テイスティング(ソムリエ/ワインエキスパート試験対策) | ワインの部屋 知識があればワインはもっと美味しい❤️

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出会ったワインを勉強も兼ねてちょっと深掘り。
毎日、ワイン開けるわけではないので、ないときはソムリエ/エキスパート試験対策や日本ワイン検定の話も織り込んでいきたいと思います。

ここは二次試験で重要となる項目です。

テイスティングは香りをとる、口に含むという実際の技術が重要と思われるかもしれませんが、それを共通言語で表現する、また分析するということで、それ以前の座学は非常に重要で、実際のテイスティング技術の向上に必要なことですので、しっかり見ていきましょうね。

とはいいつつ、ここでは一次試験で必要なことをあげていきます。

 

テイスティングのワインの提供温度

赤ワイン16~17℃、白ワイン、ロゼワインは15℃、発泡性ワインは8℃が望ましい

 

外観

1.濃淡 ブドウの成熟度、ワインの濃縮度

抽出の度合い、赤ワインの場合は濃淡から顆粒の大きさ、果皮の厚さを推測できる

 

2.色調 ワイン全体の特徴、熟成度

ワインの液面の色調が一様で縁に青みが見える(白ではグリーン、赤では紫)は若い状態

ワインの液面の色調にグラデーションがあり、縁に茶色が見える(白では黄金色から琥珀色、赤ではオレンジからレンガ色)は熟成した状態

 

3.輝き 酸度と関係

酸度が高いと色素が安定し輝きが強くなる、若さを保っているワイン(もしくは嫌気的な状態)でも輝きが強くなる

発展的もしくは熟成したワインでは輝き具合が下がる

 

4.清澄度 ワインの健全性をみる

 異常が生じると混濁するが、”ノンフィルター”、”ノンコラージュ”、または低亜硫酸、好気的な造りでは健全でもやや濁っていることがある。酸化熟成とともに清澄度は下がる

 

5.粘性 アルコール度、グリセリンの量  脚(ジャンブ)、涙(ラルム)

高い成熟度のブドウから造られたワイン、残糖分の多い甘口ワインなどは粘性が強い

 

6.泡立ち 発酵により生じた炭酸ガスが抜け切れていないスティルワインなど

スパークリングワインの泡

粒(ブレ) グラスの底から立ち昇る泡の上がり具合や粒の大きさを判断、瓶内二次発酵では泡の粒が細かい

ムスー(泡)上からみた泡の様子、持続性、きめ細やかさから瓶内熟成の長さなどを推測

 

7.まとめ ブドウの成熟度とワインの熟成度合い、気候、醸造方法などを推測する

 

香り

第一のアロマ 原料のブドウに由来する香り

”果実”、”花”、”スパイス”、などの香り

*教本では第1アロマが強く感じられるブドウを「アロマティック」というとありますが、各国でアロマティック品種の定義は違う

 

第二のアロマ 発酵段階で生まれる香り

”キャンディ”、”吟醸香”→低温発酵

”バナナ”→マセラシオン・カルボニック

"バター”、”クリーム”などの乳製品、”生のアーモンド”、”杏仁豆腐”→マロラクティック発酵

”ドライイースト”、”白カビ”→酵母由来

*テイスティング用語の”アーモンド”は一般に”生の”アーモンドを指す

 

第三のアロマ(ブーケ) 木樽内、瓶内での熟成中に現れる香り

”ヘーゼルナッツ”、”くるみ”、”蜂蜜”、”カラメル”→白ワイン、特にフロール(産膜酵母)熟成をしたワインや貴腐ワイン

”紅茶”、”タバコ”、”枯葉”などの植物系、”キノコ”、”腐葉土”、”森の下草”などの土系、”干し肉”、”熟成肉”、”なめし革”、”ジビエ”など動物系→赤ワイン

”ヴァニラ”、”ロースト”、”スパイス”→木樽熟成による

”トースト”、”キノコ”、”ブリオッシュ”→長期瓶内熟成したスパークリングワイン

 

