には絶対に勧めませんし、勧めることもありません。

本人が「趣味」としてでも、やろうかなと自発的に行うのでなければ、むしろ生活から潤いが削がれます(食文化は人類の文化の中でも最大のものなので)。

 

そういうように、現実的に超加工食品から離脱することは現代の生活では難しいということと、「あらゆる食品の範疇に超加工の傾向が広がっている」ということを前提として、エポックタイムズの記事をご紹介したいと思います。

 

 


【超加工食品は32の健康リスクと関連している】

Ultra-Processed Foods Linked to 32 Health Risks
Epoch Times 2024/07/17

 

超加工食品は中毒性があり、どこにでもあるため避けるのが難しいが、頻繁に食べ過ぎると健康を害する恐れがある。

 

 

ジャンクフードを食べることは、それほど遠くない昔に自然な食事をしていたのと同じくらい、現在の私たちの文化に明らかに浸透している。

 

今年、医学誌 BMJ に発表された 980万人の参加者を対象としたシステマティックレビューでは、超加工食品の摂取が、心臓病、ガン、2型糖尿病、不安、早死など 32の病気のリスク増加との関連性が示された。

 

 

超加工食品とは何か?

 

BMJ のプレスリリースによると、超加工食品の例には、調理済み食品、包装された焼き菓子、スナック、砂糖入りシリアル、炭酸飲料などが含まれる。これらの食品は複数の工業的加工工程を経ており、通常、着色料、乳化剤、香料、その他の添加物が含まれている。さらに、添加糖、脂肪、塩分が多く、食物繊維やビタミンが少ないことがよくある。

 

台湾の台北栄民総合病院感染症科の元主治医である鄭元宇医師は、「加工食品」の定義は広く、すべての加工食品が「超加工」または不健康に分類されるわけではないと指摘する。

 

例えば、工場で加熱され密封された食品は、最小限の加工とみなされる。しかし、単純な加工食品でも不健康な場合がある。

 

さまざまなスナック、飲料、工場で製造されたクッキーやパンなど、最も一般的な超加工食品は、より複雑な製造工程を経ており、複数の化学添加物が含まれているため、栄養面では不健康となっている。

 

 

超加工食品の7つの健康リスク

 

BMJ 誌のレビューには、980万人を超える参加者を対象とした 45件の個別の研究が含まれていた。このレビューによって明らかになった多数の健康への悪影響の結果は、大きく次の 7つのカテゴリに分類できる。

 

1. 死亡率:全原因死亡率、ガン関連死亡率、心血管疾患関連死亡率、心臓病関連死亡率。

 

2. ガン:ガン全般、乳ガン、大腸ガン、中枢神経系腫瘍、慢性リンパ性白血病、膵臓ガン、前立腺ガン。

 

3. 精神的健康:睡眠不足、不安、一般的な精神障害、うつ病。

 

4. 心臓血管の健康:心臓血管疾患、高血圧、高トリグリセリド血症、低 HDL コレステロール値。

 

5. 呼吸器の健康:喘息と喘鳴。

 

6. 胃腸の健康:クローン病と潰瘍性大腸炎。

 

7. 代謝の健康:腹部肥満、高血糖、メタボリックシンドローム、非アルコール性脂肪性肝疾患、太りすぎ、肥満、2 型糖尿病。

 

研究者たちは、さまざまな研究からの証拠の信頼性と質を評価し、超加工食品の過剰摂取は、特に心臓代謝の問題、一般的な精神障害、および死亡率のより高いリスクと関連していることを発見した。

 

具体的には、研究者たちは、超加工食品の摂取量が多いと、心血管疾患関連の死亡リスクが 50%増加し、不安障害や一般的な精神障害のリスクが 48~ 53%増加するという「説得力のある証拠」があると指摘した。

 

さらに、2型糖尿病のリスクが 12%増加するという関連性もあった。

 

さらには、非常に示唆的な証拠によれば、超加工食品の摂取量が多いと、全死亡リスクが 21%増加し、うつ病リスクが 22%増加し、心臓病関連死亡、2型糖尿病、肥満、睡眠障害リスクが 40 ~ 66%増加することがわかった。

 

鄭博士は、超加工食品は多くの病気と関連しているが、必ずしも直接的な因果関係を示すものではないと強調した。しかし、同博士は特に、超加工食品と糖尿病を結びつける証拠が最も説得力があり、この関連性を裏付ける比較的質の高い研究があることを強調した。

 

 

超加工食品の中毒性

 

2023年に BMJ 誌に掲載された研究では、成人の約 14%と子どもの約 12%が超加工食品中毒に関連する問題を経験する可能性があると推定されている。

 

鄭博士は、スマートフォンやアルコール依存症と同様に、超加工食品依存症に関連する問題は精神衛生に重大な影響を及ぼす可能性があると述べる。

 

博士は、精製された炭水化物や脂肪など、超加工食品に含まれる複雑な成分が脳を刺激して大量のドーパミンを放出させ、ニコチンやアルコールなどの物質によって引き起こされるレベルと同等のレベルに達し、依存症の一因となる可能性があると説明した。

 

 

超加工食品の摂取を抑える健康のヒント

 

今日の環境では、超加工食品の誘惑は避けられない。

 

しかし、これらの食品の中毒性と健康への危険性を認識することは重要であり、これらの食品は適度に楽しむべきであり、過剰摂取は避けるべきだろう。中毒の兆候が現れた場合は、早期介入が重要だ。

 

超加工食品の中では、比較的健康的なものを選ぶことをお勧めしたい。たとえば、朝食には、精製炭水化物を避けながら、砂糖、ナトリウム、塩分が少なく、食物繊維が豊富なシリアルを選ぶ。さらに、砂糖入りのシリアルと無糖のシリアルを混ぜると、全体的な砂糖含有量を減らすことができる。

 

鄭博士は、人気のチョコレートケーキ製品を例に挙げ、その成分リストには複合増粘剤、乳化剤、ベーキング油脂の品質を向上させる薬剤など、かなりの量の化学添加物が含まれていることを強調した。

 

あるいは一般的なケーキの場合、 100グラムあたり 26.3グラムの砂糖が含まれており、これは、砂糖がケーキの成分の 4分の 1以上を占め、非常に高い糖分含有量を示している。また、脂肪は 17.7グラムだ。鄭博士は、そのようなケーキは毎日のおやつとして食べるべきではなく、特別な機会がない限り避けるべきだと警告している。

 

 

 

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