酒類飲料概論
日本酒・焼酎
日本酒
日本酒とは
1.米、米麹、水を発酵し漉したもの
2.米、米麹、水、清酒粕、他政令による物品を発酵し漉したもの
3.清酒に清酒粕を加えて漉したもの
いずれもアルコール度数は22度未満
日本酒の特性
5~60℃と広い飲用温度で楽しめる
燗つけの効果
香りが豊かに広がり、味わいが膨らみ、口当たりはまろやかになる傾向
ぬる燗 40℃前後
熱燗 50℃前後
ひやおろし
新酒をひと夏熟成させたもの、9~11月頃出荷
夏を越すことで酒質が上がることを「秋上がり」「秋晴れ」という
逆に貯蔵環境が悪く酒質が低下することを「秋落ち」という
原料米=醸造用玄米
並行複発酵:日本酒の醸造では、まず発酵に必要な糖を得るための”糖化”が必要だが、麹菌の酵素による糖化作用と、酵母によるアルコール発酵が同時に進行する。
ワイン→単発酵(ブドウは元々糖分を持つため酵母だけの働きでアルコール発酵が進む)
ビール→単行複発酵(ビールの原料の大麦には不活性化の糖化酵素が多量に含まれており、発芽すると活性化されるため、大麦を発芽させでんぷんを糖化、麦芽滓を除去後、水やホップを加えた麦汁を作り酵母を添加しアルコール発酵する。糖化とアルコール発酵の工程が別々に管理される醸造法。
日本酒造りの工程に関する用語
1.浸漬
原料に水分を吸わせる作業
2.蒸きょう
原料米を蒸すこと
3.段仕込み(段掛け法)
醪(もろみ)の仕込みは通常3回に分けて行い、それぞれ初添、仲添、留添とよび、いわゆる三段仕込みという
4.上槽
発酵を終えた醪を絞ること
5.火入れ
60~65℃程度で一定時間、酒を加熱し残存酵素の働きを止め、殺菌して、酒質の安定化を図る。いわゆるパストゥリザシヨン
酒造好適米
飯米に対して日本酒造りに的した性質をもつ原料米
代表的酒造好適米と特徴
1.山田錦
・酒米で生産量最多
・晩稲(おくて)品種、水分量多く、溶けやすく奥行きある豊醇な味わいの日本酒となる
・1923年兵庫で生まれる
・兵庫が質、量ともに多
2.五百万石
・寒冷地向けの早稲(わせ)品種、硬く溶けにくい
・1938年新潟で交配
3.美山錦
・耐寒性高い=東日本(長野、秋田、山形)で多い
・淡麗ですっきりした酒質となる
・大粒で豊満かつ心白率高い
・1978年長野県で命名
4.雄町
・品種改良なく江戸時代から栽培
・晩稲品種でよく熟して水分が多い、味わいにヴォリュームでやすい
・岡山で穂を発見、大粒で心白も大
水について
硬水よりの水→骨格のしっかりした辛口(灘の宮水)
軟水よりの水→口当たりが柔らかくまろやか(京都・伏見の御香水)
酒母(=酛)について
醪の発酵の原動力となる、酵母を大量に純粋培養する元
生酛系酒母
生酛と山廃酛に代表される、自然の乳酸菌を取り込み増殖させる
速醸系酒母
醸造用乳酸を添加して行う酒母培養法、現在、酒母の大半を占める
日本酒の製法と品質表示
1989年”清酒の製法品質表示基準” 国税庁
特定名称酒(麹米は15%以上)
吟醸酒 米、米麹、醸造アルコール 精米歩合60%以下
大吟醸酒 米、米麹、醸造アルコール 精米歩合50%以下
純米酒 米、米麹
純米吟醸酒 米、米麹 精米歩合60%以下
純米大吟醸酒 米、米麹 精米歩合50%以下
特別純米酒 米、米麹 精米歩合60%以下または特別な製造方法
本醸造酒 米、米麹、醸造アルコール 精米歩合70%以下
特別本醸造酒 米、米麹、醸造アルコール 精米歩合60%以下または特別な製法
*吟醸造り
伝統的によりよく精米した白米を低温でゆっくり(30日程度)発酵、粕の割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造
*地理的表示
白山(石川県・白山市) 2005年12月指定
山形(山形県) 2016年12月指定
灘五郷(兵庫県) 2018年6月指定
はりま(兵庫県) 2020年3月指定
三重(三重県) 2020年6月指定
(和歌山梅酒(和歌山県)2020年9月リキュール(その他の酒類)で全国初の指定)
利根沼田(群馬県) 2021年1月指定
萩(山口県) 2021年3月指定
山梨(山梨県) 2021年4月指定
佐賀(佐賀県) 2021年6月指定
長野(長野県) 2021年6月指定
新潟(新潟県) 2022年2月指定
滋賀(滋賀県) 2022年4月指定
日本酒 2015年12月指定
原料の米および米麹に国産米を用い、日本国内で製造したもの
*以前は数が少なかったので出題されていましたが、これだけ増えるとどうでしょうか?”初めて”には注意ですね
焼酎
「連続式蒸留焼酎」と「単式蒸留焼酎」
焼酎とは、所定の原料をアルコール発酵させ蒸留した酒で
A.連続式蒸留機で蒸留、アルコール分36度未満
B.単式蒸留機で蒸留 アルコール分45度以下
のいずれかに当てはまり、ウイスキー、ウオッカ、ラム、ジンなどに該当しないもの
連続式蒸留焼酎=焼酎甲類=ホワイトリカー①
・ほぼ無味無臭のクリアな味わいの焼酎
・梅酒などの果実酒作りや、酎ハイやサワー、カクテルのベース
単式蒸留焼酎=焼酎乙類=ホワイトリカー②
・一度しか蒸留を行わないため原料の違いから生まれる個性のある味わいや香りをもつ焼酎
「本格焼酎」の呼称
「指定の原料」と麹を使用し、水以外の添加物を一切使用しない
*単式=旧式、連続式=新式、甲・乙の分類が単式蒸留焼酎が劣っているという誤解を生むとして関連業界から「本格焼酎」の呼称が提唱され1971年に認可、2002年に「本格」を名乗る基準を厳格化し現在に至る
地理的表示
壱岐(長崎県壱岐市) 米麹1/3、大麦2/3、地元の地下水を用い単式蒸留されたもの
球磨(熊本県球磨郡人吉市) 米(ジャポニカ種)100%を原料に球磨川の伏流水である地下水で仕込まれ単式蒸留されたもの
琉球(沖縄県) 琉球泡盛はタイ米(インディカ種)、黒麹菌を用い原料の米をすべて麹にして一度に仕込む「全麹仕込み」で醸し単式蒸留する
全量を3年以上熟成させたものに限り「古酒(クース)」の表示が可能
薩摩(鹿児島県、ただし奄美市および大島郡を除く) 米麹あるいは鹿児島県産サツマイモを用いた芋麹、同じく鹿児島県産のサツマイモと水が原料の醪を単式蒸留した