男はつらいよ 柴又慕情

松竹映画『男はつらいよ』公式サイト

 

名古屋駅前のシネコン、ミッドランドスクエアシネマは現在は全体で14のスクリーン数となり、名古屋で“一番”を誇っています。その7番スクリーンの劇場に35ミリ・フィルムの映写機をあえて備えたことは、以前に『夕凪の街 桜の国』のフィルム上映を見た際にブログに記事にしています。今回はその7番スクリーンで『男はつらいよ』の35mmリマスター版での復活上映会。

 

シリーズの48作品のうち厳選した6作品を、毎月1本づつ上映していくという企画です。上映期間は各月1週間の限定ですが、“月一(つきいち)寅さん”のコピーはなかなかいいですね。私が見に出かけたのはスクリーン未鑑賞だったシリーズ第9作『男はつらいよ・柴又慕情』。今年10月から始まり来年3月までの上映作品は、以下の通りですが、その後の継続については今回の“入り”次第なのでしょう。ミッドランドスクエアシネマ(特別上映料金1,100円)。

 

10月/第1作『男はつらいよ』(1969年8月、マドンナ/光本幸子) 

11月/第9作『男はつらいよ・柴又慕情』(1972年8月、マドンナ/吉永小百合) 

12月/第17作『男はつらいよ・寅次郎夕焼け小焼け』(1976年7月、マドンナ/太地喜和子) 

1月/第11作『男はつらいよ・寅次郎忘れな草』(1973年8月、マドンナ/浅丘ルリ子) 

2月/第27作『男はつらいよ・浪速の恋の寅次郎』(1981年8月、マドンナ/松坂慶子) 

3月/第32作『男はつらいよ・口笛を吹く寅次郎』(1983年12月、マドンナ/竹下景子) 

 

男はつらいよ 柴又慕情

 

以下は『男はつらいよ』公式サイトに記載の本編の内容紹介です。

 

「貸間あり」の札に憤慨して店を飛び出した寅さんは、不動産屋で下宿を探すが、案内されたのは、なんととらやだった。旅の空の寅さんは、福井でOL三人組と楽しいひとときを過ごし、柴又へ帰ってくる。三人組の一人で、どこか寂しげな高見歌子(吉永小百合)は、小説家の父・高見修吉(宮口精二)とのぎこちない関係に悩んでいた。そんな歌子が柴又を訪ね、寅さんは色めき立つ… 恋の矢

 

吉永小百合を迎え、適齢期の娘と娘を手放すことができない男やもめの父のエピソードが展開される。ベテラン俳優・宮口精二演じる修吉と寅さんのやりとりや、「本当の幸福」について真剣に悩むヒロインの姿が、さまざまな挿話のなかで描かれる。本作より二代目おいちゃんとして、松村達雄が登場。「貸間あり」騒動の不動産屋を、軽演劇界の佐山俊二が好演。

 

男はつらいよ 柴又慕情

 

日本映画のシリーズ作品の中でも“ギネス認定”の「男はつらいよ」は、ことに作品がパターン化された様式になっていると思います。私が公開時にスクリーンで見ているのは第15作の『男はつらいよ・寅次郎相合傘』(1975年8月、マドンナ/浅丘ルリ子)からで、この“初体験”はしっかり記憶に残っています。劇場鑑賞の最後になったのは第30作の『男はつらいよ・花も嵐も寅次郎』(1982年12月、マドンナ/田中裕子)あたりで、正直“終わり”は判然としません。あせる

 

1970年代の後半、お盆と正月の映画館が賑わう時期には東宝の「モモエ映画」、東映の「トラック野郎」、そして松竹の「寅さん」をセットで見ないと収まりが悪かったように思います。「トラック野郎」とはドラマのパターンがよく似ている「寅さん」シリーズですが、いずれのシリーズ作品も、いま見直せばロケ地がどこかということより、やはりマドンナ女優が識別の“目印”です。

 

そのマドンナ役として複数回の出演がある女優のひとりが本編の吉永小百合。本編出演後に第13作の『男はつらいよ・寅次郎恋やつれ』(1974年8月)にも出ています。この第9作に出演した時点で27歳ですから、まさにピチピチの若さに溢れた美貌で、寅さんでなくても“ほの字”になるのは間違いない。そんな彼女が“寂しげ”な面差しを見せるのは、父との関係に理由があるのですが、このあたりのシチュエーションは小津安二郎の『晩春』なのでしょうね。

 

また冒頭の夢のシーンは“長楊枝”の渡世人姿からすると、「木枯し紋次郎」の流行っていた時期なのかな…と想いが過去に飛びます。とらやの“おいちゃん”役を下條正巳以外で見ることが少なかったのですが、松村達雄は良かったですね。『男はつらいよ』シリーズはほとんど記事にしていませんが、シリーズ第1作・2作をDVDで見直した際の記事を添えておきます。パー

 

 

シリーズ第9作『男はつらいよ・柴又慕情』(1972年、監督・脚本/山田洋次、脚本/朝間義隆、撮影/高羽哲夫、美術/佐藤公信、編集/石井巌、音楽/山本直純)

男はつらいよ 柴又慕情

 


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