詠唱戦歴代最強プレイヤー二人のPIT理論を解説【UO PIT】 | IZUMO詠唱戦日誌

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Ultima Onlineにおける「出雲シャード」でのPIT&アリーナを通じた詠唱戦の記録です。

※遅延魔法を踏んで詠唱妨害させられない、被詠唱妨害時、詠唱終了後の0.25消化後 即キャスト、リキャスト等は出来ている等の基礎的な部分が出来ていると仮定する※

 

以下は文章内に出てくる略語の説明です。
MA Magic Arrow(1stサークル)

FB Fire Ball(3rdサークル)

LT Lightning (4thサークル)

GH Greater Heal(4thサークル)


詠唱戦における意識配分の話

UltimaOnlineはシステム的に詠唱時間、ダメージ、回復量等が定められており、
攻撃よりも回復の方が有利な数量になっている。

その為、負けない事だけを考えるのであれば妨害とヒールのみしていれば基本的には負けない。

ならば"勝つ"為にはどうすればいいのか?
 

  1. 勝ちの定義
  2. システム的に強い守りをどう崩すのか
  3. 意識配分
  4. 常勝の為に必要な要素


1.勝ちの定義


UltimaOnline内の1コンテンツである「PIT」における勝利の定義から考える。
1on1の個人戦。
勝利条件は自身のHPが0.1以上で生きている、かつ相手のHPが0以下で死亡した場合

端的に言えばHPを0にして殺せば勝利
HPを0にされて死亡すると敗北

2-1. HPという"システム"

このHPという部分をアバウトに考えず、
「HPを0にするには?」「0にされない為には?」という思考回路を設ける。

相手のHPを0にする為には攻撃魔法を使う必要がある
>この攻撃魔法はこれくらい減る、だから相手のヒール回数に対して上回ったダメージを与えられているか?

0にされない為には回復魔法を使う必要がある
>相手の攻撃魔法のダメージを上回るヒールを出来ているか?

ここで重要なのは、回復魔法の方が強いという仕様。
攻撃を食らうたびに回復していれば基本的に死なない。

しかし、お互いにこの戦法をしてしまうと勝負がつかない。

2-2 相手のHPを削る

そこで勝つために重要なのが①詠唱妨害、②"相手の"意識配分を奪うという事。

遅延魔法と違い、詠唱後に開放をすると即時に着弾する即時魔法を当てて詠唱を妨害したり、
遅延魔法によって相手の詠唱を潰す為の「置き魔法」を出しておく。

尚且つ妨害出来た場合、相手は回復出来ておらず一方的にこちらがダメージを与えられている状況になる
これを繰り返す事でじわじわとHPを削り取っていく

が、やはりヒールが強いからヒールばっかされるとダルい
そこで必要なのが"相手の意識配分"である
 

3.相手の意識配分を操作する

例①
例えば、あなたがLTを詠唱完了しており、いつでも撃てる状況にある
そして相手はまだ何も詠唱していない。

相手の詠唱を見てあなたがLTを開放し、詠唱を妨害すれば一方的にダメージを与えられる

そしてあなたのLTによって相手の魔法を妨害出来ました。

次にあなたは何をしますか?




大抵の人は「"攻撃魔法"によって妨害出来た場合、「次の手も"攻撃魔法"になりがち」というのが私の意見です。
一度相手から奪った「HP」、勝利条件である「HPを0にする」為に必要な行為を最高の形で決められた。

そうすると「削った20ダメージを回復させてはならない」という心理になりがちだと思っています。

これがLTではなく"妨害魔法"のウィークン等であれば回復という選択肢も選ばれやすくなります。

攻撃は相手の1を0にする行為、妨害は自分の1を維持する行為、回復は自分の1を2にする行為だと思っています。
妨害魔法は攻撃にも回復にも思考を切り替えやすい立ち位置にある魔法です。

ここで一度、以下の例を読んでみてください。

頭の中で具体的な映像を思い浮かべてください。。
ぼんやりとしていても構いません。


「PITという狭い空間の中にあなたが立っています。」
「そしてその先に相手が立っています。」

相手のHPが残り80 自身のHPが残り40の時に例①(LT)を決めたとします。
あなたはLTによって相手の詠唱を潰しながら、HPを20奪いました。
なおかつ、あなたはLTをPoA状態で保持していた為、すぐに次の行動へと移る事が出来ます。



【この次に何をしますか?】











相手とのHP差は20のみ
ハームやLTを少し当てればあっという間に追いつける。

相手の回復にも柔軟に対応しやすいMAを撃ちますか?

相手のGHを読んでハームもいいかもしれません。
至近距離で当てられれば14~18ダメージを与えられる為、HP差を更に縮められます。
おまけに詠唱も妨害出来て自身はPoA状態で開放出来ます。一石三鳥です。

相手がヒールをしてくることを読んでさらにもう一度LTを当てられれば更にHPを10程度奪えます。

決着を付けられるかもしれません。















自分が回復するという選択肢はあなたの頭の中に出てきましたか?

相手をいかに「回復させないようにするか」という思考回路に陥っていませんでしたか?



例に出てきた"相手"という立場の人物が回復ではなく攻めてきたら?
LTを当てて潰せていたとしても、HPはまだ20も負けている状況だったんです。


しかし、「攻撃魔法で相手の詠唱を潰せた。」
この状況があなたの「回復させたくない、攻撃を続ける」という思考スイッチに強烈な電流を流します。

これが"相手"の思惑だったらどうしますか?

