滞留する空気、蝉時雨、浴衣姿ではしゃぐ女の子たち、、、
まったく日本の夏らしい一日だ。
な~んてしみじみ感じた、とある日。
うちに帰ると昔ながらの丸い金魚鉢がテーブルの上に置いてあった。
なかを覗いてみると、赤い金魚と白い金魚
そして3匹のめだかが泳いでいる
真っ黒に日焼けした甥っ子が駆け寄ってきて、
「お祭りでとったんだよ~すごいでしょ」とドヤ顔をきめた。
社会人になって数年も経つと、
夏休みが始まるあのわくわく感が薄れてくるというか、
世間の夏休みっていつから始まってるんだっけ~と、
まぁ、ちょっとしらけた感じになってしましまうものなんですね、
悲しきことですが。
家に子供がいて嬉しいことの一つに
季節ならではのイベントが到来する、
あのわくわく感を思い出させてくれるということが
あるんじゃないかと思うわけで。。。
観察日記のために持ち帰ってきた朝顔。
ベランダで風に吹かれている小さな水着。
床に放り投げられている、
まだまっさらな夏休みの宿題
そして、金魚鉢もそうだけど
甥っ子はこういったきらきらの
夏のかけらたちを家中にちりばめている。
やっぱり夏はこうでなくっちゃね。
ところで、甥っ子の初めてのペットとなったこの金魚たち。
名前はなんてつけたのと聞くと
「えっとねぇ、白と赤とめだか。」と答える甥っ子。
「??・・え?、で名前は?」と聞き返す私。
「だから~、名前が”シロ”と”アカ”と”メダカ”だってばぁ。」と甥っ子。
たしかに特徴をとらえた十分にわかりやすい名前なんだけど、
なんとも独特なネーミングセンスである。
さらに、、、
「でもさ、めだかは3匹いるでしょ。
全部”メダカ”じゃ、どれがどれかわかんないじゃん。」と私。
「だって、どれがどのめだかか結局わかんないでしょ。
だから3匹とも”メダカ”なんだよ。」と甥っ子。
たっ、たしかに。
合理的ではないか
妙に納得してしまった。
私が7歳の頃、そんなことはひとつも思いつかなかった。
最近の子供は進化しているのか、さめているのか。。
そして翌日。
悲しいことに、シロは天国へと泳いでいってしまった
シロは小さな金魚鉢の中で短い一生を遂げたわけだけれども、
甥っ子がふれる生まれて初めての”死”は
彼に命の儚さを知る素晴らしい経験を与えてくれた。
そして甥っ子は
生き物に愛情を注ぐということを覚え、
金魚鉢にたっぷりのヨーグルトも注いでいた。。。
真っ白に濁った金魚鉢を発見した私は
「ぎゃ~、なんでこんなことしたのーっ(冷汗)」と絶叫したが、
この男の言い分を聞いてまたまた納得。
甥っ子曰く、
「ママがヨーグルトは体にいいから食べなさいっていうでしょ。
だから、アカとメダカにも健康になって長生きしてもらうために
ヨーグルトを食べさせてあげたの」
はぁ~、なるほどね~。
きっと、乳酸菌がウヨウヨしているであろうこの金魚鉢の中で
アカとメダカとメダカとメダカは、
どえらい迷惑だったにちがいないが、
彼の最大級の愛情だったこともまた真実である。
日に日にこんがり焼けていく甥っ子を眺めていると
きらきらひかるような子供時代の日々を思い出し
ノスタルジーに浸ってしまう今日この頃。
