儲けに繋がりにくい基礎研究をどう考えるか? | 都の西北 / 山梨 / 甲府 / 愛宕山からチトフナ(世田谷)に!

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2004年12月に山梨県に移住,15年を過ごした後に
2020年3月に世田谷に引っ越しました!

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儲けに繋がりにくい基礎研究をどう考えるか?

今日(10/9)の日経新聞 特集 からです.

 ノーベル物理学賞座談会 米カリフォルニア大・中村修二教授に聞く
  好きな分野 学歴関係なし

中村さんは研究に当たって
 『怒りを仕事へのプラスのエネルギーに転換する』
  ことで困難を乗り越えてきたと述べられています.

この困難とは多くの意味が含まれていると思います.
この座談会でもあるように 『学歴』 による障壁,
そもそも研究職をやるためには自身のおつむの切れ具合が
ある水準以上であることを世間に示す
資格的な意味合いで学歴を身に付けなければなりません.
 → これは当然と言えばそれまでですが...

中村さんは徳島大出身なので学歴としては1流ではありません.
仮に国内でやって行くには,どうしても国立旧8帝大で学ぶこと
併せて研究の世界は 『徒弟制度』 なので,名の知れた先生の下で
学んだことがないと著名論文誌に採択されにくい傾向があります.
 たとえ早慶であっても,私立は私立,
 今でこそ,そこまで言われなくなってきましたが,
 小生が大学を出た頃は国立と私立の格差は,それはそれは
 大きいものがあったことを記憶しています. 

勿論,優れた論文を書けばどんな論文誌にも採択されるのですが,
特に日本は論文の最後の共著者に誰の名前が載っているか,
これは非常に大事な採択基準になっていると思います.

 中村さんはまずはこの学歴の壁と徒弟制度の壁を破ったと言えます.

次に研究を進める上でのやり方で,
企業での研究は,昔はまだ寛容でしたが
最近は富に収益に結びつくことを意識しなければなりません.

中村さん曰く,米国での職務で

 『学歴は余り関係ない.好きなことや興味のある分野があれば
   とにかくやってみる.そうすれば私のようなチャンスもある.』

これは凄いことで,小生は負けてしまいましたが
やりたいことをやり抜くことは簡単ではありません.

会社でやりたいことを主張すると,
『協調性がない』,『リーダーには不適任だ』,『管理職にはなれない』
そう言われるのが関の山かと....?
企業では会社の要求に応えること,ある面周りに流されることが
良しとされる傾向が強いと思います.
特に大手に勤めるとその傾向が強く,
中村さんのいた日亜化学は徳島の中小企業
運良く当時の社長さんに見込まれたこともあって
素晴らしい研究環境が与えられたことと,本人のやる気が
うまく整合したのだと思います.その成果が今回のノーベル賞受賞かと?
仮に,中村さんがいわゆる大手企業に就職していたら
今回の偉業は無かったと思います.

 恐らくですが,潰されていたと思います?

 管理職業務 = 自分を抑える,自我を出さないこと?

 研究者が一番苦手とする職制が管理職なのかもしれません?

更に,儲けに繋がりにくいことを長期にやらせてくれるほど
昨今の企業の器は大きくないというか,余裕がないというか...
基礎研究は大学でやる方が良い,それでも昨今の科研費の配布は
基礎研究には厳しくなる傾向があります.
世間全体にかつてほど人の生き方を寛容に受け入れる資質が
無くなってきていると思います.良いのか,悪いのか...
これは中村さんも同じ主張をされていますが,
日本の現実でもあり,課題でもあるわけです.

ある面偉業を達成するには,運も味方する必要があると思います.
 勿論,これも本人の実力あってですが..
中村さんはこの組織に関わる壁を乗り越え,自我を業務に対して
完遂させる一徹さがあったように思います.
 誰にでも出来ない,ここが凄いと思います.

偉業達成は 『壁を破る』 これが必要だと再認識した
今回の中村さんの偉業です!