※この物語は、生まれながらに不安障害を持った男が、2018年頃から現在に至るまでに辿った『実話』である。
なおプライバシーの関係上、全ての人物は偽名とする。
〈前回のお話〉
《第119話 修繕への通知》
10数年ぶりに美容院で髪を切ってもらった感想は……。
生まれ変わった気分だった。
物理的には後頭部がスッキリして、頭が軽くなった感覚。
ちょっとジャンプしたら空も飛べてしまうんじゃないかと思うレベルだった。
沈んでいた気分が少し晴れて、ちょっとオシャレになったこともあったと思う。
俺は意味もなくスクランブル交差点付近のツタヤに寄っていた。
生まれ変わった自分を、多くの人に見てもらいたかったんだと思う(今思い出すと恥ずかしいけど)。
段々と、バイトを始めた頃の高揚感が戻ってきた。
よし、立ち直った、と、俺は自分に気合を入れて、新しい自分を見せびらかすように、ちょっとだけ遠回りをしてマンションに戻った。
(やば、イベント全然やってねえ)
気分が塞いでいて、ほったらかしにしていたモンストのイベントクエスト周回を始めた。
遅れを取り戻すために、テレビをイヤホンジャックで聞きながら、モンストのクエスト周回に没頭していた時、不意にライン通知が入った。
ミナミからだった。
【第120話に続く】