仏現寺の大伝石(ぶつげんじのだいでんいし) | 伊豆高原 遊リゾートのちーさん

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平成5年から11年間”広報いとう”に掲載されていた山本悟氏の

「親子で読む昔話」です。

何人かの方が、民話や伝説を後世に残す為に努力されていたのですね。

時間の経つのも忘れ、読みふけってしまいます。


佛現寺の大伝石(ぶつげんじのだいでんいし)


                   伊東市玖須美百年史より

                   山本 悟氏


力士大島伝吉は一点をにらみつけるように立っていました。

なんとそれは伝吉の背丈を越すほどの巨石でした。


力士は関取と違い、その強力ぶりを見物衆に興味深く見せることを

仕事にしていました。


「伝吉はな。二百貫(750キログラム)くらいの石なら、両手で頭の上

まで持ち上げるということだ」


「でもな、この石、大関の阿武松(あぶまつ)と高砂が、二人がかりで

押しても、びくともしなかったほどの巨石だぞ」


「いくら力自慢の伝吉でも、こいつだけは動かせめえ」


見物衆のそんなささやきも耳に入らぬ気に、伝吉はゆっくり前へ進み

ました。そして両の手のひらにふうっと息を吹きかけると、そのまま

巨石にぴたっと当てました。


見物衆は息を飲みました。


ややおいて伝吉の唸り声。

見物衆はぐらりと動く巨石を見て驚きの声をあげました。


評判は八方に広がり、力士伝吉の地方巡業はどこへ行っても大盛況

でした。


「伝吉がやって来たぞう!」


「これからさ、どえらいことをやって見せるとよう」


人々は船着き場へ走って行きました。黒山のような人だかりです。

やがて、ドーンと太鼓が打ち鳴らされました。

小屋の戸がガラガラと音をたてて開くと同時に、中から出て来たのは

伝吉でした。


両足にはいてる下駄は一斗(18ℓ)だる。

もちろん中には醤油がいっぱい入っています。


左右の腕には3俵ずつの米俵を縛りつけ、おまけにもう1俵を口にくわえて

います。

120貫(450キログラム)を身につけ、1歩また1歩とあゆび(廻船の通路

にする厚板の桟橋)の方に進みます。


伝吉の履いたたる下駄が厚板を踏むと、ギギー、ギギーときしみます。

見物衆は音に合わせるかのように唸り声をあげました。


次の土地の興行は、紙を貼った雨戸を立て掛け、大筆で文字を書いて

見せる業でした。


高々と持ち上げられた米俵。

両端に取り付けられた桟俵。その一方に突き刺した太筆。

穂先にたっぷりと含ませた墨。

(伝吉)と大書された文字を見て、見物衆の中から卒倒する者まで出る

騒ぎでした。


巡業の先々で、見物衆を驚かせた力士伝吉は、伊豆大島岡田村に

生まれました。

巡業の途中で、伊東にも立ち寄ったことはまちがいないと思われますが、

それがいつごろだったのか、はっきりしません。


仏現寺の仁王門をくぐると、すぐ右手に角の丸くなった飾り気のない

石が立っています。


石の中央に大傳石(だいでんいし)、その右下に大島伝吉と刻まれて

います。

おそらく伝吉によって持ち上げられた力石なのでしょう。




仏現寺の仁王門


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入って右側に大傳石(だいでんいし)があります。


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仏現寺から望む伊東市内


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伊東市 仏現寺



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