モテまっする!下
三器ほど壁に並ぶ小便器。
縦の長さならば、その小便器にも負ける気がしない巻物型の貼り紙が、隙間産業とはこのことよとばかりに、便器と便器の間にオセロ状態で貼られていた。
なんならば、お小水はこちらで!と間違いそうな存在感。
目に入らないと言えば嘘となる、その大きな貼り紙は全部で四種類。
右端から追ってみることにする。
「継続は力なり!」
小窓状態のイラストと、縦書きの一句という構成らしい。
ここで言う「継続」は、SB(小便)もしくはDB(大便)を出し続けろ、力の限り出し続けろ、例え食事中でも、デート中でも、といったことではなく筋肉強化のことだろう。
小窓には、
「成せばなる
成せねばならぬ
何事も~♪ 」
そんなことを小指立てて歌う人のイラストが描かれている。
ヘブン状態とまではいかないまでも、恍惚顔で歌う氏の横顔。
リアルで遭遇したら、「なんか辛いことでもあったん?」と訊ねたくなる。
声には出さないが。
酔いたい夜もあるだろう。歌に酔い、自分に酔い、筋肉に酔う。
言っておくが、これからこういった貼り紙が続く。
ここのトイレのだけのために描(書)いたのならば、なかなかの仕事だ。
「伝説を継ぐものは
あなただ! 」
トイレで運命の人指名である。
「●●ちゃん、3番テーブルにご指名です!」といったレベルではなく、伝説を継ぐものこと、下手すれば救世主(メシヤ)扱い。
正直、いきなり言われても困る。
SB(小便)をする準備は「あとは流るる川のように出すもの出すだけ、let it be」と十分出来ていても、伝説の継承の方はちょっと困る。
「21世紀の
「雷電」は
僕だ! 」
一体何を言っているのだろう。
直射日光でも浴びすぎたのであろうか、あれほど帽子をかぶれと言っていたのに・・・。
と検索してみれば、その謎を解いてくれる興味深い文面のタイトルの記事があった。
國保取締役が総括「21世紀の雷電は誰なのかが1つのテーマ」 -スポーツナビ
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/text/200909240001-spnavi_1.html
どうやら、「SENGOKU RAIDEN CHAMPIONSHIP」という名の格闘技の大会が行なわれているようだ。その名の通り、雷「いかづち」&電「いなずま」という破壊力にあやかったチャンピオンを決める大会のようだが、この貼り紙はそれを指しているのだろう。
一般人には分かり辛いぜ。
何を思ったか、貼り紙の中の氏は正に「伝説を継ぐもの」として気付いてしまったのだろう。
突然の決断は場所を選ばず、抑え切れない衝動に駆られ思わず窓から飛び出してしまいそうな氏。その突発的な行動に、別に雷電でなくても周りのものは畏怖の想いを抱かずにいられないだろう。
俗に言う、危ない人だ。
連日暑いし、しょうがない。
そして忘れないで欲しい、これらは便器と便器の間に貼られているのだ。
ここはトイレなのだ。
これまた、連日暑いし、もうしょうがない。
続きまして、
「一度きりの人生だから・・・・
男なら・・やってやれ!」
たまたまここで用を足した人も、まさかこんなトイレで啓蒙活動を受けるとは思いもよらなかっただろう。
人生にもう一歩と、背中を押すような内容の一句ばかりであるが、押された先はマッスルゾーンである。
だんだんマッスル脳に洗脳されそうになるが、しっかりしよう。
「男なら・・やってやれ!」、いかなる場所でも使える非常にマルチユースな言葉だ。
時と場所、使いようによっては非常に危険な香りもはらむ。
その言葉に掛かるイラストは、
「脱サラして・・
格闘家に俺は・・
ナル!」
脱サラしてその後に何になるかは各自にお任せする。
「新東京タワーに俺はなる!」という人も中にはいるだろう。「だったら、俺は新々東京タワーになる!」って人もいるかもしれない。
イラストの中の氏はサラリーマンとしての人生に挫折感を感じ、何かを決意した。
どうやらその何かが格闘家への転向らしいが、一体何があったのか。その決断の裏には何が?
