こんにちは~!
前回記事で仰々しく「脾の不調シリーズ最終回です!」と言ってしまったのですが(笑)、一つ症例を思い出したので補足です。
前回記事の昇清作用の逆、つまり下降してしまう現象のことを中医学では「中気下陥」と呼びます。
脾は中焦にあり、脾気が弱って下に下がってしまうという意味ですね。
前回、「私が診たことあるのは内臓下垂と痔くらい・・・」と申し上げましたが、もう一つありました。
うちのお店に自律神経系でご相談に来局される常連の30代の男性の方からのご相談だったのですが、いつもとご様子が違います。
何となく右目が塞がっているし、舌もろれつが回ってないので声も聞きづらいです。
「え?どうされたんですか?」と伺ったところ先月から瞼が塞がって見えにくいし、舌がもつれて話もしにくくなったとのことでした。
大学病院の眼科、内科、脳外科でCT,MRIなど色々な検査をやったそうですが異常なし。
原因不明で薬もないと言われ、漢方で何とかならないかとのご相談でした。
私も大学病院の薬局に勤務していた時に顔の下垂は1~2例見たことがありますが、「ベル麻痺」とか「三叉神経の異常」で、それなら西洋医学的な治療法もきちんとあります。
しかし、「ベル麻痺でも三叉神経の異常でもないと言われた」そうなので、私も頭を抱えてしまいました。
ただ一つ気になったのは舌のもつれです。
舌は脾と関係が深いので、「もしかして脾が関係してるのかなぁ?そう言えばかなりの脾虚だしなぁ・・・」とは思いましたが、「でも、かなりの肝気鬱結だから自律神経だよね。眉骨も左右で高さが違うし、頭蓋骨に歪みでも出たのかもしれない」と考えあぐねた挙句・・・
骨の歪みは漢方ではどうしようもないので、いつもの鍼灸の先生にご紹介しました。
「どうなったかな~」と心配ていましたが、翌月にまたご来局頂いたときにはすっかり治ってました。
目がパッチリと開いてますし、舌のもつれがなくなり会話もスムーズです。
なんと、2回の施術でよくなったとのこと!
「流石だな~」と思いつつ、私自身が鍼灸治療に行った時に先生に質問してみました。
「あの瞼の下垂は何が原因だったんですか?」
その質問の答えがこちら!
「自律神経系の問題もかなりあったけど、一番の原因は中気下陥ですね。スマホの見過ぎでかなり重度な眼精疲労で目の周りの骨格に無理な負担がかかって弱っていたから、瞼に下垂が起こったのでしょう。」
え~っ?胃が弱っても瞼が下がるの???中気下陥って内臓だけでなく、頭みたいな体の上部にも起こるの???
不勉強で経験不足の私にはかなりなカルチャーショックでした。
でも、原因が中気下陥なら西洋医学では、どうにもならなかったな・・・と鍼灸の先生にご紹介して良かったと改めて思いました。
(漢方でもどうにもならなかったです。鍼灸の先生、ありがとうございました!)
それ以来その患者さんには脾虚を改善する漢方でゆっくり体質改善してもらっています。
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