どうやってそこに入ったの
見えてるし触れられるのに
助け出そうにも方法がない
ラムネの瓶のガラスの玉だ

どうしても取り出したくて
瓶の口を道路に擦りつけた
削って削って削って削って
穴を拡げようと試みたんだ

真上の太陽が真横まで来て
それでも救出できない焦り
横着だと笑わないでくれよ
ガードレールに叩きつけた

夕陽を弾き返す無数の破片
飛び出した玉は太陽の分身
強すぎる力と眩しすぎる光
一瞬の隙にどこかへ消えた

優しくすれば手に入ったか
僕が強引だから失ったのか
あの後誰かに拾われたのか
今となってはいい思い出だ

なんて割り切れるほど僕は
まだ大人になれちゃいない
飛んでいったガラスの玉に
君の後ろ姿が重なり滲んだ

覗き込めば宇宙が見えると
教えてくれたのは君だった
君の奥のもっと深い所まで
覗き込めばよかったのかな

なくしたものは小さく丸く
そして大きくて尖っていた





同じ強さで降り続ける 

刺激のない退屈な雨が 

今日で4日目を迎えた 

さすがにもう飽きたな 


順調に水嵩が増す川を 

危なげなく部屋の窓の 

ガラス越しに見ていた 

そんな水曜の午後3時 

 

録画していたドラマは 

観もしないで消したよ 

2日も前の興味なんて 

今は既に賞味期限切れ 


桜が満開になったとか 

この雨で散りそうとか 

確かめていない現実も 

1日先に終わるらしい 


目覚ましのスヌーズも 

残り回数が0になって 

乾き損ねのスニーカー 

思い出して憂鬱になる 


カウントダウンは終了 

嫌でも始まる新しい日 

ありふれた透明の傘で 

昨日と同じ雨を避けて 


代わり映えない明日へ 

たどり着けますように






交差点の信号がひとつ残らず
全てが赤に変わったその数秒
子供の頃に観た映画にも似た
怒りの空気が漂った気がした

エコーがかかった高架の下は
降りしきる雨を凌ぐには十分
傘を忘れた言い訳の代わりを
探しながら立ち尽くした午後

英語も国語も苦手な数学でも
ノートの最後のページだけは
死なない為のジンクスとして
わざと何も書き込まなかった

ゴールが見えない人生の選択
知りたくなかった物語の結末
行き着く先を知らないことは
上手く生きるための必須条件

僕の言うことを信じるのかい
真に受けて躓くのが怖いなら
自分の意志だけ頑なに信じて
他人のせいにするのもいいさ

全ての数のゼロ乗は1になる
その理屈を理解できたその時
ほんの少しだけ大人になった
そんな気がしたあの日の僕だ