味わい

前半

1.アタック 口に含んだ第1印象。ワインの強弱

 

2.甘味 ワインの残糖分、熟度の高いブドウ由来の果実味、アルコール、グリセリン、木樽の成分

 

中盤

3.酸味 ブドウ品種の個性、産地の気候、地勢

 

4.アルコール 味わいに甘味やヴォリューム感、余韻、骨格を付与

 

5.ボディ 甘味、酸味、アルコール、渋味のバランスを体型で表す。

「スリム」「がっしりとした」「グラマー」など

 

後半

6.苦味 ブドウの完熟度の高さ、フェノール類に由来する

 

7.渋味 タンニンは赤ワインの味を構成する重要な要素

 

8.フレーバー ブドウ品種に由来するもの、発酵、熟成に由来するもの

 

9.余韻 ワインを飲んだ後に残る風味。ワインのポテンシャルが判断できる

 

・2024年教本のp806の赤白ワインの官能表現チャートを頭にいれましょう

・p811以降の唎き酒用語は原語を問われることがあります。一度、目を通しましょう

 

アロマ化合物

・ワインに含まれる香り成分は数千以上あると言われる

・香りの成分には人により感受性が異なる

・ブドウ品種由来の香り(第1アロマ)は前駆体(プレカーサー)として存在するものが多く

ア)ブドウの中で香りを持つ形で存在する

イ)前駆体として存在し、発酵中や貯蔵中にアロマ化合物に変換される

 

p808〜809表より

マスカット香:リナノール

スミレ:β-イオノン

バラ:ゲラニオール

黒胡椒:ロタンドン

柑橘類(チオール系化合物)

グレープフルーツ、パッションフルーツ:3MH

カシスの芽、猫尿、ツゲ:4MMP

ベリー系(イチゴ):フラネオール

ヴァニラ:ヴァニリン

ヨーグルト:ジアセチル(ダイアセチル)

 

香りを持つ化合物の概要

1.品種香(第一アロマ)

チオール化合物

ソーヴィニヨン・ブランの香りとしていくつかのチオール化合物がみつかっている

主なものは3MH甲州にも含まれる

グレープフルーツやパッションフルーツ、猫尿など濃度によりニュアンスが変わる

②テルペン類

リナノール:マスカットやリースリングに含まれる(リナノールはコリアンダーシードに大量に含まれる)

ゲラニオール:ゲヴュルツトラミネールに含まれる

③フラネオール:イチゴの香りを持つ

ヴィティス・ラブルスカのブドウに多く含まれる、マスカット・ベーリーAにも多く含まれる

ロタンドン

シラーに含まれる胡椒の香りの元となる物質。グリューナー・ヴェルトリーナーなどにも含まれる

⑤IBMP(イソブチル・メトキシピラジン)

カベルネ・ソーヴィニヨンなどボルドー原産のブドウ品種に多く含まれる。青臭くピーマンを連想させる香り

 

2.微生物由来の香り成分(第二アロマ)

①馬小屋臭

ブドウの発酵途中、樽やタンク内での貯蔵中にブドウに含まれる成分をブレタノミセスと呼ばれる酵母が変換することで生じる。ブレットと呼ばれることも多い

②酢酸イソアミル

発酵中に酵母が作る香気成分でバナナや華やかな果実の香りがある。ボージョレでマセラシオン・カルボニックを行うことで出る香り。白ワインを低温で発酵することでも生成する。清酒の吟醸香の一つ。

③揮発酸(V.A.)

ワインに含まれる揮発酸の大部分は酢酸で、アルコール発酵の際一定量生じるが濃度が高いと不快な匂いとなる

対策

・貯蔵中の亜硫酸管理により好ましくない微生物の増殖を防ぐ

・ワインを密閉容器に貯蔵し、微生物が増殖しにくい環境を保つ

・低めの温度で管理する(微生物は増殖しにくいがワインの熟成もしなくなる)