日本経済再生への現場強化 | 都の西北 / 山梨 / 甲府 / 愛宕山からチトフナ(世田谷)に!

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2004年12月に山梨県に移住,15年を過ごした後に
2020年3月に世田谷に引っ越しました!

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日本経済再生への現場強化

1/10,日経新聞の経済教室からです.
毎年正月明け早々に東京大学の藤本隆宏教授が執筆されていますが,
今年も経済再生視点からの現場力強化に関して,興味深い主張がありますので
ここで紹介したいと思います.

 ちなみに藤本教授のものづくりアーキテクチャー論を
  小生の修士論文で活用させていただきました(礼).

  日本の針路 成長へ『現場』強化支援を  と題して,

 安倍政権の成長戦力には『現場』の議論が不足しているとの主張です.

 ここで現場とは付加価値が流れる場所を示し,
  製造業の工場や開発拠点に加えて,非製造業の店舗,サービス拠点
  農場も含む,言わばモノづくりにおける根幹となるところです.

 まずは 企業と現場は同一ではないと言うこと.

この視点は多くの方が常識としては捉えきれない視点だと思います.
特に大企業は資本が支配する多産業・多国籍の集合体です.
現場の存続は本社の経営者が決めるですが,
通常現場は黙々と努力はするモノの,対外的な発信が無いので
大企業の本社や政府はこれを軽視しがちである,
 (本社から見えるのは現場が儲けているか,否かのみ!)
 これが藤本教授の第一の指摘です.

企業の成長エンジンは本来現場(モノづくりの根幹なので当然ですが)にあるので,
現場の議論無くして製造立国日本の再生はない,
その議論があまり成されていないことは,今の日本の進もうとしている
方向性は悪くはないモノの,片手落ちだと言うことです!

では,『現場の成長戦力』とはどういった内容になるのでしょうか?
ここが大事なポイントです!

日本の現場はここ最近で厳しい円安に直面,
適正な為替レート(¥105/$)であれば十分に利益が出ていたはずなのに
見た目は赤字である決算のみが経営に見えてしまうが故に
閉鎖されてしまった工場や事業所がたくさん出てきました.

特に家電業界はこれまでの『設計優位』を失い,
半導体チップと液晶画面さえ手に入れば
誰でもエンド製品が作れるので,生産性を数倍に高めたとしても
人件費の安い中国や東南アジア諸国に敗北,生産拠点は国外に流出,
強いてはパナソニックのように事業撤退に追い込まれているわけです.

ところが,中国にしてもベトナムにしても人件費が高騰しており,
物価水準も上がってきているので,日本との差はこれまでからすると小さくなる
これが『ハンディキャップ緩和』として事業優位に働くというのです.

 この先の日本復活のシナリオに繋がる一つの要因が
  『ハンディキャップ緩和』ということです.

為替効果で仕方なく赤字に落ち良いいていましたが
本来の現場力が優れている会社を『強い赤字企業』と定義,
これが『ハンディキャップ緩和』によって『強い黒字企業』に変わります.
と言うか,2013年度は変わったということでしょう!

ただ,現場力が弱い,国の規制策によって生き残っていた『弱い黒字企業』は
事業としての能力構築が必要で,製造業では非製造業を巻き込む,
活動範囲をこれまで以上にグローバル化した地域全体での取り組みが
執拗であり,これを政府が支援すべきとあります.

 『弱い赤字地企業』はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に代表される
  規制緩和で淘汰される,ここでの再生の道は厳しいかも?

利益の追求と現場の能力構築を両立できる企業のみがこの先生き残れる,
それが日本企業の目指すべき視点だと言うことです.

 実に納得がいく分かりやすい藤本教授の説明に
  いつもながらに感銘を受けました!