自分が感じる感覚と誰かが感じる感覚は同じだとは限りません
暑さ寒さの感覚も、
味の濃さも、
興味を引くツボも、
私のそれとあなたのとは多分違います
自分がちょうど良くても他の人もそうとは限らない
痛みもそうですね。
自分なら大したことがない痛みでも、他の人にとってはわめきたくなるくらい痛いとか…
以前勤めていた接骨院にいらしていた男性患者さん。
普段はベテランの鍼灸師さんが担当していましたが、ある日たまたま私が入ることになりました。
ちらっと私をみて、
「足が痛い」
と言われます。
そして、右膝あたりをぐりぐり触ったかと思ったら、
足を外してしまわれました…
右足は膝から下が義足だったんですね
そして、痛いのは右の足首あたりとおっしゃいます
義足の具合が悪いわけではなく、
目の前には見ることができない
「右足首が痛い!」
と言われました。
ファントムペインと言います。
ファントムは幽霊とか幻のことです。
ファントムペイン(Phantom pain)
- 幻肢痛。切断した四肢などの感覚や痛みを感じること。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
(ファントムペインで画像検索したら☝これが出てきたのですが…それこそ、私は興味がない…)
四肢切断後の患者の80%以上は失った四肢が存在するような錯覚(phantom limb awareness)や失った四肢が存在していた空間に温冷感や痺れ感などの感覚(phantom sensation)を知覚し、これらの感覚経験を幻肢と総称する。幻肢は四肢切断でなくても、脳卒中、脊髄損傷や末梢神経損傷などの運動麻痺や感覚遮断によっても発症し、これらは余剰幻肢と呼ばれる。また、乳房や陰茎、眼球などの切除後にも幻身体は現れる。幻肢に合併する痛み(幻肢痛:phantom limb pain)の発症頻度は四肢切断患者の50-80%とされ、その長期予後は報告によって異なるものの大部分の患者では数年を経ても幻肢痛を伴う。
幻肢痛の発症機序は、末梢神経の損傷によって出来た神経腫由来の異常インパルスや脊髄レベルでの神経細胞の易興奮性など様々な要因によって誘発されることが考えられており、これらの分子生物学的なメカニズムは幻肢痛に限らず神経障害性疼痛全般に共通していると考えられる
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%B9%BB%E8%82%A2%E7%97%9B 脳科学辞典 幻肢痛より一部抜粋
なんで唐突にこんなお話になったかというと、先日いらした患者さんとお話をしていて
その方は子宮と卵巣を一部摘出されたのですが
元々の生理周期で出血ではなく、「なんか出るの」と言われました。
病院の先生にお伝えしたら、「脳の錯覚だね」と言われたそうです。
痛みではないですが、幻肢痛の一種ですね。
身体の仕組みって複雑です
義足だった患者さん、
私にはその痛みを感じ取ることはできませんでした。
当時ファントムペインという言葉も知りませんでしたが、なんとなくただ、「そういうこともあるんだ」と感じました。
ですから、ないはずの右足首が痛い!
と言われて「そんなはずはないです」とは言いませんでした。(言える雰囲気でもなかったし…)
私がしたのは、左足の治療です。
「痛むのはこの辺ですか?」とお聞きしながら触れる左足を触りました。
実際にその方の右足首の痛みが楽になったのかどうかはわかりません。
でも、その方に寄り添うことはできたようで、次から指名をいただけました。
多分、痛みを訴える患者さんの中には(患部の治療はもちろんですが)
ただ痛いという気持ちに寄り添って欲しい
という方もいらっしゃるのではないかと思います。
目が痛いけど、眼科では異状ないと言われた
歯が痛いけど虫歯じゃないらしい
「でも、痛いモノは痛い!」
その心と体の声に寄り添うことも大事なことだな
とあらためて思っています。
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ほねつぎ大幸院(東洋整骨院 大幸院)
http://toyo-daiko.com
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画像はネットからお借りしています。
ありがとうございました!