幼少からの夢を諦め切れなかったのか、はたまたマッスルの貼り紙だらけのトイレを利用してしまったのだろう。
影響されたな。
最後に待ち受けるは、
「心も体も磨けば磨いた分だけ・・・
モテまっする!」
天上天下唯我独尊、どこまでも貫き通すマッスル魂。
人って何かを始めるときに、ただ単純に好きだからということだけで始める人もいれば、やはり見返りを望む人だっている。
バンド始めました!・・・女子にモテたいから
サッカー始めました!・・・女子にモテたいから
料理教室に通い始めました!・・・女子にモテたいから
手品教室に通い始めました!・・・女子にモテたいから
ダンス教室に通い始めました!・・・女子にモテたいから
ヨガ教室に通い始めました!・・・女子にモテたいから
シークレットブーツをはきました!・・・女子にモテたいから
小猫を飼い始めました!・・・女子にモテたいから
パンチパーマやめました!・・・やっぱり女子にモテたいから
等、よこしまな思いがあったっていいじゃないか、人間だもの、黒みつを。
極めた先が何であれ、何でも継続することが大事だ。
その継続のガソリン的な燃料になるのならば、異性にモテたいという気持ちもいいのではないだろうか?
その上には、
「マッスルになればもっと自分に
自信がもてるかなぁ~
そして行き付けのクラブKの●イちゃん
と念願の初デート出来るかなぁ~ 」
とりあえず、こんな「かなぁ~」を連発するじめじめした男性はダメだろうという点は置いておいて、随分と設定が細かい。
一コマ漫画なのに、ある程度のストーリーがほとんど説明されている。
なんだか見ていると、はるか昔に少年ジャンプの中にあった広告を思い出す。
それは筋トレ器具の通販広告なのだが、どこからどうみてもひ弱そうで、色白貧弱な青年が筋トレした結果、ガチムチになり、いじめていた奴らも跳ね返すわ、バカにしていたあの娘も腕の中といった感じのものだ。
そういった広告が毎号のように載っていた。
↓こんな感じです。
ν速には少年誌の裏表紙載ってる通販グッズを買ってしまったうっかりさんはいないよね -働くモノニュース : 人生VIP職人ブログwww
http://workingnews.blog117.fc2.com/blog-entry-1466.html
少年期にそんな広告をうさんくさい目で見て育ったせいか、筋肉つける(+日焼け)=モテるという法則に懐疑的である。
ぽっちゃり男子が好きな人も世の中にはいるだろう。
とりあえずモテたいならば、最終的には中身が男前ということをひたすら強調しよう。
もしくは、、ある程度の小銭(貯金)を貯め込んでおくかだ。
一途マッスルではなく、何事もほどほどにということだ。
トイレの貼り紙の量もな。
締めに洗面台にも、
「マッスルは一日にしてならず!
レッツ自主連!」
プロテインだ。
●ンキ内で売られているプロテインの広告だ。
ここで飲めということではないらしい。
最後の最後まで、脳ミソが筋肉化してしまいそうな貼り紙で埋めつくされたトイレだった。
隙間もなければ、ぬかりもない。
情報量が多すぎて軽くめまいがする。
ここのトイレのドアを開けて、さらに筋肉の扉を開ける人はいるのだろうか?
「よーし!モテマッスルになりマッスル!」という人が。
とりあえず、女子トイレの方がどうなっているのかちょっと気になる。
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「厠イヤミ百景の一景」
・本当にあった怖い尻 (更新予定)
・女子マネージャー列伝 (更新予定)
・歩こうの会 おざな (更新予定)
モテまっする!上
うーん。
とりあえず見てもらった方が早いと思うので、トイレの全体写真をどうぞ。
「落ち着いて用を足す」ということから、銀河一つ分ほど対極地にあるような内装。
一瞬、自我に目覚め始めた中学生の部屋にでも入り込んだかのような錯覚をおぼえる。
しかもその中学生は相当の格闘好きだ。
かなりアピールが強めのトイレでは、壁の白い部分を探すことの方が難しい。
どうやら大きく貼られているポスターのほとんどが、過去に開催された格闘イベントのもののようだ。
皆さん揃いも揃って筋肉隆々だ。
瓶のフタが開かないというときは側にいて欲しい。
その反面、暑い日なんかちょっと距離が欲しい。
どこもかしこも、マッスル、マッスル、マッスルの過剰サービス。
こちらの目線の余裕がない、褐色の肌色の情報量が多すぎる。
トイレを利用する側としては、上半身を裸にした威勢のいいポーズをとっている男達の前で、逆に下半身をさらけ出さなければならない。
こっちはこっちで下半身を突き出した方がいいのだろうか?
