カネがほしい、女にモテたい、有名になりたい、・・・・
あなたの望みはなんですか?
と聞かれてこんなふうに答えたら、ふつうあまり良い印象はもたれないでしょう。
それどころかひんしゅくを買うことになるかもしれません。
だけれどもこの三つの答えは生涯で大成功を収めたある経営者に
「あなたが一生懸命に仕事に打ち込む動機はなんですか?」
という質問への答えなのです。
これを単純で低俗な望みだと批判するのは簡単です。
でもその低俗がなぜいけないのでしょう。
こういうことに眉をひそめる人間がどれほど高邁な望みを持っているというのでしょうか。
人間が最初に考えることや動機など五十歩百歩の単純なことです。
有名なマズローの欲求階層節は
人間の欲求を五段階に分けて論じているものです。
①生理的欲求 [生きる上での根源的欲求(衣食住等)]、②安全の欲求 [安定思考]、③社会的親和の欲求 [集団帰属]、④自我の欲求 [認知欲求]、⑤自己実現の欲求 [創造的活動]の五つです。
カネや女を高次の欲求とはいいがたいかもしれませんが
マズローはこの五つの欲求は人間が絶対避けて通れない欲求で
しかも最初の生理的欲求から順次に上がっていくものだといっています。
単純な低次欲求が満たされないと高次の欲求へと進めないのです。
「医食足りて礼節を知る」というわけですが
だとすれば低次欲求をバカにするのは、すでにそれを満たした人間たちか
自己を偽っているかのどちらかだということになります。
そのいずれもありそうなことですが
低次欲求を満たした次の段階に入った人間、つまり腹いっぱい食べられる人間が
飢えた人間に「食い物のことなどで目の色かえるなど下劣だ」というがごとしです。
しかし、自分もその立場にたてば同じことをするはずです。
もう一つは自分も同じ欲求を持っているのに
あたかも自分はもっと高い欲求の段階にあるように偽る場合です。
性欲に関してこういう態度をとる人間が少なくないといいます。
でもそれは誰もが知るように、こういう態度はニセモノだとおもうのです。
低次の欲求をバカにできないのは
生命力や情熱の源泉は主に低次欲求にかかわっているからです。
年をとって性的好奇心の旺盛な人ほど生命力が強く立派な仕事ができるのは
エネルギーは変換ができるからだそうです。
セックスエネルギーがすべて性行為へと向かうものではなく
芸術制作意欲や事業欲につながるのです
。単純かつ低次の欲求がバカにできないのは
それが生きるチカラをかきたてることになるからです。
本日は以上です。