2回目になります。教本は2023年版と2024年版を見比べながら更新していますが、教本自体の間違えもあります。ソムリエ協会のHPに正誤表がでてくると思いますので、チェックましておきましょう。そして、2023からの変更点は重要度にかかわらず変更があった旨記載していきます。
そして、このブログは独学でも合格できることを目標にしています。
教本と、このブログの内容を照らし合わせて勉強してくださいね。
山崎和夫先生のワイン受験.com、Sommelier For Free(YouTube)、佐々木健太のサイバーワインスクール(YouTube)などは大きな助けとなるでしょう。
新型コロナウイルスの感染蔓延に伴いオンラインでのスクールもたくさんあり、もはや独学でという時代ではないのかなと思いますが、このブログは自分の勉強のためにも続けますので参考にしていただければ幸いです。
ワイン受験.comはぜひ登録してどんどん問題を解いてください。項目別の問題は同じようなものがでるので、解答選択肢自体を覚えてしまって勉強になりません。はやく通過して100問の模擬試験をどんどんやって、週毎の平均点の伸びを確認していくようにしたほうがいいように思います。
p18~
ワインの醸造
ワイン醸造の基礎
①亜硫酸について
ワインに含まれる亜硫酸の形態は教本記載の4形態があります。遊離亜硫酸がどれに当たるのか要チェックです。
・貯蔵中のワイン管理では亜硫酸濃度を維持することが重要(遊離型亜硫酸濃度で30ppmが目標)
・遊離型亜硫酸でも静菌効果が強いのは活性型亜硫酸(ワインのpHにより大きく変化する)
②酵母
ブドウ中の糖分は酵母によりエタノールと二酸化炭素に分解される(アルコール発酵)。
酵母はサッカロミセス・セレヴェシエに分類される。
一般にはフリーズドライした培養酵母が用いられる。
伝統的産地などではブドウの果皮についている酵母や醸造所の環境にいる酵母(土着の酵母)で発酵させることがある。
③乳酸菌
ブドウに含まれるリンゴ酸は乳酸菌により乳酸と炭酸ガスに分解される。乳酸菌は空気中に浮遊しておりワイン中で自然に増殖するが、酸の高い果汁やワインでは乳酸菌が増殖しにくいため、白ワインの場合にはフリーズドライの乳酸菌を利用することで速やかにマロラクティック発酵が進行する。
④マロラクティック発酵
果汁やワインに含まれるリンゴ酸が乳酸菌により乳酸と炭酸ガスに分解する発酵。副生産物としてヨーグルトなどの乳製品系の香りを持つダイアセチルを生じる
マロラクティック発酵の効果
・ワインの酸味がやわらげられまろやかになる
・ダイアセチルなどの香りにより複雑性を増し豊潤な香味を形成する
・リンゴ酸がなくなることで瓶詰め後の微生物学的安定性が向上する
発酵・貯蔵容器
各タンクの特徴をつかみましょう。
ここに樽育成という言葉がでてきます。樽熟成とちがうの??
