村上龍さんの小説
『55歳からのハローライフ』
55歳という定年間近になった世代の人生の再出発に向け
さまざまな悩みを抱える人たちの生き様を描いた1話読み切りの5編の短編小説。
NHKの「土曜ドラマ」で
6/14から5回シリーズでドラマ化されました。
主人公たちはみな、人生の折り返し点をすぎて、何とか再出発を果たそうとする中高年。
体力も弱って来て、経済的にも万全ではなく、そして折に触れて老いを意識せざるを得ない。
そういった人々は、この生きづらい時代をどうやってサバイバルすればいいのか?
その問が作品の核だったとは、著者村上龍さんの弁。
ボクは普段はあまりテレビドラマ等は見ませんが
自分が同世代ということもありちょっと興味をひかれたわけです。
それぞれ5人の主人公は、ごく普通の人々。
ごく普通の人々に起こるごく普通の出来事が、とてもリアルに描かれる。
定年後、老後に訪れる困難さは一様ではないかもしれませんが
ある意味残酷な日常を抱えていることには変わりはないのでしょう。
老いてからの再就職、ペットの死、家族の崩壊、婚活、親友との別れ、・・・。
このドラマの主人公たちは、日常の不安から目をそむけず
最後には、新たな道を探ろうとす歩みだします。
で、昨夜その第1話、「キャンピングカー」を見ました。
〈あらすじ〉木製家具の営業販売に疾走してきた会社人間、富裕太郎(リリー・フランキー)。
定年を前に58歳で会社を早期退職。
太郎の夢、上積みされた退職金でキャンピングカーを買って夫婦で旅に出る。
という計画を画家として働く妻(戸田恵子)からは、これから必要な2人の子どもの結婚資金のことや
自身の時間が取れない等の理由で拒否される。
既に手付金だけは支払っていたので、太郎の時間も宙ぶらりんになってしまう。
夢は幻想だった・・・。仕方なく再就職先を探すことにした太郎。
しかし、現実は想像以上に厳しい。
人材紹介会社の若いキャリアカウンセラーから無能さを指摘され
相談に行った取引先の社長からも相手にされず、次第に心身のバランスを崩していく・・・。
サラリーマンの在職中と在職後の立場の違いによる、心の揺れがうまく描かれていました。
再就職は、若い世代でも難しい時代。
ましてや60歳を前にした中高年にとっては言うまでもありません。
太郎へ人材紹介会社で、・自分は何がしたいのか?・自分は何ができるのか?・持っている夢は何か?と、突き付けられた・・・
ドキっとした人も多かったのではないでしょうか。
ボクも以前の会社で面接に来た人に同じようなことを聞いたことがありました。
そのとき、「ハイ、私は部長ができます」 と
答えた人がいたことを思い出しました。( ̄Д ̄;;
55歳くらいの年代って、暮らしぶりにも差が出て、見た目の差もつく年頃。
自分にとって、幸せとは何か?
そのことが理解できないでいると60歳から老後の寂しい年代を迎えることになりかねません。
ところで、富裕太郎が築きあげてきた家は、ウッディーなインテリアに
ネイティブ・アメリカン風味の小物を品良く飾り、本格的なコーヒー用品を買い揃え
自己の嗜好に「オトコの夢」と「幸福なファミリーライフ」を具現化したようなスタイルを手に入れています。若き日にカタログで憧れた世界を、いま実際に獲得し、家族に提供する悦び。
よく働いた自分への、ご褒美のコレクションと言えるのかもしれません。
あるんですよね、自分にも。この太郎と似たところが。
だからよけい共感が深まったのかも・・・。(^_^;)
本日は以上です。
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