モノづくり復活に必要な最適賃金とは?
昨晩(1/7)の日経新聞夕刊からです.
ウォール街ラウンドアップ 米製造業復活の代償
日本もそうですが,米国でも製造業の空洞化が進み,
賃金の安い中国,ベトナムにモノづくりの拠点がどんどん移っています.
この原因は先進国の賃金の高騰,そもそも賃金はその労働価値に対して
支払われるモノですが,生産性が落ちているにもかかわらず
賃金が下がらなかったり,逆に上がるのが現状です.
物価水準の高い米国や日本でモノづくりをすることの
効率の悪さが生産拠点の撤退に繋がっています.
日経記事で取り上げられているボーイング社の話は
製造拠点を米国に戻すけれど,上がりすぎている賃金(ここでは社員の待遇)を
下げさせることが大前提としたことに,雇用者側が大反対,
最初はこの受け入れを却下したそうです.
でも,仕事が無くなるとそもそも働けなくなるので
最後は賛成51%,反対49%で未来の雇用を選んだそうです.
(それでもぎりぎりの線での妥協といえるでしょうか?)
その代償は年金,医療保険を犠牲とした契約内容だったそうです.
製造業復活の代償とは,これまでの恵まれた雇用条件の再認識と,
失われた雇用の機会を,その恵まれた待遇が下がることを大前提に
受け入れること,これが出来ないといい時代には戻れないというわけです.
一度良い待遇を受けた人たちの復権は,まずは代償ありき,
そんな厳しい二者選択を,我々はこれからしなければならないと言うことです.
この話,米国に限った話ではないように思いますね?
<追記>
今日(1/8)の日経新聞,時事解析・賃金は上がるか? からです.
ここのコラムには,日本と米国での実証研究から示されることとして,
従業員一人あたりの付加価値額(利益と人件費の合計)が
向上すると賃金も上昇する傾向にあるとのことです.
即効性が高い経営手法として,企業が従業員を減らせば労働生産性は上昇し,
残る従業員の賃金は上げやすくなるともあります.
ただ,需要の拡大路線で労働生産性が上がり(かつての日本?)
雇用も賃金も上がる経済を目指すほうが,真の経済活性化につながるので,
これが多くの人に成果をもたらすとあります.
経済大国の復活が理想通りにいくか,いかがでしょうかね?