インテルに暗雲?
今日(10/13)の日経新聞からです.
インテル株覆う2つの影
CPUに逆風,微細化も遅れ,日本にも影響
久しぶりに自分がかかわっていた半導体の話題です.
すっかり過去の話になっていますが(笑),
読みだすと,ついつい深入りしてしまいます.
2000年前半まで半導体業界を引っ張ってきた
世界最大手のインテルですが,業績が悪いわけでもないのに
最近パッとした話が出てこないことが紙面上で取り上げられています.
株価がさえないことがその要因だそうです.
その低迷の要因と言える2つの課題
1.創るべき半導体の変化
ロジック(演算処理プロセッサ)での構造変化が極めて大きいとあります.
かつてはPC用のCPUで世界標準を1社で統括できたことで,
インテルの成功モデルがあったわけですが,クラウドサービスの台頭で
単純な計算を早くする能力が重視されるようになりました.
GPU(画像処理半導体:Graphics Processing Unit)のニーズが高まり,
3Dグラフィックスなどの画像描写のための半導体のシェアが
高まり続けるという予想があります.AIを急速に発達させた機械学習の1つ
「Deep learning」用に適しているからです.
2.開発や製造に特化した企業の台頭(半導体生産の変化)
根本的な変化要因と言えることに,半導体製造のやり方が変わったこと,
かつては垂直統合型(IDM: Integrated Device Manufacturing )が
当たり前でしたが,2010年代には完全に変わってしまいました.
水平分業型(Fabless, Foundry)が今や当たり前になってしまいました.
現在では,分業しないと儲からないと言われています.
もはや,設計から製造までを一括して行うものづくりは非効率,
得意分野に特化して,苦手なところは得意とする会社に任せることが
効率を最大化できると言われています.業界が大きくなった裏返しでもあります.
インテルが得意としている分野はCPU,これがGPUに押されているという
市場ニーズの変化,特にAI化が進むとこの傾向はさらに強まるでしょう!
加えて,もの創りの形態に関する垂直統合型継承の是非,
水平分業型の効率重視に比較するとどうしても
コスト面,納期面で勝てないところが出てしまう?
これをこの先どう弱点にせずに事業継続できるかです.
ということで,インテルもM&AでAI向け半導体を手掛ける2社を買収
その額は3.7兆円だそうです(驚).
更にCPU向け投資も増やしており,増額したのが10億ドル
増産体制の強化に莫大な資金をつぎ込んでいるとのことです.
とはいえ,かつてのインテルにも危機的状況はあったわけで,
それを幾度となく乗り越えてきたのがインテルという会社です.
その底時からは一般論で終始しないところに強みがあり,
GPU 優位の背景を乗り越える CPU を作り可能性を期待するところです.