日本企業再生のシナリオ
紙面上で今もっとも注目の日立製作所の話です.
日立製作所が経営陣の交代を発表,
過去5年にわたって社長,会長を務めた川村隆会長が退き,
中西宏明社長が会長に,東原敏昭専務が社長に就任する!
そこで,今日(1/10)の日経新聞社説からです.
なかなか核心をついた素晴らしい記事でしたので
ここで取り上げてみたいと思いました.
日立の改革が映す日本企業再生の道筋
「沈む巨艦」と呼ばれた日立がなぜ力強く復活できたのか?
この考察が非常に優れた指摘になっています.
1.リストラの戦略性
2012年に手放したハードディスク(HD)事業からの撤退は特筆に値する.
それなりの利益は上げていたが,基本戦略に一致しないことが売却の理由
『社会インフラ事業に力を入れる全社戦略に一致しないが故の売却』
これまでの日立であれば,赤字にならない限り漫然と事業継続
問題が出てきた頃には手が付けられなくなるといった状態になることが常でした.
それ以前にあったPDP事業の売却は従来路線だったかもしれません?
更に,基幹事業と判断すると歴史やしがらみにとらわれず英断
火力発電設備での三菱重工との事業提携,合理的な選択重視の経営方針です.
2.経営トップの行動力
中西社長のフットワークはすごいらしく,海外企業や政府幹部との会合を
苦にもしないグローバルな活動を展開中だそうです.
海外案件含め,事業はトップの存在感が非常に重要で
今の日立にはそれなりにトップの資質が備わってきたそうです.
ただ,欧米企業にはまだまだかなわいところは否定できないとあります.
日立製作所が復活したシナリオが日本企業復活のシナリオではないか?
日経新聞ではそう示唆しています.
加えてですが(これは日経新聞に記載にない話),
歴代社長が東大系列だった日立で,地方大学出身の社長が出てきたことに
(とは言え,東原敏昭氏は徳島大工学部卒,米ボストン大大学院修了のエリート)
少々驚きを感じています.東大絶対主義の基盤も変わっているということ.
実力があれば東大卒でなくても社長になれる(今風の)会社に
あの偉大なる日立製作所がなったということ,変わったな~,と思いました.
でも,変わらないとこのご時世,いくら大企業でも生き残れないわけで,
パナソニックやシャープがこの路線に乗れるか,注目したいと思います.