企業再生の有り様,謙虚な学びから | 都の西北 / 山梨 / 甲府 / 愛宕山からチトフナ(世田谷)に!

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2004年12月に山梨県に移住,15年を過ごした後に
2020年3月に世田谷に引っ越しました!

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企業再生の有り様,謙虚な学びから

先週は1週間出張で日経新聞が読めなかったこともあり
土日でまとめ読み,たかが1週間,されど1週間,
多くの記事が目に留まりました.
 (新聞は毎日決まった量を読むことを習慣とするのが理想ですね!)

ルネサスが追加人員削減:5,400人(国内従業員の1/4)を発表,
まだ人を切るのか,これでまともな工場運営ができるのか,疑問です?
不採算製品の改廃が進まないので,顧客に製品提供時期の明示を発信
あらゆる視点からリストラを断行している話がありました.
確かに,一部顧客のわがままがゆえに不採算製品を作り続けている実情は
赤字の根源ともいえるわけで,この発想も『変えたくない』と言う
負の発想(仕事が増えることも拒む,いわば怠け習慣)からなります.
 ヤマダ電機で10年間同じ製品が売られていることは無いのに....?

その横の記事では,またまた驚きが...
3月までにエルピーダメモリの名前が消えることが記載されており,
マイクロンメモリージャパン となるそうです.
会社の名前が変わることは個々の社員は勿論のこと,
社会的な影響を含めてももっと意識すべきことであるにもかかわらず,
社員は給料が今まで通りもらえることで危機意識が希薄化,案外軽視されます.
ただ,エルピーダの名前がなくなることに少し寂しさを感じるところです.

ただ,エルピーダがマイクロンの資本に吸収されたことで
手元資金に少し余裕が出ることになった結果,投資が再開されることに,
これが3年ぶりとのことで,こういった企業統廃合は
必ずしも悪い話ばかりではない,いい面もあるわけです.
外資が入ることをよく思わない人もいるようですが,国内の雇用がこれで守られる
この点は配慮しなければなりません.キャノンの生産現場国内回帰の話もありますが,
日本国内での製造拠点の空洞化は絶対に避けなければなりません.

さて,前置きはここまでで本題に,
今日(1/26)の日経新聞 日曜に考える 半導体興亡史(今回が最後,残念!)
サムスン覇権の20年/技と戒め 日本に学ぶ   からです.
日の丸半導体の凋落のトリガの一つが韓国サムスン電子の台頭であり,
この台頭に有り様に日本の弱さが見え隠れします.

日本はかつて米国から学んだわけですが,韓国も日本に学んだ.
韓国と日本の違いは技術よりも技術者を獲得できたことが幸運であり,
あえてその素地を日本企業自身が作ってしまったことに課題があると思います.
その課題とは 日本企業は技術者を大切に扱わない ということです.

国内大手半導体メーカーではリストラの嵐,それも真っ最中!
ルネサスはまだ人を切るとのことですが(1/21 発表),
ここまでひどくなる前に人の再配置(親会社に戻す人は戻す,適正配置),
拠点統合(会社を統合すれば効率の悪い工場を閉じるのは常識),
やるべきことをやっていれば(要は人材マネージメントの問題ですが),
人材を無尽蔵に韓国に送らずに済んだかもしれません?

韓国は学ぶべきところは三顧の礼で向かいいれる,
多くの日本人技術者が海を渡り韓国に向かいいれられました.
  ただ,3年もすればお払い箱,プライドが高いだけの人は捨てられました.
  そんな技術者が再就職先を求める悲惨な状況にも遭遇しましたが...

日本の半導体は事業が低迷した際に
逆に韓国から学ぶ姿勢が足りなかったのではないか?
そんな問いかけがこの社説での最後のまとめの言葉になっています.
つまり,日の丸半導体の多くの部分がイノベーションのジレンマに陥っていた,
自身の組織が正しいと過信,この問題点を学び,幹部に次々と入れ替えて
組織に緊張感を持たせる手法を駆使したのがサムスン電子だったのかも知れません.

かつて世界一になった日の丸半導体は驕り高ぶり過ぎ,
自身を見失った結果が今の日本の電機業界全般だったように思いますね! 
ただ,自動車業界は例外といえる,これはこの先何年か先に
結果を持ち越すところだと思います.

それと,もう一つの日本の失敗が 『自前主義』,部品の内製化です.
自社向け半導体は組み込む製品が売れなくなると
たちまち高コスト体質になり,赤字を積み上げる根源となります.
その典型がパナソニックだったわけですが,
自前主義にもイノベーションのジレンマがぶら下がっており,
過去の成功でのし上がった経営トップは
かつての自身がいた部署や事業部を簡単に整理することはできません.
 → かつての自分を否定することになるのだから...

日産自動車が復活した理由は,かつての成功体験の多くを否定したこと
その否定を社外の,それもドライに数字だけを追える外国人経営者
カルロスゴーンに託したこと,この異国から来たトップに任せる
判断をした前任社長の塙氏は自身では感情的にその難行は無理,
つまりできると思った人に託した采配こそが
トップがしなければならない判断だと思います.

この成功モデルの否定, なかなか簡単にできることではありませんが,
それができなかった日本,日の丸半導体はできなかったその典型でしょうが
 (この最たる典型が今のルネサスでしょうね....)
これからその結果が見えてくるとは言え,できてきた韓国で,
いまの大きな差に繋がっているわけです.

1993年にメモリーで首位に立ったサムスン電子はこれで首位を
20年以上続けているので,日本が犯した失敗のフィードバックは
できていたように感じます.

残念ながら,かつての強みが今も自社の強みだと主張する
古参社員(これが取締役クラスだと更にたちが悪い?)は
今も会社のあちらこちらに散見できます(人害?).
サムスン電子は年齢に関係なく,業績を上げられた人は昇進,
できない人は会社を去る,儒教の国では珍しい実力主義を貫いているそうです.
今の日本も,これまでのやり方を大きく変えていかないと
韓国との,サムスン電子との差は開くばかり,
そんな危機感を植え付けられた日経の社説でした.