「これが俺の真の拳だ!」的な意味合いで。
なにが楽しくて男の裸見ながら用を足さなければならないのだ?
そんなネイキッドカーニバルの日が来るだなんて、「●●の母」などの呼ばれ方をしている占い師でも予想だにしなかっただろう。
「ん、あなたの手相・・・・・、いつか上半身裸の男と勝負する日が来るわ!しかもあなたは下半身出して!」
多分、消費者センターに電話する。
天井近くでは、
筋肉と筋肉とがぶつかり合う様子を映したモニターが煌々と光っている。
またモニター周りは石造のようなシールが貼られ、蔦(ツタ)がからまっている。雰囲気作りという奴だ。
「異世界」という言葉が自然と頭に浮かぶ。
トイレのドアを開けたはずが、中で待ち受けていたのはガチムチマッスルな男たちの謝肉祭。
決してここはコロシアムなどのトイレではない。
いつの間に、トイレはリングになってしまったのだろう。
弱き男は用すらも足せないのだろうか?
といったわけもなく、だいたいの理由は分かっている。
ここのトイレは以前うちのブログで記事にしたことがある、♪ドンドンドン♪●ンキーホーテ♪のトイレだ。
多分、この中のどこかにあります↓
過去記事一覧 http://www.leolio.com/index/KAWAYA/KAWAYA_menu.html
久しぶりに訪れてみれば、同じ建物内に格闘技ジムが新しくオープンしているのを見つけ、その後トイレのドアをオープンしてみればこれだ。この有り様だ。
以前、記事にしたときとは大幅に車線変更しているが、よくよく見れば過去に撮ったド●キーホーテのイメージキャラクターのドンペンくんのトイレの貼り紙も残っている。
先程のモニターに絡まっている蔦なんかも、ドンキーホーテ店内の装飾の延長だろう。
そのジムとドン●ーホーテがマッスルタッグを組んだのか、トイレ全体がジムへの入会の案内+α。
云わば、トイレ内がマッスル広告で埋め尽くされている。
「ドンキプレス
特集 夏 ボディメイク! 」
私からは多くは語らないが、●ンキ内で販売されている肉体強化グッズの宣伝等もあったりなんかしている。
今から始めれば、来年の夏までには十分肉体改造は可能だ。
ピタTを着れば、隠し着れないマッスルボディ!パーフェクトボディ!
今年の夏はあきらめろ。
正に、●ンキ×筋肉×トイレの三者一体となったトイレに入りこんだようだ。
こういった直接的な宣伝の貼り紙もあれば、こちらの写真を見てもらいたい。
小便器と小便器とを挟む、縦に開いた巻物形となっている貼り紙。
「そんなに隙間が怖いか?隙間恐怖症なのか?」と問いたくなるほどの、スペース有効活用。
わざわざここのジムへの勧誘のために作ったのならば、なかなかの大作だ。
それを作った闘魂(スピリット)もこちらも買うしかあるまい。
追ってみることにする。
ちょっと枚数がまだまだ多くなるので、次回に続きます。
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「厠イヤミ百景の一景」
・本当にあった怖い尻 (更新予定)
・女子マネージャー列伝 (更新予定)
・歩こうの会 おざな (更新予定)
ロック!ロック!こんにちは!
