まだ4月の半ばだっていうのに
あちこちで夏日だとか言うから
自販機からホットが消えててさ
間違えて買った冷えたコーヒー

半袖のTシャツで歩く男の横を
ダウンコートの女が通り過ぎる
まるで脳がバグってしまいそう
混雑した駅で迷いそうになる朝

そのくせ今夜はやたら冷えるな
騙された振りして上着を羽織る
誰か管理してる奴がいるのなら
もう一度春に戻してくれないか

ホットコーヒーの缶を握る手に
伝わってくるくらいの温かさで
誰かの優しさを感じられる季節
これさえ次の冬までのお楽しみ

なんて考えことしていたせいか
また間違えて冷たい缶コーヒー
返品不可の四角い箱が吐き出す
僕の心まで冷やすアルミの缶だ

利き手とは逆の人差し指の爪で
半ば諦め気味に開けたコーヒー
喉を通過する冷たく苦い液体が
今年始めて美味いと感じられた

くそったれ
春だな





先月のことです。

僕のブログにある業者からメッセージが届きました。

『あなたの詩の世界観に興味があります、プロデュースするので曲を付けてみませんか』

と。

そもそも僕の詩は曲を付ける前提で書いてはいないし、世界観を活かして新たに作詞するというのも何か違う気がしました。

それにこの業者がいったいどこまで僕の世界観を本当に理解しているのかも怪しかったので、試しに3つの作品を示して、どのように解釈しているのか聞かせて欲しいと返事をしました。

そしてそれに対しての返事は現時点で来ていません、所詮その程度の興味しかないのでしょう。

曲を付けてもらうために 作曲料を支払う必要があるのですが、今はAIでいくらでも音楽が作れる時代です。

僕はAIで詩作しているわけじゃありませんし、できたとしてもしません。

僕が産んだ大事な言葉たちを大切にしてくれそうなら考えもしますが、そうでないなら他人の手垢で汚されたくありません。

脚光を浴びるだけの運も才能もあると思ってませんし、ここで細々と詩を書くだけで十分です。





手のひらを上にして眠るあなたに
私の手のひらをそっと重ねてみた
想像より微かに冷たかったそれを
私の体温でほんの少し温めてみた

私の大事なものを奪ったあなたに
また私の一部が奪われた気がした
私はあなたから何を得たんだろう
あなたは私に何を与えたんだろう

取り返そうなんて思ってはいない
なのに体重だけは増えた気がする
これを幸せ太りと定義するならば
私は幸せを得られたのでしょうか

なんて考えているうちに微睡む私
せめて夢の中だけは
痩せていますように