勝ち組になりたいだと。ふざけるな! by.デノッチ
今日、合格祈願のお札に卒業までの目標を書いたのですが、
ある女子が『志望校に受かって、勝ち組になりたいです』
と書いてあった。
友達もそれにだいぶ怒っていました。
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受験倍率が1倍を超したら、必ず不合格者は出ることになる。
受験生だったらみんな合格したいと思っているし、合格するために必死になって勉強しているんだ。騒いで授業妨害していたような勉強嫌いな連中だって、今はそれなりに受験勉強をしている。
受験は結果が全てだ。しかし、人生においては受験までの努力がより重要で、その人の人としての成長を大きく促すものだ。
家の人はテレビのボリュームを下げたり、「風邪をひくなよ」と優しい声をかけてくれる。
時にはそんな気遣いが邪魔になったり、かえってイライラさせることもあるが、この辛い受験勉強を通して、自分はいろいろな人に支えられているんだと、改めて心の底から感謝の念が湧いてくる。
受験は子供が自分の人生をかけて、最初に迎える試練だ。無事に入試当日に辿り着ければそれで善しだ。
合格発表の日が歓喜の日になる者もいれば、悔し涙にくれる者もいる。でも、その日が新たなスタートとなる日なのだ。
受験生全員が自分の努力の結果を迎える日が、合格発表の日だ。
でもそこには、「勝ち組」「負け組」などは存在しないのだ。
この言葉には、不合格者を蔑む気持ちが含まれている。冗談じゃない。受験は汁物だ。
たまたま不合格になって涙にくれている友人を嘲笑うような真似は、励まし合って努力をしてきた人間なら出来ない筈だ。
「勝ち組になりたい」と言っていた女子達は、それ程の悪意はなかったのだろうが、気持ちが荒んでいる。
不本意な進学先に行った子が、「先生、この学校すっごく楽しいよ」とわざわざ報告しに来てくれることはよくある。
逆に、志望校にせっかく入ったのに、「学校つまらん」「毎日面白くないし、部活もやめたワ」と、自分の学校の不平不満を言い続ける言う子が結構いる。
先日、高校サッカーで全国優勝した星稜高校は、入学者の8割から9割は第一志望校不合格者だ。入学時に挫折感を持って入学してきた子達ばかりだ。
でも、全校生徒でスタジアムで母校のチームを応援し、自分達のクラスメートが高校の頂点に立った。
一生の中でそんな感動は、星稜高に入っていなければ味わえなかっただろう。
去年の夏の甲子園出場をかけた小松大谷との試合など、石川県どころか海外にまで広く伝えられた。
社会に出て「泉丘高出身です」と言うより、「星稜の大逆転を生で応援してました」と言った方が、営業成績は確実に上がるだろう。
そんなこと考えていると、受験で「勝ち組」「負け組」などと考えることが、本当に馬鹿らしくなる。意味のないことだ。
明日は石川高専の推薦入試だ。合格するのに越したことはない。でも、それが全てではない。
辛い受験勉強を通して、自分達が大きく成長しているんだということを感じ取ってほしい。