育成とは醸造家が狙ってそうすることから育成と言って、熟成はワインが勝手にそうなったということで結果は同じです。主体がどこにあるかってことですね。
①ステンレスタンク
白ワインは酸素に触れる面積を減らすため縦長が多く、赤ワインでは果帽が液に浸りやすいよう寸胴型が適している。
利点
・熱伝導性がよく温度管理が容易
・衛生管理が容易
②コンクリート・タンク
木桶同様保湿性がよく、木桶より内部の殺菌、清掃がしやすい
③木桶
赤ワインの発酵の際、木桶を使うことがある。発酵の際は上部の蓋を外し、開放状態でブドウを投入する。木桶の上部からピジャージュ(先端に円盤のついた棒で果帽を液中に押し込むこと)する。大型のタンクではルモンタージュ(タンク下部から発酵中のい果醪液を抜いてタンク上部から散布し循環する
ルモンタージュの効果
・果醪液への酸素供給
・糖分、酵母、温度の平均化
・果皮、種子からのフェノール類その他の成分抽出
④オーク樽
ボルドーで使われる樽はバリックと呼ばれ225ℓの容量
ブルゴーニュで使われる樽はピエスと呼ばれ228ℓの容量
a.樽育成(エルヴァージュ・アン・トノー)
発酵を終えたワインんをオーク樽に移し替え、樽の中でワインを育成する
樽育成の効果
・木目からの酸素との接触新樽ほど酸素透過性が高い(目詰まりしていない)
・樽からの成分抽出(タンニンなど)
・赤ワインの色調安定
・風味の複雑化
b.樽発酵
樽の中に果汁を入れて発酵させる工程
c.オーク樽の種類
フランスのトロンセ、アリエ、リムーザン、ヴォージュが有名なオーク材の産地
ヨーロッパのオークはタンニンが多め、ヴァニラ香やココナッツ香は控えめ。アメリカのオークはタンニンは少なめで、ヴァニラ香やココナッツ香は強め
詳細はp23の図2を参照
フレンチ・オーク材の産地 トロンセ、アリエ、リムーザン、ヌヴェール、ヴォージュ、ブルゴーニュなど
d.樽材の自然乾燥(シーズニング)
切り出された樽材は2〜3年自然乾燥され、その間にヴァニラ香やココナッツ香が増える
e.樽のトーストにより抽出される主な香り
トーストの熱によりリグニンが分解されヴァニラ香をもつヴァニリンなどが生じる。トーストの度合いが軽いとタンニンの抽出が多くなる。強いと煙、コーヒー、カラメルなどロースト香が強くなる。トーストによりクローブやナツメグの香りを持つ化合物が生成する。
(オークチップについて)
2006年10月11日EU規則でEU圏内のワイン生産にオークチップの使用が認められた。一方、オーク樽での醸造を行ったワインについては、その旨指定の表記ができるようになった。
日本では2018年4月より酒税法改正により果実酒にオークチップを浸漬して香味を浸出することが認められた。
f.樽育成中の滓引き
樽育成中、赤ワインを新樽で1年半ほど育成すると約3〜5%目減りする。滓引きした上澄みや滓の部分はレギュラーサイズの樽より小さな樽などで貯蔵される。
g.樽の容量の違いによる影響
樽は大きいほど単位容量あたりの表面積が小さくなるため、樽育成期間中にゆっくりワインが熟成する。
⑤素焼きの壺(アンフォラ、クヴェヴリ)
クヴェヴリを用いたジョージアの伝統的な醸造法はユネスコの無形文化遺産に登録された
醸造法
赤、白、ロゼそれぞれの醸造法、醸造過程を覚えましょう。それぞれの単語は原語(読みだけ)ででることもあります。
ポイントは主発酵(アルコール発酵)を行う段階です。白ワインは皮の色が付いたら白になりませんから圧搾してジュースを絞ってから主発酵をするということです。対して赤は皮も一緒に主発酵を行うことで色づきます。色素、タンニンの抽出のことを醸しといいます。主発酵終了後に圧搾するということです。
ロゼには主に3つの醸造法があります
①セニエ法
黒ブドウを原料とし、赤ワインの醸造過程で醸しの途中で醸造タンクの下部から果汁を抜き取って発酵する。
②直接圧搾法
黒ブドウを原料とし、白ワインの醸造過程を経てワインを醸造する。黒ブドウを圧搾するのでそこで皮の色素が若干抽出され色づくということですね。
