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教室に着くと、既に席は大方埋まっていた。5分前到着のデメリットの一つだなと思う。
和美の姿を探すが、なかなか見当たらない。席を取ってくれているとしたら和美かあいつだけだ。
あいつに先に見つかると面倒だ、テスト前くらいはゆっくりしたい。
和美の姿を探す。視点を右へ左へとやっているうちに、手を降っているんだなと思われる人間が視界の左端に映った。
恐らくあいつだ。左は見ずに和美を探そう。ああ、悪い全く気付かなかったよ。ごめんね。と言える自分を作るのだ。
次第に、手を降る動作が大きくなっていっているように感じる。立ち上がって、両手を振り回しているのでは無いだろうな。
左に目をやりそうになるが、堪える。実に巧妙な手口だ。嫌でも隣に座らせる気だな。
そのとき、前の方の席で和美が振り返ったのが見えた。
なんとか助かった。
「大和ちゃーん」
愛しい彼女に呼ばれた俺の顔は幸せに満ちた表情になる筈だったが、その声は、後ろから聞こえた。不自然に甲高い悪意に満ちた声だ。
振り返ると、多部大助が笑顔で立っていた。
「坊っちゃん。到着が遅いので、心配しましたよ。」
「坊っちゃんはお前だろ。」
大助は両親が医者で、裕福な環境で育ったそうだ。ただ、父親に反発してこんな大学で燻っているらしい。壮大な夢を追いかけて、エリート街道は弟に譲った。
というのは、本人談で真実かどうかは定かではないし、興味もない。
ただ、俺よりは遥かに頭が良くて、金を持っているのは、認めたくないが事実だ。
「大和の為に、席を用意してるぜ。」
「あぁ、ありがとう。」
和美の様子をみると、大助君と座るのね。わかったわ。という感じで席に着いた。
「もっと喜べよ。」
人の気も知らずにと思ったが、この男には何を言っても無駄だ。
この後、テストが始まるまで、直前にテキストを見ても無駄だ。とか、そんなとこ出るわけない。だのと言われ続けた。
結果としてゆうと、自称山を張る天才が出ないといったところが、これでもかというくらいに出て、結果は散々だった。
もちろん他人のせいにしたいわけではないが、直前に大助による精神的攻撃が少なからず影響しているのは言うまでもない。






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