事業創造のロジック ダントツのビジネスを発想する | 都の西北 / 山梨 / 甲府 / 愛宕山からチトフナ(世田谷)に!

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2004年12月に山梨県に移住,15年を過ごした後に
2020年3月に世田谷に引っ越しました!

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事業創造のロジック ダントツのビジネスを発想する
             (根来龍之著 / 日経BP)

ビジネスモデル研究をわかりやすく平易に解説

専門書というよりは一般向けに書き下ろした
(日経BPからの出版はこういった書き方を強要される?)
平易な記述になっています.

大学の講義ではもう少し経営学的な専門的視点を織り交ぜて議論するわけですが,
ここを基礎がない人にもついていけるように分かりやすく,
平易に説明しています.

とはいえ,マイケルポーターのポジショニング
(ちょっとマンネリ気味とは言えサウスウエストの活動システムも解説されています),
バーニーの資源ベース戦略論との対比についても述べられているので,
本書を一通り理解できれば概ねビジネスモデル研究の基本は抑えられると思います.
 ただ,本書だけでビジネスモデルの全様把握は難しいかもしれません?

本書は入門書とは言え,事例研究では新しい事例も織り込まれているので,
読み物としても面白いと思います.

例えば玉子屋の弁当ビジネスは大変興味深く読ませていただきました.
案外なじみのない事例を用いていただける方が新しい気付きがあるように思います.
弁当ビジネスだって成功している事例はビジネスモデルをしっかり構築,
戦略性を持って事業が進められているわけであり,
この点を再認識できる点は実に有意義だと思います.

その他,発展性の事例としては DeNAとセブンイレブンが取り上げられており,
これはよくある題材だとは思いましたが,
最近勉強していない小生にはセブンの近年の変化の全様を
再認識できたので大変勉強になりました.
特にセブンイレブンの情報システムの変化(p.235, 図表15-4)は
2006年以降の第6次システムの新規部分を理解するに至り,
セブンがコンビニ業界でトップを走り続けているという現状把握に役立ちました.
マンネリだと思っていたセブンイレブンの研究にも将来性があるわけです...

最後に筆者曰く,
『経営学者が経営しても成功しない』と言われていることに対して,
ある面当たり前だと言い切っておられるところが興味深く感じました.
経営学は経営に関わる答えそのものを与えるものではない,
考え方を一般化することが狙いであり,経営者にヒントは与えるでしょうが,
企業経営に関わる答えは経営者自身が最後にひねり出すべきものであります.

学問とビジネスはどこかで切り分けなければなりません.
ただ,一言付け加えると,
経営に関わるヒントをたくさん持っている経営学者が経営をすれば
少しは成功率が上がるように思えるのですが,
成功していないということは,
本気で経営者になりたいと思った経営学者がいないが故であり,
学問の道を究めると楽しくてビジネスなんてやってられない...
ということのように思えますね(笑)?

結構サクサク頭に入ってくる内容ですので,
読み物としても本書はお勧めだと思いますよ.
価格も比較的良心的ですよね!