③混醸法
黒ブドウ、白ブドウを混ぜた状態で発酵させる。ドイツのロートリングなど。
オレンジワインの醸造法
ワインがオレンジの色合いでブドウの果皮を漬け込んだワインの総称。
・スキンコンタクトを行った上で圧搾した果汁を発酵
・赤ワインと同様に果皮ごと発酵し、発酵途中または発酵後に圧搾
一般に使われるブドウはリボッラ・ジャッラやルカツテリ、ピノ・グリや甲州など
ジョージアのクヴェヴリで発酵・貯蔵したワインは、より色合いが濃くなりアンバーワインと呼ばれる
様々な醸造法(テクニック)
・マセラシオン・カルボニック
カルボニックって炭素とか炭酸という意味ですね。縦型の大きなステンレスタンクに黒ブドウをそのままいっぱいに詰め込んで密封して数日置きます。下方のブドウはつぶれてジュースがでてアルコール発酵が始まり、それによる炭酸ガスが充満します。するとつぶれていないブドウではその内部で酵素反応が起きてアントシアニン色素が抽出されやすくなります。それを圧搾し主発酵を行います。過程としては白ワインのものですのでタンニンの抽出は進みませんが、色素は抽出されやすい状態になっているので、色のわりにフレッシュなワインができます。ボージョレ・ヌーヴォーを代表とする醸造法です。タンクに炭酸ガスを注入する方法もあります。
・シュール・リー
ロワール地方で採用されており、酵母による主発酵後、そのまま澱引きせず発酵槽の中に放置し翌年、その上澄みだけを取り出す方法です。
主発酵は酵母によりブドウの中の糖分がアルコール発酵することですが、自分でアルコール作って、最後は、そのアルコールで死滅して発酵がおわるというものです。死滅した酵母はタンパク質ですのでアミノ酸などのうまみ成分が残っています。それをワインに取り込む手法で、ミュスカデのように果実味の少ないブドウから味わいあるワインをつくる手法で日本でも甲州の醸造に使われるテクニックです。
余談ですが糖分がアルコールに置き換わりますから糖分の高いブドウはアルコール度数が高くなりますね。シュールって上とか超とかいう意味ですね。シュール レアリスムといえば超現実主義ということです。
・スキン・コンタクト
白ワインの醸造テクニックで、圧搾する前に果皮をそのままにして果皮からの香り成分などを抽出する方法です。多少色も濃くなります。スキン・コンタクトはおおよそ24時間以内で醸造家の狙いに応じて行います。放置するとアルコール発酵しちゃいますので、低温で行います。
・コ・イノキュレーション
マロラクティック発酵の一つ。アルコール発酵の開始と同時に乳酸菌を添加しアルコール発酵の終了と同時にマロラクティック発酵も終了させる。アルコール発酵が何らかの理由で遅延すると、糖分が残った状態でマロラクティック発酵が始まり酢酸を生成する可能性がある。一方、マロラクティック発酵には温度を保つ必要があるが、コ・イノキュレーションではアルコール発酵による熱を利用できるため暖房に必要なエネルギーが節約できる。
・全房発酵
主に赤ワインで除梗の工程を行わずに、果梗を果皮、種子とともに漬け込んで発酵する醸造法。ピノ・ノワールの醸造で行われることが多い。
微生物由来の香り成分
・馬小屋臭 (一般にブレットなどと言います)
赤ワインで、ブレタノミセスという酵母によりブドウの成分が変換され生じる。ワイン貯蔵中の温度が高く、亜硫酸濃度が低い場合ブレタノミセスが増殖しやすい。また赤ワインをろ過せず瓶詰すると、瓶内で馬小屋臭が生じることがある
・酢酸イソアミル
発酵中に酵母が作る香気成分の一つ。バナナや華やかな果実の香りがある。ボージョレでマセラシオン・カルボニックを行うことでできる香りの一つ。白ワインを低温で発酵する際も生成する。清酒の吟醸香の一つ
スパークリングワインの製法
①トラディショナル方式
瓶内二次発酵する方法で、フランスのシャンパーニュの他、イタリアではメトド・クラシコ、スペインではカバと表記されたもの。
