昨日のみむろ食堂の色紙を見て思い出したので今日はこの方を。
九州新幹線の全線開通を記念した「くまもとサプライズ!」を提唱し
キャンペーンの一環で熊本県をPRするビデオを作製した
熊本天草出身の脚本家
小山薫堂 (こやまくんどう)氏。
彼は今まで、テレビでいえば「進め!電波少年」や「料理の鉄人」等をつくってきた。
また最近では、第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した
「おくりびと」の脚本を手掛けた人物である。
「普通ってなんだろう」 ということだそうだ。
「おくりびと」のテーマである死は究極の〈普通〉であり、一方で
普通という価値観は、人によって違う。
ある人の普通は別の人からは〈特別〉に感じられることは多々ある。
その滑稽さ、理不尽さを、表現したいのだという。
本木雅弘さんの演じた主人公の「じゃあ、普通って何なんだよ」
というせりふはまさに彼のテーマなのだ。
だから彼が好んで描くのは
「ひたむきに時を重ねて仕事をしている無名の主人公」である。
そして今回、冒頭にいった県のPRビデオだが、たまたまその撮影
の様子や捉え方をテレビと雑誌とで目にした。
熊本県のPRビデオだが
そこには、観光地や美味しい食べものの紹介はない。
主人公の1人は
球磨川(日本三急流の一つ)の渡し舟の船頭さんだ。
実はこの渡し舟には、ほとんどお客さんがいない。
せいぜい1日に2~3人、確実な客は、朝6時に通学する高校生1人。
必ず帰りも乗るわけではなく、遅くなると家族が車で迎えに行く日もあるそうだ。
この渡し舟は、近所の人はただ(無料)
観光客は150円で乗れる。
小山さんは、なんでこんなことしているんだろうと思って、尋ねてみると
今年86歳になるその腰の曲がった船頭さんは困った様子で
ようやく帰ってきた答えは
「これが私の務めですから 」。
この一言に感動してこの人を主人公にしようと決めたそうだ。
腰の曲がった86歳の八郎さん(地元では球磨川八郎さんと呼ばれている)の存在は
故郷、球磨川の風景の証。
船べりに腰をおろし、お客さんを待つ姿はどこから眺めても
美しい山間の日本の良心のような感動的な風景であったと
同行したスタッフの方もブログで書いている。
世の中が不安定になり、自分が弱気になったときに
こういった無名だけれども、まっとうな人の実直な働き方を目のあたりにしたとき
人は共感し、自分と比較し、強くあろうとか頑張ろうとか、そう思うのだろう。
自分たちは普通だと思っていても
外の人が見たら驚くようなことが熊本にもたくさんある筈だと小山さんは言う。
例えば、熊本市の水道水は、20年前に阿蘇に降った雨が還流された湧き水だ。
これを使って、歯を磨いたりお風呂にお湯を張ったりしているのです。
これ、ミネラルウォーターを使っているようなもので、観光客はびっくりして羨ましがるでしょう。
こういったものを改めて見直し、また発見し、ここに暮らしていることは幸せなんだと気づいてほしい。
映像は、そんなお手本になるようにしたいと。
つまり、自分の持っている価値に気づくことはとっても重要で
まずは県外在住者ではなく、県民に熊本の持っている魅力に気づき
驚いてもらいたいという気持ちが込められているのだ。
今度ボクもその映像、じっくりと観てみたいとおもう。
本日は以上です。