相手から見たあなたを"相手視点"で見てみましょう。


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HP差40あり、LTを唱えられているけど食らったとしてもまだHP差は20有利、
ヒール約2回分も有利を取れているから、距離を縮めて適当に詠唱してからLTを撃たせてハームを3回当てて倒そう。
LTの後にハームを一撃食らったとしてもHPはまだ有利だし、
ハーム1回当ててHPを削れば残り24だから、回復読みでLTでもいいかな。

あれ?回復せずに攻めてくる?じゃあ少しヒールしてハーム連打で倒せるな。
ラッキー!
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あなたが行ったのは「HPが相手より自分の方が0に近いのに、攻めた」という行為です。

客観的に見た時、これは「勝利条件」を満たす為に有効だと言えますか?


この"相手"にあなたがなるのです。
あなたは"相手"に思考を操られ、守るべき場面で守るのではなく、攻める事を「選ばされ」ました。

自分の思考、相手の思考を握るのは相手ではなく常に自分でなければなりません。


4.常勝の為に

「どんな相手」に対しても「常勝」する為には、思考を握るというのは必須な要素だと私は考えています。

その為には勝利条件、敗北条件のHPをよりシステマチックに、俯瞰的に、客観的に見続けなければいけません。
「自分のHPが相手より多いか?相手より少ないか?」
「相手より多いならばどうすればいい?少ないならどうすればいい?」

試合中ではなく、試合前に「状況ごとに行うべき事」を明確に決めておかなければならないと私は考えています。

試合中に迷った事により

「迷っていなければ回復出来ていたかもしれない。」
「攻撃が通ったかもしれない。」

という「かもしれない」部分を事前に潰す事で、
目まぐるしい試合展開の中でも、

自分起因によるHPの変動を試合全体を通して見た時に相手より多く発生させやすくなると考えています。

もし、お互いにこの理論を使って試合をしている場合、
どちらもHPが少なくなった時点で回復をしてしまうから決着が着かない可能性があります。

その場合、

①「詠唱妨害精度」
②「GHは通らないが、GHを詠唱したくなるパターンの詠唱」
③「ダメージ/ヒール量乱数による攻守の切り替え」


等をより効果的に駆使出来た方が勝利できると考えています。

①詠唱妨害精度
即時魔法を詠唱完了後、相手の詠唱を的確に即時魔法で妨害出来ているか
一言に詠唱妨害精度と言っても「妨害出来る状況を作り出す力」も重要になってきます。

ただ相手の魔法を潰すだけではなく、
相手がMagic ArrowやHealを撃ちたくなる状況を自身のRUN/詠唱パターンで作りだし、
そのMA/Healに対してカウンターとしてLT/Harmを唱え、上記を妨害を繰り返す状況を作り出す力の事です。

以下の問題について3秒でいいので考えてみてください。

とても大事な部分です。


【Harmを詠唱完了して追いかけてくる相手に何をしたくなりますか?】












逃げながらMAやHealではないでしょうか?
そしてMAやHealをするたびにLTやGHをする相手と戦ってると想像した時、どんな心境になりますか?
私なら焦ります。


これを逆の立場に置き換えればあなたが妨害する側になります。



②「GHは通らないが、GHを詠唱したくなるパターンの詠唱」
これは基礎知識があるからこそ通じる手段であり、上級者であればあるほどハマる可能性がある内容です。

HPが不利な状況が続いており、
PoAではないMagic Arrowが飛んできました。

その時あなたは1stのHealを使用し、MAで死ぬ事はありません。
しかし、依然としてHPは不利なまま。

そこに相手がFire Ballを使用してきました。
当然、MAがPoAではない為、MAの着弾後すぐにGHをすれば通る。という知識がある為、GHを詠唱しました。

その後、相手はFBの次に最速でWeakenを使用し、あなたのGHを潰しました。
不利はさらに大きくなり、あなたは追い詰められていきます。

上記の状況だけでなく、相手が突然FBを使用したら「GH通る!」と無意識レベルで操作をしてしまうかもしれません。
しかし、相手はまたしてもウィークンをしてきて、あなたは更に追い詰められていきました。


常勝理論では、HPが相手よりも少ない時は基本的に攻めてはいけない。
つまり相手よりHPが上回るまでは基本的に回復をした方がより安定した戦いが出来ると私は思っている為、
同じ常勝理論で戦闘した場合はこういった「知識を使いたくなる詠唱パターン」が意外と刺さると思っています。


③「ダメージ/ヒール量乱数による攻守の切り替え」
相手のHPが100
あなたのHPが95の場面を想定してください。

相手がMAを放ち、最低乱数の8ダメージでした
あなたのヒールが高乱数の13だった場合
HP差はどうなりますか?

常勝理論同士で戦う場合、

こういった僅かな乱数でも攻めに切り替えるか、

継続して守るかを判断する必要が出てくると思います。

攻撃を食らう前から魔法を撃たれた時点で相手が最高乱数を引いた場合のダメージを想定しておき、
自身のヒール最低乱数を引き続けたとしても、相手の最高乱数攻撃を耐えられるor上回るように回復する。

回復出来た時点で即座に攻守を切り替える。
 
という細かい部分の積み重ねが勝敗に繋がると考えています。
あくまで凄まじくPITが強く、尚且つ同じ常勝理論を適用している二人が戦った場合の話です。

しかし、これを常勝理論を知らない人に対して使ったらどうなると思いますか?
これ程までに細かい点を考えながら戦ってくる相手に勝てる自信はありますか?


"差"というのは、こういう所を指すのかもしれません。


著者 大和第二回PIT大会 優勝者 Oisi
       大和第一,第二回PIT大会 準優勝者 panna cotta

 

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