ベストセラーの架空の小説
実在の人物とは無関係です
わざわざ脚注に示さずとも
俺たちはそこで生きてます
挿絵さえない文字の世界で
こんなにも頑張ってるのに
俺はただのフィクションで
容姿も声も所詮想像の産物
こちら側から見える現実は
争いと卑しさと欲と怠惰と
架空の幸せに満ち溢れてる
腐ったノンフィクションだ
俺たちを読んで楽しいかい
君たちが我慢して作ってる
精一杯の愛想笑いの物語は
とても見てられないんだが
良い結末で締めくくられた
違う世界に生まれた幸せを
君らを見ながら噛みしめる
それが架空の住民の醍醐味
というかむしろ作者の都合
君らの世界の作者は誰だい
楽しいドキュメンタリーを
描いてはもらえそうですか
ただそれだけ心から願って
本を閉じます
仕事の関係で、兵庫県庁の近くにある神戸市内の某コンビニに立ち寄った。
納品を終えて店を出ようとしたところで、20代前半くらいと思われる外国人店員に呼び止められた。
「すみません、【半額】という文字を教えてもらえませんか」
と、彼は廃棄するレシートの裏を見せて僕に渡してきた。
どうやら消費期限が近く、見切り品にするパンやおにぎりなどの食料品に貼る割引きシールに【半額】と書きたいらしい。
しかしそのシールを見ると【○○%引き】と書かれているので、
「じゃあそこに『50』と書けばいいよ」
と言ったのだが、彼は納得いかない表情だった。
「どうしても漢字で書きたいの?」
と尋ねると、
「はい」
と答えた。
顔立ちだけではどこの国の人かはわからないが、漢字がわからないということは中国や台湾の出身ではないらしい。
漢字を使わない国の人が漢字を習得するのはかなり難しいのに、それでも書きたいという彼の熱心さに心を打たれ、僕はレシートの裏に大きくはっきり丁寧に【半額】と書いて渡した。
これから彼の手で【半額】と書かれるであろう割引きシールは30枚ほどだったろうか、頑張ってねとだけ伝えて退店。
僕なんて所詮はただの出入りの業者でしかなく、ましてや先生でも家族でも友人でもなく、僕は名札を付けていないので彼は僕の名前すら知らない。
それなのに躊躇することなく恥ずかしがることもなく、ただ素直に、いつでもどこでも誰からでも、機会さえあれば貪欲に学んでやろうとする向上心は尊いなぁと思わされた。
日本在住の外国人に対する風当たりがきつくなっている風潮が昨今見られるが、こちらが学ばされたり気付かされたりすることもまた少なくない。
言葉や文字だけでなく、文化も風習も価値観も違う国で頑張って生きている外国人の助けになれるなら、たとえ微力でも力になりたいものだ。
日本を汚し、日本人に害をもたらす外国人はまた別問題だが。
僕らの体の中の隅々にまで
敷設しきったネットワーク
鮮烈な炎のような赤が流れ
汚れて黒ずんで還ってくる
誰だって人はきれいな面と
汚れた面とを持ち合わせて
葛藤しつつバランス取って
それなりの世界で生きてる
綺麗事だけを羅列しながら
歩いて行けたら幸せなのに
どうして穢れた言葉たちで
上書きしたくなるのだろう
顔も知らない誰かのために
腕に針を刺して血を抜いて
管を通る黒ずんだ液体から
僕の悪意も抜ける気がした
この程度の傷で犯した罪が
赦されるとは思わないけど
悪気なく振りかざす武器で
悲しむ人がなくなるように
僕は今日も右腕に針を刺し
後悔を減らしに行くのです
天秤で釣り合う善意と悪意
後者を軽くしに行くのです
献血行こうよ
元気になるぜ