まずはいつも通り3月の前半(15日まで)に見た映画のまとめをしておきます。3月の前半15日間で見たのは以下の11作品。うち4本の映画を岐阜で見ております。岐阜・柳ケ瀬の“昭和の映画館”ロイヤル劇場へは3週連続で出かけての鑑賞となりました。本日のブログ記事は2月に再々見したATG映画『祭りの準備』です。ロイヤル劇場(料金は一律600円)。

 

 @シネマスコーレ

『トータル・リコール 4Kデジタルリマスター』(1990年、監督/ポール・バーホーベン)

 @名古屋シネマテーク

『バッファロー'66』(1998年、監督/ヴィンセント・ギャロ)

『地獄の警備員 デジタルリマスター版』(1992年、監督/黒沢清)

 @ミッドランドスクエアシネマ2

『野球少女』(2019年、監督/チェ・ユンテ)

『花束みたいな恋をした』(2021年、監督/土井裕泰)

 @ロイヤル劇場 <岐阜>

『遠雷』(1981年、監督/根岸吉太郎)

『彼岸花』(1958年、監督/小津安二郎)

 @伏見ミリオン座

『心の傷を癒すということ 劇場版』(2020年、監督/安達もじり)

『レンブラントは誰の手に』(2019年、監督/ウケ・ホーヘンダイク)

 @シネックス <岐阜>

『ワン・モア・ライフ!』(2019年、監督/ダニエーレ・ルケッティ)

『藁にもすがる獣たち』(2020年、監督/キム・ユンワン)

 

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岐阜・柳ケ瀬の“昭和の映画館”ロイヤル劇場の2月から3月にかけての上映は「ATG作品 青春映画 特集」という企画タイトル。1週目の黒木和雄監督の『祭りの準備』を高校時代に、2週目の根岸吉太郎監督『遠雷』は大学時代にそれぞれリアルタイムで見ています。それでも久しぶりにフィルム上映で劇場鑑賞したくて、2週続けて岐阜まで足を伸ばしました。

 

黒木監督の『祭りの準備』は私にとっては、自ら映画を見始めた高校時代の“原点映画”ともいうべき作品です。2017年に私の鑑賞映画の“オールタイム・ベスト10”をブログにアップしましたが、この作品は最初からほぼ“当確でした。「私の“オールタイム・ベスト10”」

 

映画は、脚本家・中島丈博の半自伝的な原作・脚本がベースになっています。昭和30年代の南国土佐を舞台に、町の信用金庫に勤める20歳の主人公・楯男。シナリオ作家になるという夢を持つ彼は、自分の家族や周囲の人々との関わりによって、その“脱出願望”は高まります。その悩む主人公の描写はコミカルな面もありますが、笑えない実感も伴います。あせる

 

祭りの準備 祭りの準備

 楯男の母ときよ(馬渕晴子)と、幼馴染みで楯男が心を寄せていた涼子(竹下景子)

 

主人公の“脱出願望”の大きな障害になるのが、息子を慈しみ育てたという母性の存在で、その後、憧れの存在だった女性も男女関係を結べば“母性”と同様の存在になるわけで…。

 

祭りの準備 祭りの準備

大阪から精神を患い戻ってきた隣家のタマミ(桂木梨江)、その兄・利広(原田芳雄)

 

周囲の朋輩には荒ぶる利広ですが、精神を病んだ妹には優しく、湯船につかった彼女の体を丁寧に洗ってやったりする。その利広の人間味が発揮されるのが、ラストの「万歳」です。

 

祭りの準備 祭りの準備

家を出た破天荒な父・清馬(ハナ肇)と、意外に父との関係がいい楯男(江藤潤)

 

市枝(絵沢萠子)とノシ子(真山知子)の間を行ったり来たりする父親ですが、主人公の楯男はそれを大きく恥じて否定的に捉えているわけではない。それはもしかたら、昭和30年代の高知という時代と土地柄なのかもしれませんが、この作品の背景にある“大らかさ”です。

 

そして、この映画を最初に見た10代の時も強烈な印象を受けた、楯男の祖父・茂義(浜村純)の自死に至るエピソード。老いた身の恋愛愛情とSEXを“老醜”と捉えて笑い、見放すことができないと若い時も感じましたが、その感情がさらに心に染み入るようになりました…。パー

 

『祭りの準備』(1975年、監督/黒木和雄、脚本・原作/中島丈博、撮影/鈴木達夫、美術/木村威夫、丸山裕司、音楽/松村禎三、編集/浅井弘)

祭りの準備

 


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