桃の節句の日、娘の璃子に
着物を着せたり、料理を作ったり
あれやこれやと忙しく準備をしながらふと
この風景はどこかで見たなと思った。
私が幼い日の3月3日もこんな風に母が
忙しそうに、でも嬉しそうに
支度していたっけなと。
立春が過ぎると、お雛様を
押し入れから出してきて
母と一緒に飾った。
優しい顔立ちに
艶やかな着物を纏った雛人形は
どんな置物よりも奇麗で、
とても特別な気がして
母の目を盗んでは、触れてみたくて
小さな手を伸ばした記憶がある。
雛人形と一緒に飾った桃の花は
桃の節句の日が近づくに連れて
かたい蕾を徐々に膨らませ、
甘い香りとともに愛らしい桃色で
部屋中を華やかにしていった。
あたかも雛祭りを心待ちにする
幼い女の子の高揚感を
小さな桃の花々が表しているように。
そんな幼い日の記憶が走馬灯のように
脳裏をよぎり、そしてまた
意識を手元に戻すと
璃子は私の腕をするりとすり抜け
お雛様の元へ高速ハイハイ。
お雛様に手を伸ばして、
飾りをぐしゃぐしゃにしていた。
だめと言われても触りたくなる気持ちは
痛い程わかるし、
だめと言われた時の絶望的に悲しい気持ちも
よくわかるんだけどね~

ついつい大人は言ってしまうのです。
「触っちゃだめ」って。
こんな娘とのやりとりと
幼き日の自分の姿がぴったりと重なって
なんだか苦笑してしまったのだけど
こうやっていつの時代も
繰り返されながら繋がって行くのだなと
妙に感慨深く感じてしまった。
お雛祭りの献立を考えたり
この日のためのテーブルウェアを
夜な夜な手作りしたりしながら
こうやって母も私の成長を
お祝いしてくれたんだと思うと、
あらためて親の愛情の深さを実感した。
娘の幸せを願う親の想いは
昔も今も変わらないのですね。
さて、我が子も他の伊是名キッズと同様
みなさんにお稽古場で面倒をみていただきながら
すくすく元気に育っております

家でもお稽古場でも好きな音楽が流れると
体を揺らしながらリズムをとっている娘

最近はパーランクーや扇子も
オモチャにして遊んでいます。
その姿を見ながら、
「しめしめ、刷り込みは順調だ・・・」と
密かにほくそえんでいる母です。
立派な伊是名キッズにするべく
目下奮闘中です

by マキシ