事故に遭った老犬のその後
=この寒空で人の温かさが身に染みた出来事=
全国的に天気が悪く、金沢は昨日から生憎の雪となってしまった。
昨日と今日は石川県公立高校入試と重なり、受検生達には気の毒な天候となった。
塾生達が帰宅した後、娘から電話があった。
仕事中に電話をかけてくることなどない娘ので、何事かと思った。
「近くで犬が車に轢かれ怪我をした。動物病院に連れて行ったが、明日保護施設に連れて行ってくれないか」と言うではないか。
とりあえず、了承して電話を切った。
帰宅してから詳しい話を聞くと、
仕事から帰る途中、たまたま自宅近くの薬屋に寄ると、女性2人が犬を囲んでしゃがんでいた。時折雪が降っているのにおかしいなと思って尋ねたら、犬が車に轢かれ怪我をしていると言うからビックリした。
見ると、立ってはいるが前足から血を流していた。
ずぶ濡れで震えていたので、ブランケット掛け包帯を買って血を流している足に巻いて応急処置をした。
店員さんも出てきて、手伝ってくれたそうだ。
首輪をしているけど随分と痩せている様子だったので、捨て犬ではないかと思い、食べ物を買って与えたら勢い良く食べたから、少し安心した。
見ず知らずの人達だったけど、お互いにこのまま放って置けないと思い、警察をはじめ方々に連絡を取った。たまたま近くの動物病院に電話したらつながった。
若い女性の方が自分の車を出すと言うので、もう一人の方がずぶ濡れの犬を抱っこして、3人で病院に連れて行った。
病院で応急処置をしてもらったら、骨折はしていないし他には大きな怪我はない。
ドッグフードをあげたらよく食べたから、大丈夫だろう。でも、14,5歳の老犬だと言う。
今夜は様子を見るから、明日誰かが施設に連れていくことになった。
そこで、娘がミスターに電話してきたという訳だ。(ちょっと長かった)
ミスターは朝から用事はあったけど、どうにか都合を付けて引き取りに伺うことにした。
まったく面識のない人達が、大きな怪我をした老犬を前にして、その命をつなぐために知恵を出し合い最善の方法を考え合った。
〝森友学園疑惑”で揺れる世知辛い世の中。黙って通り過ぎればそれで済み、温かい我が家に帰れるところを、わざわざ死にかけた犬を救うためにみんなで協力し合った。
病院の医師も大したものだ。治療費もかかるとだろうに、しっかりと処置をして翌日まで面倒も見てくれた。
血を流してやっと立っている老犬を前に、何の見返りも求めることもなく、命を救いたいう思いから行動した。
東日本大震災からもう直ぐ6年。街角のほんの小さな出来事だけど、人と人。人と動物。つながり・優しさの大切さ、有り難さを改めて感じた。
翌日、犬を引き取りに向かおうとしたミスターの携帯に、病院の医師から電話が入った。
「どうやら飼い主が見つかりそうです。確認できたらまた連絡します。」という。
しばらくして、「飼い主が現れました。昨夜からいなくなって探していたんです。皆さんに有難うと伝えて下さい。」と医師から連絡が来た。
「こちらこそ、親切に対応して頂き有難うございます」と言って、電話を切った。
「飼い主が見つかって、本当に良かった。捨て犬ではなかったんだ。」
なんだか嬉しくなり、どうしても病院に行ってみたくなった。
手ぶらでは気が引けるので、西金沢駅前のいつも行くサンドイッチ工房R.5でシフォンケーキを買って、米泉にあるYOU動物病院を尋ねてみた。
電話の声はとっても優しく穏やかだったが、ご本人もその声のままの優しそうな方だった。
「こっちも嬉しくなって、来てみました」
すでにその犬は飼い主に引き取られていて、残念ながら会うことは出来なかったけど、きっと安心したことだろうなと思う。
娘には、飼い主が現れて無事に犬は引き取られたことをメールし、直ぐに「ありがとう」の返信が来た。他の二人にも連絡を取ったそうだ。
何はともあれ、ハッピーエンドに終わって、一件落着だ。
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