メトドって英語でいうメソッド(方法)ですね。カバはCavaと書いてありますが、スペイン語の発音はカヴァでなくカバです。
②シャルマ方式
二次発酵を大きなタンクでやってしまおうという方法でシャルマさんが発案しました。タンクで二次発酵することで空気に触れる機会が減るのでブドウのアロマが残りやすく、また、大量生産向きなのでコストも抑えられます。マスカットやリースリングなどのアロマティックな品種で使われる方法です。イタリアのアスティ・スプマンテなどにみられる手法ですね。
③トランスファー方式
瓶内二次発酵したワインを加圧したタンクに移して冷却、ろ過してから新たに瓶詰する方法です。シャンパーニュの製法はのちに学びますが、とっても大変!一気にろ過しましょという方法です。
・その他の方式
①メトード・リュラル(田舎方式)
主発酵中のワインを瓶詰しちゃう方法。主発酵するということは炭酸ができますから、それを密封すればいいじゃんという方法です。
②炭酸ガス注入法
ワインに炭酸ガスを注入するという方法
各種醸造法
・セニエ
ロゼワインの製造法の一つ。破砕した黒ブドウのマストから液体部分を分離する操作
・マセラシオン・ア・ショー
マストに熱を加える赤ワインの醸造法
・クリオエクストラクシオン(氷果凍結圧搾)
収穫したブドウ果房を凍結させ、圧搾、糖度の高い果汁を得る方法
・逆浸透膜による濃縮
ブドウ果汁から水を除くことで糖度や酸度を高めることができる
・常温減圧濃縮
減圧状態で沸点を低くし常温でマストから水分を蒸発させ濃縮する
・ミクロ・オキシジェナシオン
発酵中あるいは貯蔵中の赤ワインに酸素の細かい泡を吹き込む方法。色素の安定化、マストまたはワインが還元的になることを防ぐ
・ノン・フィルトラシオン
無濾過。ワインの厚みや味わいの複雑味を出すために行う。
・ノン・フィニング(ノン・コラージュ)
無滓下げ。
安定化処理
・滓引き(スーティラージュ)
発酵が終わったばかりのワインは浮遊物で濁っている。これらの浮遊物が沈殿したものを澱と呼ぶ。これを取り除くため上澄みを別の容器に移し替える。これを澱引きという
・清澄化(コラージュ)
ワインを透明にするため、必要に応じて清澄剤を使用
伝統的に使用される清澄剤は卵白、タンニン酸、ゼラチン、ベントナイトなど
・冷却処理
瓶詰め後に酒石が大量に析出しないよう瓶詰め前に冷却処理をすることが多い
・濾過(フィルトラージュ)
瓶詰めに先立って清澄化を行った樽やタンクからワインを移動し、珪藻土濾過器やシート濾過器で濾過を行う。
包装工程
(1)包材
①ガラス瓶:コルクを打ち込む仕様とスクリューキャップ仕様のものがある
②PET:清涼飲料水で多く使われるPET素材のボトル
③BIB(バッグ・イン・ボックス):カートン製のボックスの中にプラスチック製の袋が入っている
④クロージャー:天然コルク(一定の割合でコルク臭(ブショネ)が発生)、圧搾コルク(ブショネの発生が極めて低く抑えられる、ディアムなど)、合成コルク、スクリューキャップ(スティルヴァンなど)、その他(ヴィノロック、ガラス栓など)
(2)溶存酸素管理
①溶存酸素(DO):一定の酸素はワイン中に溶け込む。徐々にワインを酸化させるが少なすぎると還元的な匂いが出る(DO=0.5~1.0mg/Lに管理して瓶詰めすることが多い
②窒素パージ:DOが高い場合、窒素を吹き込むことで減らすことができる
③ヘッド・スペースの酸素(HSO):ワイン液面とクロージャーの間の酸素量(コルクよりスクリューキャップが多くなる)。瓶詰め時に窒素や炭酸を吹き込み減らすことができる
④ボトル内の全酸素量(TPO):DO+HSO
⑤ワインの保存
残ったワインの保管
a.空気を可能な限り抜いて減圧状態で保管(バキュパンなど)
b.ガスを吹き込んで酸素濃度を減らす(コラヴァンなど)
窒素やアルゴンガスなど。日本では2019年にアルゴンガスの使用が認められた
概論の部分は初めてで理解できないことも多いかもしれませんが、勉強を進めていくと、わかってきます。時々、概論に戻って必要箇所を読んでください。