山梨での経営学談義
今日は久々の自身の大学に関わる話,
山梨でも自身が経営にかかわる議論ができるコミュニティーに
参加できそうになった事をご紹介したいと思います.
山梨学院経営学研究センターがそれです.
残念ながら山梨大学には文科系の学科が無く
(教育人間学部は教員育成が主,都留文科大学もありますが甲府からは遠い?)
首都圏にいたときのような経営に関わる議論は無理だと諦めていましたが,
予想を裏切るいい話が飛び込んできました.
ある朝の山梨日日新聞に記載されていたワークショップの紹介,
インターネットで調べてみると,先生方の話の内容に興味を引れたので
参加してみることにしました.
山梨学院大学に経営学研究センターなるモノがあり
(RIMS : Research Institute of Management Study)
ワークショップを開催するとありました.
http://www.ygu.ac.jp/rims/mission.html#missionp
5/25のワークショップお題は
『よい製品』を『利益』に繋げる―製品開発から考える技術経営―
山梨学院大学現代ビジネス学部准教授 東 秀忠 准教授
東准教授は 東京大学 藤本 隆宏 教授と師弟関係にあります.
藤本先生はモノづくりにおけるアーキテクチャ論の大家
小生が2005年に提出した修士論文のテーマが『半導体ビジネスのアーキテクチャ』
このベースとなる理論は藤本先生の考え方からスタートしています.
→ この理論のベースはハーバード大学のクラーク,ボールドウィンの
モジュール理論,大昔勉強したところです.
と言う事で,藤本理論をベースに講義は3時間以上にわたる内容の濃いモノで
大変勉強になりました.刺激も受けました.
特におもしろかった論点は
インテグラルなアーキテクチャが自動車では成立して
半導体や液晶,電子機器,通信機器では何故成り立たないかです.
→ 自動車では収益が上がり,電気製品は収益が上がらない
(最近,経営学者でも注視している論点とか?)
インテグラルとは簡単に言うとモノづくりで摺り合わせを必要とする
単なる組み合わせよりは難しくなる生産手法,
日本が得意としてきたフィールドです.
モジュラーはその逆で,比較的単純に組み合わせるだけで最終製品が出来る
生産量やコストがものを言うモノづくりの在り方です.
小生の考えは最終製品への半導体の介入依存度(CoC依存度と言いましょうか?),
これが高いと製品のモジュラー化が容易になり,
この分野で弱い日本は収益を上げられないのではとの主張です.
ハイテク製品はその傾向が強くなっており,半導体チップが著しく進化し,
ワンチップマイコンが当たり前になると,その高性能マイコンを購入するだけで
誰でも最終製品が作れてしまい,
モジュール化が容易になるのではないかといった考え方です.
これに対して,東准教授の視点は製品スペックの高さと顧客ニーズの関係から
スペックの高さが顧客や市場のニーズに一致する場合
よりモジュラー化が可能となることから製品の自動化が完全に近づく,
その結果,生産装置の完成度が高くなり,その製造装置を購入する
ことが出来ればモジュラー化が進み易い.
そのフィールドで弱い日本は収益が上げられないとの主張です.
加えて,最終的に制御する事象が運動であったり,熱である場合
インテグラルなモノづくりが有利になるのではないか...
と言った主張もされており,確かに一理あるのでは,と感じました.
電気信号で最終的に何とかなる半導体製品や液晶画面は
最終段階でのモジュール化が容易だからです.
日本がまだモノづくりで優位を保っている自動車の最終制御要因は
運動エネルギー,白物家電でも洗濯機はその範疇です.
→ クルマは走行性能だけで善し悪しが決まらないと言うこと!
燃費であり,価格であり,デザインであり,居住性である
消費者のニーズは多様であると言うことです.
加えて,冷蔵庫や炊飯器は熱を制御します.
この分野はインテグラルなモノづくりに優位性が残るのではないか?
そう言った視点から議論されていました.
いずれにせよ完全な説明は出来ない訳ですが
仮説をぶつけ合い議論することは実に有意義であり,興味深く,
このような思考時間は非常に楽しいモノになりました.
最近は思考回路を働かせる仕事が極めて少なくなっており,
こういった知的興味をそそられる時間を作れることは
最大の喜びというか,実にありがたいモノですね!
次回は7/20,戦略的な人的資源管理を目指して
(今の仕事に直結して役立つような話かと?)
参加予定です.