前回の記事に引き続き、こぼれ話編でござい。
覚えている限り記事にしていきますので、ネタをくれてもいいんですよ?座組のミナサン。
始まり始まりー。
・なんで・・・?
舞台でもプロレスでもライブでも公演が始まる前に前説というモノがある。
何かの略語であるかのように見えてwikiで調べても「前説」以上の情報はないので前説という名称?なのだろう。
今公演に関してダブルキャストだったので、Bチームが講演する際は俺はスタッフワークを行う。観劇に来てくださったお客さんのチケットを捥ぎったり席に案内したり・・・無論、前説も例外ではなくスタッフチームが行う。
つーか、俺が行う。
逆にAチーム公演の際はBチームの前田薫平(B虎鉄)が前説を行う。
この前説という作業はなかなかに大変なのである。舞台に関して言えば『やることが当たり前、かつ、やれて当たり前』当たり前という言葉がここまで憎々しげに見えるのは俺が緊張しいだからかもしれんが・・・
とにかく、250人を超える人に向けて注意事項や厳禁事項等を懇切丁寧に説明していく。
いいですか?250人ですよ?要するに500個の眼球が一つの目標を見据えるんですよ!?んでもってこちらからも客に向けて言っているわけで!
2個の眼球 VS 500個の眼球ですよ!!圧倒的多勢に無勢!!勝てるわけもないッ!!噛むよそりゃッ!!!
とまぁ、不毛な言い訳を並べ立てても詮無きことだろう。
しかし、このめくるめく眼球同士の最終決戦が行われているのを尻目に緞帳の裏側ではなんとも無情な会話が行われていたのである。
演出家 藏信貴(弥七)この人である。
前田薫平が持ち前の飄々とした風情で前説を行っている裏、上手脇の舞台袖で待機していたその時である。
藏さんが何の気なしにこう発した。
「イザナくんと前田くんてさ、ウチで一番人相の悪い二人だよね。なんで前説してんの?」
決めたのアンタだあああああッッと心の中で絶叫した。
・ブレないッ・・・・俺は、絶対に・・・!!
「ブレない!」なんとも男らしく頼もしい発言であろうか。仮に俺が女性として生を受けたならば子宮から火を噴かんばかりに言って欲しい言葉かもしれない。
大概の劇場とは飲食禁止である。無論飲酒は言うに及ばず。
俺自身かなりの疑問が残るが、劇場が禁止と言っているのだから禁止なのだ。俺の疑問など、差し挟む余地が無いほど禁止なのだ。無論そこを借りて公演を打つわけだから劇団からも注意喚起しなければならない。
それが、前項でも述べた前説だ。劇場からの意思、劇団からの要望を上手く摩擦が起こらないよう説明していく作業なのだ。
しかしながら、お芝居というのは公演を行う者がどういう意思であれ、観る側にとっては娯楽以上の何物でもない。
娯楽の楽しみ方は人それぞれであり、観る姿勢もまた然り、なのである。
スポーツ観戦で食い物飲み物を販売してない球場があるだろうか?映画館でビールを販売してないところがあるだろうか?芝居小屋だけ例外というのは理屈としてどうなのか?
そんな疑問が介在しつつ話に現れるのは俺のパパである。
父は生き方がヒッピー以外の何者でもないため、昔からアングラ芝居や俺には名前もわからないインド楽器などの歴史に聡い。
無論今まで観劇に行ったテント芝居で酒を飲まずにいたことは無い!と思われる。
絶対!!に呑むだろうなとは考えていたが、まさか痕跡を残すとは思っていなかったのが、前回同劇場で行った公演だ。
客席にビールの空き缶が残っており、これはイカン!と前説の内容を増やしたのが俺の噛み癖につながった。
お父さん僕を産んでくれてありがとう。でもしかし、お父さんのせいで前説で噛む癖がついてしまったよ。責任取れ。
と言いたい。
話を戻す。
今回も父は劇場まで足を運んでくれた。ビール片手に。
受付に父の風貌をあらかじめ伝えておき、身体検査をしてもらう。すると胸ポッケからお酒登場。没収。
ふふん。息子の作戦勝ちだな父よ。
公演が終わり、実家に「俺の勝ちだな!父よ!」と戦勝報告をしに行くと、敗軍である筈の父はこう言う。
「そんなこともあろうかと・・・・・・
あらかじめ呑んでおいたのサッ!!!」
続けて、
「ブレないッ!!俺は絶対にッ!!」
この不毛な親子の戦がいつまで続くかは、誰もわからない。
ま、俺が役者を辞めるか、父が逝くまで続くのでしょうなー。
ちゃんちゃん