宇宙の深い闇を、掌に収まるほどの移民船団が静かに進んでいた。
外見は小さくとも、内部は異星技術で折りたたまれ、
数えきれないほどの乗員が眠っている。
彼らは、長い旅の果てに一つの星を目指していた。
その星の名は――地球。
祖先の冒険記
異星人の歴史には、有史以来“フロンティア”と呼ばれる文化があった。
未知の星へ旅立ち、記録を持ち帰る者たちの物語である。
その冒険記の一つに、地球の記述があった。
「都と呼ばれる場所で、恐れられていた“地上獣”を退け、
その地の裕福な女性に迎えられた」
祖先は宇宙航行のために極端に縮小した姿のまま地球に降り立った。
にもかかわらず怪物を倒したのだから、
地球の住民との力の差は歴然だ――
異星人たちはそう信じていた。
母星の環境は急速に悪化し、
生き延びるためには別の星への移住が避けられなかった。
そこで、有史以来フロンティアとして色んな星に出かけた
祖先の冒険記が読み返され、
持ち帰った書物から地球が候補の地に選ばれた。
地球は、
生存可能な環境
縮小技術との相性
必要なら本来の体格に戻れる技術の使用が可能
これらの条件を満たしていた。
こうして、一億を超える異星人を乗せた大船団が
静かに地球へと到着した。
彼らはまず、縮小された身体を元に戻すための準備を始めた。
その技術がどんな姿をしているのか――
地球側はまだ知らない。
富士の裾野。
深夜の畑は、風ひとつない静寂に包まれていた。
その静けさを破ったのは、
土の下から響く、かすかなざわめきだった。
最初は小動物かと思えた。
だが、その揺れは一直線に伸び、
まるで何かが地面の下を“行進”しているようだった。
やがて、畑の向こうの闇が――
ゆっくりと立ち上がった。
ひとつ。
ふたつ。
みっつ。
影は増え続け、
やがて百、千、万――
地平線いっぱいに並んでいく。
その動きは、まるで“生まれたばかりの巨人”が
身体の使い方を思い出しているかのようだった。
影のひとつがこちらを向いた。
その目の奥には、深い宇宙の色が宿っていた。
そして、腰に下げた奇妙な装置を軽く叩くと、
身体がわずかに震え、
輪郭が“成長の途中”のように揺らいだ。
その光景を見たとき、
古い昔話が脳裏に浮かぶ。
“小さな体で怪物を退治し、
不思議な道具で大きくなった若者の話”
祖先が地球に降り立ったときの縮小サイズは――
地球の尺度で三センチ。
古い単位では、
それをこう呼ぶ。
一寸
そして、彼らが身体を戻すために使った装置は、
地球では“小槌”として語り継がれた。
つまり――
一寸法師とは・・。
夜の地平線に立ち並ぶ無数の影が、
その事実を静かに示していた。






