「手洗所」
一見すると、試着室?かと思うような公園のトイレ。
ペンタゴンの形状をしたそのトイレは決して大きくない。
「大改造!!劇的ビフォーアフター」にて匠に改築を頼んだとしても、「う~ん、一度ぶっつぶした方が早いっすよ!これじゃ、俺の得意な"意外な収納場所"も作れませんし」と、一蹴されてしまいそうだ。
そんなチャーミングなトイレだが、よくよく見ると入口のドアに掛かるように貼り紙がされている。
なんなら封印っぽいことがされている。
ちょっと近寄ってみよう。
「いたずらが激しい為
このトイレは閉鎖しています。
●●区 ●●●●●●● 」
本当に封印していた。
まるで何か良からぬものを閉じ込めているかのようだ。
いくら尿が漏れそうでも、今すぐ肛ノ門から焼きおにぎりが出て来そうでも、何が何でも開けれないように緑色の養生テープでしっかりと留められた閉鎖報告。
「何人たりとも絶対このトイレには入れさせない!」、そんな強い意志を貼り紙から感じる。
むしろ貼り紙の貼り方から感じる。
トイレのドアノブに手をかければ、もちろん鍵はかかっていたのだが、ある意味この貼り紙も鍵の役割を果たしているようだ。
普通の児童公園なのに、ここまで誰も入れたくないなんて。
一体、ここのトイレに何があったのだろう。
封印した時点で、トイレにも使えないし、ドアを貼り紙で閉じているので物置にも使えない。
区としても開ける気がないのだろう。
これでは公園の端に、六角形の筒が建っているようなものだ。
そして、この筒の側面に別の貼り紙が見えた。
それによると、このトイレの受けたいたずらの時系列に疑問が生じた。
もしかすると、この封印貼り紙は二代目かもしれないのだ。
同じく頑なな意思を感じる養生テープで貼られた貼り紙の文章を追ってみる。
「お知らせ
12月1日より開放します。
なお、トイレ使用目的以外の寝泊り、いたずら行為が発生した場合には
再度一時閉鎖致します。
皆様のご理解とご協力のほどをお願い致します。
●●区 公園管理所
●●●●ー●●●● 」
このトイレの貼り紙を撮影したのは今月こと、7月だ。
連日猛暑が続く、カンカン照りのサマーど真ん中だ。
自分に子供がいたならば、強制的にでも麦わら帽子をかぶらせるか、オートバックスでフルフェイスのヘルメットをかぶせる。・・・それは、それで暑いが。
とにかく暑い、暑い、夏である。
しかし、ここの貼り紙にある再開予定日時は12月1日。
「そういえば、12月なんて月もあったなぁ~」と、あまりに昼も夜も暑くて、そんな月があったのかどうかなんてあやふやものだ。もしかすると8月の次は正月かもしれない。
頭の中に回路があるとすれば、回路の通りのアスファルトが溶けていて何も考えられない。
まるで潮干狩りの開放日ような、トイレの開放予定日というのも不思議な言葉だけども、これは果たして今年の冬の話なんだろうか?これから数ヶ月後の話なんだろうか?
もしかして、去年の冬の12月のことなのでは?と、ふと思った。
貼り紙にあるように、ここのトイレを「青年の家」的なものと勘違いした人が寝泊りしたり、「俺のアートはキャンバスには収まりきらないぜ」と、なぜかトイレで何かを発散してしまった人たちによる被害があったのだろう。
それによる仕方のない閉鎖。
その閉鎖が今の閉鎖だろうか?
そうじゃなくて、今の閉鎖は貼り紙の文中の「再度一時閉鎖します」の方に当たるのではないだろうか?
去年、いたずらにより閉鎖されたトイレは12月1日に一度復活を果たした。しかし新たに度重なるいたずらによって再度閉鎖されてしまったのではないだろうか?
つまり側面の貼り紙だけは去年からのもののような気がする。
というのも、正面のドアの真ん中に一度貼り紙を貼って剥がした跡が見受けられるからだ。
推測の域を出ないが、当初ここに閉鎖します的な貼り紙が貼られていたのではないだろうか?
そして一度12月1日に開放したときに一度剥がしたのだが、利用者に何の改善も見られなかったので再度閉鎖。
今度は多少の怒りも入っているので、正面の貼り紙は封印するかのようにドアに掛かるような場所に貼り直し、側面の貼り紙は去年から続投という形で。
今閉鎖しているのは初めてではないんだぞ、と。
一回、心許して開放したのにまた閉じてるんだぞ、と。
もう知らないんだからね、と。
いわゆる一つのいい加減にしてね的な意味合いで、側面の貼り紙は残っている気がする。
どのくらいの間封鎖しているかは定かではないが、この真夏に12月1日の予定の貼り紙は違和感を感じる。
まだ秋口辺りに閉鎖したのならばともかく。
そうなると、自然と次の開放予定日は未定ということになる。
「今度二人で遊びに行こうね!」と言われたときの「今度」くらいに未定だ。不確かだ。未知数だ。あやふやだ。きっと、嘘だ。
・・・・・早い開放が待たれるところだ。
それにしても窓も全て閉め切っているので、このトイレの中はかなりナチュラルサウナ状態になっているはずである。
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「厠イヤミ百景の一景」
・本当にあった怖い尻 (更新予定)
・女子マネージャー列伝 (更新予定)
・歩こうの会 おざな (更新予定)