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ユウタの小説ブログ

小説を書いています。コメント等頂ければ幸いです。

皿の上に盛り付けられたハンバーグ定食と見つめ合う。見た目は普通だ。
味噌汁と御飯、簡単なサラダがハンバーグと一緒に盛られている。
ハンバーグの香りと共に、食欲が目を覚ました。
「いただきます。」
お金を出してもらっているので、大助に向けていったつもりだが、ハンバーグに御飯に味噌汁と、慌ただしく箸が動いている。
邪魔するのも悪いと、ハンバーグを口に放り込む。
絶品とまではいかないが、案外全部食べれそうだ。
「そういえば、なんで父親と仲が悪いんだ?」
聞くのも悪いと思ったが、何故か気になった。自分には父親がいないせいかもしれない。どこかで父親に対する憧れでもあるのだろうか。
大助が味噌汁をぐいっと飲み干し、こちらに目をやる。
一拍おいてから大助が言う。
「自分が医者だからって、医者になるのを強要するんだよ。しかも外科医限定だぜ?」
親が医者というのは本当だったのか。
人にやれと言われてやる奴ではない。さぞ反発したのだろう。
「ガキの頃は医者になる気満々だったけど、大人になると現実が見えてきてなー。」
大助が続ける。
俺から見れば学力は問題無さそうだが、やはり敷居は高いのだろうか。
「医学部ってお前でも入れなかったのか?」
少し遠慮がちに聞いてみる。
「多分入れるよ。」
すんなりと答えられる。やはりこいつとは相容れないな。
「じゃあなんで医者が嫌になったんだ?」
恐らく俺では理解できないような、独特な理由なのだろう。
「だって、手術ってグロくね?
あの後に飯とか食えねーよ。絶対。」
だろ?という顔でこちらを見てくる。
確かに理解は出来るが、子供のような理屈にも聞こえる。
俺を唸らせてくれるような理由を期待した俺が馬鹿だった。
その他にも聞きたいことはあったが、呆れるような返答が返ってきそうなので聞かないことにした。
結局、ハンバーグ定食を完食して、この後試験も無いので、各々帰ることにした。
「殺すぞって落書きの話だけどさ。」
駐輪場に向かいながら、大助が唐突に例の話題に触れてきた。
「実際に行動に移してきたらやべーよな。」
意外にも真顔で話す大助に少し驚く。
「心配してくれてるのか?」
茶化しながら聞く。なんだか少し調子が狂うな。いつもなら立場は逆だ。
「当たり前だろ。なんてったって大和ちゃんだからなー。」
そうそう。それでこそお前だ。だがふざけているとはいえ、素直に嬉しかった自分が恥ずかしい。
「まぁ、落書きなんてする奴は気弱な奴だ。行動に移すことはねーだろ。」
自身に満ち溢れた様子で語る大助をよそに、お前の山は外れるんだから不吉な事は言わないでくれと思った。
「そいえば昼飯ごちそうさま。」
伝わっていない礼しかしていなかったので、ちゃんと礼をする。
「律儀な奴。何回も言わなくてもいーんだよ。」
なんだ伝わってたのか。
ならばこれ以上お前といても、意味はない。自転車に跨がり帰る素振りをする。もたもたしているとカラオケやらボーリングに連れていかれそうだ。
じゃあな。と軽く挨拶をして、見慣れた道を通って帰る。
20分ほどで自宅に着き、駐輪場に自転車を止める。ふと例の落書きを思い出して、いつもより邪魔にならないように止めた。これで手を出されたら、悪いのは向こうだ。流石に考えすぎか。
駐輪場を出るまでに、紫色の自転車がはみ出して止めているのを見つけた。
駐輪場の通路は狭いので邪魔で仕方がない。あの自転車が狙われているのではないかと推理してみるが、雑に止めてある自転車はいくつもあって、紫色の自転車だけが悪いとは言い切れない。
頼むから、俺の自転車だけは巻き添えにしないでくれよ。
エレベーターで三階まで上がり、ワンルームの部屋に入る。広いとは言えないが、一人暮らしなら問題は無い。
腹が満たされたせいか、少し眠い。
特に予定もないし夕方まで寝るか。
敷きっぱなしの布団に入り込み、瞼を閉じる。

目を覚ますと、夕方の五時だった。晩飯でも買いに行くかと、軽く身支度をして家をでる。
駐輪場に来たときに違和感を覚えた。さっきまで通り難かった通路がすっきりしているのだ。
持ち主が乗っていったのだろうか。
自分の自転車に跨がり、最寄りのスーパーに向かう。
アパートを出てすぐに嫌な物を目にした。
駐輪場を出て、右に曲がると電信柱がある。そこはよくゴミが放置されていて、雑誌や生活ゴミ等が積み上げられている。
なぜちゃんとゴミを処理出来ないのかといつもなら精々そう思うだけだが、今は違うものに目を奪われている。
ゴミの横に、紫色の自転車の他に合計三台の自転車が投げ捨てられていたのだ。
狂気とも呼べる不気味な行動に、悪寒を覚えつつこう思った。


おめでとう。大助君。
またもや、君の山が外れたみたいだ。


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