2024年2月10日(土)16時開演、いずみシンフォニエッタ大阪 第51回定期演奏会「和洋感応 —愉悦の流域」が近づいてまいりました。
公演プログラムに掲載いたします楽曲解説を4回に分けてご紹介いたします。
最終回④では「三味線協奏曲」を、作曲家自らの解説を掲載いたします。
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◆藤倉 大: 三味線協奏曲
三味線協奏曲は、三味線奏者の本條秀慈郎さんと友人の長谷川綾子さんによって個人的に共同委嘱されました。
この協奏曲は、秀慈郎さんのために書かれたソロ三味線のための私の以前の作品「Neo(音緒)」に基づいています。
僕は日本で育った時に、日本の伝統的な楽器を聞いたり、触れることは全然ありませんでした。
なので、三味線の楽器のこともあまり知りませんでした。
日本の伝統楽器である三味線のために音楽を書くとき、楽器を研究することから始めなければなりませんでした。
「Neo(音緒)」を書くために、僕は秀慈郎さんと長いビデオチャットを何度もしました。
また、この協奏曲を書くのを手伝うためにと、ある日秀慈郎さんは、本物の三味線を僕のロンドンの自宅に送ってくださいました。
三味線の研究している時に、三味線はロックバンドのエレクトリックギターのようなものだな、という印象が僕にはありました。
面白いことに、三味線の伝統的な奏法は、サウンドをディストーションさせる(さわり)を、追加します。
これは、従来の西洋楽器のアプローチの反対です。
この考えには僕はすごく興味を持ちました。
すでにソロ作品として存在している作品から協奏曲を作成するとき、僕は常にソロパートの素材をどのように展開、パワーアップできるか、を考えます。
それに加え、ソロ楽器が自由に動き回れる世界をオーケストラが作ってあげる。
そのことによってソリストをどう輝かせることができるか、というのが一番重要ポイントだと僕は思います。(作曲家は、時には結婚式のプランナーに似ているかもしれません。どうやって花嫁をその会場で一番美しく輝かさせられるか、という)。
三味線のディストーションのかかった音のすべてのアタックとリフは、オーケストラの鋭いアタックでエコーされて拡張されます。
反対に、オーケストラが演奏した部分はまた三味線を刺激し、「Neo(音緒)」にはない新しいソロ部分の素材を触発し、生まれさせます。
作曲中、毎日観察しているこの化学反応は、楽曲そのものが「はい、この曲はこれで完成よ!」と僕に言うまで、絶え間なく起こっています。
藤倉 大
作曲家
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2024年2月10日(土)16:00開演
15:30~プレコンサート 15:45~プレトーク
出演
飯森範親(指揮)
本條秀慈郎(三味線)
いずみシンフォニエッタ大阪
曲目
B.ブリテン: シンプル・シンフォニー op.4
冷水乃栄流: 室内オーケストラのための 「ハルシネーション」(関西出身若手作曲家委嘱プロジェクト第9弾)
一柳 慧: 室内交響曲「タイム・カレント」
藤倉 大: 三味線協奏曲 (Ensemble Ver.)
料金
一般¥5,500 U-30¥1,000