これからの大学経営  | 都の西北 / 山梨 / 甲府 / 愛宕山からチトフナ(世田谷)に!

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2004年12月に山梨県に移住,15年を過ごした後に
2020年3月に世田谷に引っ越しました!

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これからの大学経営 

今日(1/10)の日経新聞 NIKKEI プラス1 からです.

 大学の公開講座で学ぶ

これは大学の立ち位置からすると素晴らしいビジネスモデルかと...

増え続ける大学に相反して,少子化で学生数が減り続ける現状,
破綻する大学も増えるだろうし,これまでの老舗大学であっても
経営が成り立たなくなることもあるでしょう.
そんな環境下で生き残り策をどう考えるかです.

その一つが一般向けの 『公開講座』 と言うわけです.
驚いたことはその受講者数です.
正直言って,これほどたくさんの人が利用しているんですね!
知名度の高い大学はそのブランド力で人を引っ張れる,
つまりのところ,『この大学で教えてもらえるのであれば間違い無いだろう...』
と言う具合に人が集まる仕組みなわけです.

紹介されている大学は 首都圏では明治大学,早稲田大学,上智大学
名古屋は南山大学,関西は関西大学,
こう見ると地の利もあるわけで,地方ではなかなか文化的な環境を
提供頂けないことも悲しい事実ではあります.
 → だから人は地方を離れ都心部に集まるのでしょう!

明治大学の公開講座は1999年には36しかなかったそうですが,
2013年度には10倍以上の406にも増えており,
受講者数は年間2万人を超えるそうです.
TOEIC 講座の受講料は¥32,000(90分,12回構成),
ビジネス講座は¥30,000くらい(90分,全8回)だそうで
単純に計算しても6億円以上の収入に繋がることになります.

この他にも特典が得られる会員制度を設けており,
明治では¥3,000 / 3年,早稲田では¥8,000 / 4年
この得点は大学図書館の開放やレストランの割引き,
レストランの割引きがあると人も集まりやすくなるので
収入面では相乗効果があるわけです.

この公開講座に人が集められる大学は
運営資金で数億レベルの実入りがあるので,
この実入りが無い大学に比較すると圧倒的に有利なわけです.
とすると,都心部の大学と地方の大学ではこの格差は埋められないだろうし
都心部でも知名度がまだまだ低い大学は苦戦を強いられます.

だから各大学も必死なわけです.
直近で言うと帝京大学,知名度の低さを医学部の強さを全面に出して,
国内大学の中での収入面ではトップに躍り出ています.
帝京大学はスポーツへの力の入れようも凄くて,
全国大学ラグビー6連覇(実は凄く悔しいけれど!).
その他,駅伝の亜細亜大学(今年は青学でしたが)
スケートの中京大学や関西大学,
種々の視点からも大学のブランド力を挙げなければ
次のビジネスの目に繋がらなくなります.

入学試験も大学にとっての大きな収入源です(国立除く).
1万人の受験者を増やせば3億円の収入になります.
従って,大学志願者数を単なる人気投票の一つと考えるのではなく
大学経営の資金調達の一つとして真剣に取り組む,
その為には地方での受験の機会を増やす,地方からも,海外からも
学生が入学しやすい仕組みを作る(と言っても入試のハードルを下げすぎない)
やり方はいかようにもあるわけです.

実は明治大学の父母会で知りましたが,
学部生には特待生制度があります.
センター試験の結果だけで,あるレベルを超えると
学費完全免除(ただし,センター試験で900点以上?)
この学生が東大を落ちたとしたら確実に拾っていく制度です.
 → センター試験の結果で即刻決まる特待生制度は
   明治大学ならではの制度と言えます.
   (普通の大学は入学してからの手続きとなります)
何もしないとこの手の学生は早稲田,慶應に行ってしまうか,
浪人して次の年には東大に入ってしまいます.

ところが,何故国立大学を目指すかと言えば
多くの狙いが学費の安さです.
それは普通に入った場合に私立より国立の方が学費が安いと言うことですが
その学費が私立であっても,特待生で免除されるとしたらどうでしょう?
大学ブランドに固執しなくなった昨今の若者の考え方からすると,
優秀な学生を拾えるわけです.学費免除は大きな魅力ですから!

不足する学費はその他大勢の一般学生からちょっと上乗せしてもらえばいいので
3万人以上いる大学で100人くらいの学費免除者を出すことは
さほど難しいことではありません.

お金は一般学生から,大学のレベル向上(学内からの将来の教授輩出)
研究成果や研究資金の獲得はこう言った特待生を鍛え上げることで実践,
これをうまく使った施策が特待生制度です.

この制度は勉強だけではなく,スポーツに関してもあるように聞いています.
収入面とブランド向上に関わる宣伝面で
学生の取り方を2分化することが私立大学の生き残り施策と言えます.
特に東京大学の滑り止めが仮に早慶であるならば,早慶以下の大学は
早慶よも好条件でそう言った優秀な学生を拾っていく
システムを構築していかなければなりません.

少子化が進む一方の環境下における大学経営,
予備校においても代ゼミが潰れそうになっている現状で
これまでに無い斬新な施策を企画,実践できる大学のみが
生き残っていけると推察します.