イノベーション・オブ・ライフ(クリステンセン著 / 翔泳社)
『キャリア形成と人の幸せの関係』 という命題設定が興味深い
素晴らしい,人の羨むキャリアを形成した人が
必ずしも幸せになれない原因はどこにあるのか,
イノベーションの大家であるクリステンセンが興味深い視点から
切り込んでいる論点に,まずは興味をそそられました.
まず最初に述べられている視点が職を選ぶに際しての動機付けです.
人が働く動機付けに関して,
ハーズバークの『動機付け要因』に関わる研究は,
産業カウンセラーの学習でも出てきた視点で,
クリステンセンはこれと関連づけて,以下の主張をしています.
衛生要因で仕事を選んだ同僚 → 幸せになれない場合が多い
動機付け要因で仕事を選んだ同僚 → 不幸にならない場合が多い
動機付け要因は人の内的要因であり,
簡単に言うと仕事へのやる気を誘発するモノで,
責任や権限,達成感などが相当します.
これに対して,衛生要因は欠如すると仕事へのやる気がなくなるが,
有ること自体が仕事の動機付けに繋がりにくいモノです.
会社の衛生環境が悪いと仕事へのやる気が低下しますが,
通常は良くて当たり前,その視点から衛生要因と呼ばれています.
衛生要因の典型が給与だと言われており,
給与は無いと生活できないのであることは必須条件ですが,
人は給料が高い事を最優先でやる気を出さないという理屈です.
高いレベルのキャリアを形成して,給与重視,
つまり衛生要因重視で職を選択した場合,
人としての幸福を得られない場合が多くなっている傾向を
クリステンセンは指摘しているのです(大変納得!).
上記主張は本書の冒頭で述べられています.
ただ,この部分のインパクトが全体の中で最も印象に残りました.
今日(2/11)は大阪への日帰り出張,
→ 移動だけでとっても疲れました(汗)
往復11時間の車中で読み切った本書は
最近読んだ書籍の中では,最も印象深いモノだと言えます!
是非,読んで頂きたいと思いました.
自身の人生を改めて考えさせてくれた良書です.