iware-8940さんのブログ -10ページ目

アンドロイドばぁば

第九話

※鯛我家。

バックスを遠隔操作する西岸に誘われ、美瑠紀は衣服に似合わぬ浜辺を歩いていた。バックスの背中を見ながら西岸の声を聴く。

「何だか違和感あるんですけど」

「すまんなぁ」

バックスの微動もない無表情に、関西弁が似つかわしくない。

「でも嬉しい」

「ん?何が?」

「だってさ、その喋り方、生で初めて聴いた」

「あ…そんな感想か」

「おじさん。って可笑しい…」

バックスを「ばぁば」と呼ぶまでに打ち解けていた家族に比べ、美瑠紀はクールに構えていた。

「重ね重ねすまんな…。こういう状況で、お嬢ちゃんに頼み事しなきゃならんのは…おいちゃんも忍びないんや」

「私に頼み事?」

「あぁ、大事な話なんや…」

「………」

美瑠紀はただならぬ西岸の空気に言葉を失った。

「何や驚かせてしもたか…な」

「何か知らないけどやるっ」

美瑠紀は顔が一気に赤らんだ。

「ふっ何や…もの解りのいいお嬢ちゃんやな」

「ねっおじさん!何すればいい!」

「まぁそんなに早まらんといてくれるか」

「ねぇ教えてよ」

「相当退屈しよるな」

「………ん」

「図星やな」

「だってさ、ばぁばって進化してるんでしょ?」

「ん…いかにも」

「ならさぁ、バァッて…何か凄いの見たいし」

「まぁ気持ちは解らないでもないけど、とりあえず…それは本意ちゃうねや」

「ちゃうねや?」

「違う…いうこと」

「なぁんだ…」

「そうなる前の頼みや」
「ん?」

「バックスをサポートして欲しいねん」

「つまり?」

「バックスの右肩に触れてみぃ」

「右肩?」

「少々荒いが、堪忍な」

西岸が言いかけたと同時、美瑠紀は言われるままに触れた。
すると(カシャッ)バックスのコスチュームが破れてマジックハンドが飛び出してきた。
美瑠紀は驚いてぐらつきながらようやく踏ん張った。

(ウィィィンカシャッ)

マジックハンドは美瑠紀の前頭部を挟み、微量な電磁波を送り出した。
身動き出来ない。
自由を奪われた状態にありながら。

「ひゃあ…ナニ?カッコイイ…」

直立状態で場違いな感心をする美瑠紀。
その内に電磁波が、綿密に練られた部位に向けて流れ込む。

「あぁ…………。」

バックスの能力から様々な研究の成果。
オプションの操作方法。 それに伴う危険性。
回避策。
「忍者」と呼ばれる組織の不穏な行動パターン。
それを電気信号化した膨大な情報が、約30秒で美瑠紀の海馬へ流れた。
(カシャッウィィィン)
「はぁ……はぁ、はぁ」
「大丈夫か?」

「はぁはぁ…ダイジョブだよ」

「やっぱりや、お嬢ちゃんはただ者やないな」

「……………どういう、こと?」

「パーソナル知能の持ち主っちゅうこっちゃ」

「……パーソナル知能」

「まるっきり特別言う訳やない…が、君の海馬にインプットした情報はPCでも大容量や、それを…例えいっときでも海馬に記憶したんや、それを引き出すのは君の能力やし自由や…必要とあらばだが」

「何か…もやもやする」

「少々荒かったさかいな、ちょっとだけ辛抱しててんか」

「あれ?おじさんの言葉に違和感がなくなってる………」

「ついでに関西弁も入れといた」

「うっ気持ち悪ぅ」

その場に倒れ込む美瑠紀。バックスは静かに抱え上げる。

「静かに連れて行くんやで…」






続く

アンドロイドばぁば

第八話

※科学警察特殊班。

「それで…。忍者達の動き掴めたか」

苦虫を噛んだ村上が、班長を睨む。

「奴らはまるで忍者ですよ。神出鬼没でして」

「馬鹿もんっ!!」

村上の激怒に班長がうろたえる。

「お前は何だ?………あぁ?!」

「はっ科学警察特殊班、班長!田垣です!」

「科学警察ならっ…徹底的に科学を使えよ!」

「はっ了解しました!」

「まったく…」

立ち去る部下の背中に舌打ちをした。

(ピピッピピッ)

村上の端末が3D投影したのは西岸 薫 のにやけた顔だ。

「よっ毎度、」

「ふざけるな」

「そないな辛気臭い顔、見せんといてくれ」

「俺は元々温和な性格だ、こんな顔に*♪¥は」
「落ち着けっ舌ぁ回っとらんやないか」

「………」

「BAX2にお前のデータ、インプットしておいたぞ」

「お前…協力してくれるのか」

「世界平和の為やっ」

「…わかってる」

「コレがコード番号だ」

3Dで投影された侵入コード。

「そっちのデータを直接BAXに送信すれば独自に捜査するように設定しておいた」

「すまん…カール」

「あっちなみにな」

「何だ」

「バックス2号の出先は、鯛我武満の家や」

「……それ本当か?」

「ホンマや」

西岸はそういうと一方的に通信を止めた。

※忍者アジト。

デスクを突き合わせた各国の幹部と側近たち。

「ワシらが世界を掌握するのに邪魔な存在は全て排除するべきだ」

「それでも!手段は選ぶべきだ」

「そんなチンタラやってたんじゃ、いくら無能なアイツらでも、やがてこっちの情報を入手する」

「手荒過ぎだ!子供を手に入れたければ電波で誘導すればいい」

「バカが、そんな時代遅れな方法ではアジトを教えるようなもんだ。」

「…………。」

「それより」

「あの物体の正体、判ったのか」

「それだ」

考えもしてなかった事態に固唾を飲み込む忍者達だった。

「アンドロイドです」

ひとりの側近が答えた。
「まさか!」「どうするんだ!」「驚異だぞ」
「戦闘用か」

ひと通り幹部らが言いたい放題した後で別の側近が答える。

「いえ、家庭用アンドロイドです」

「とはいえ…そいつのエネルギー源が問題です」

「どういう意味だ」

「廃絶されたはずのプルトニウムです」

「何だと!」
「気違いだ!」
「何てことだ」

幹部らの異国語は同時通訳されアジトに響いた。

※鯛我家。

いつものように美瑠紀と瞬はばぁばに纏わり付いていた。そして変化に気付くと。

「ねぇ」

武蔵に問い掛ける美瑠紀…。

「何だミル」

「ばぁばの髪の毛?」

「銀色じゃなくなってきてるぅ」

瞬は無邪気に言った。

「あ、そうかぁ…?」

「ほらっ前は光るくらい銀だったでしょ?」

「言われてみれば…」

銀に栗色に染まる髪が根元から混ざり始め、それどころか来た時よりも明らかに伸びてきている。

「凄くリアルだな」

「どうして?どうして安藤さんなのに」

わざとちゃらける瞬を飽きれ顔で見る美瑠紀。

「アンドロイドだよ!」

「何か…リアル過ぎて恐いな」

武蔵は少しだけ身震いして、無言でお茶をすする武満に視線を投げる。

「でもさ、ばぁば…進化してるって事でしょ?」

「まぁ…な」

「じゃ、もっと色んなこと出来ちゃうんじゃん」

「出来ちゃうじゃんて」

武蔵は素直に喜べない。 何かを思案する武満。

「よぉ、お嬢ちゃん」

例の如く、西岸がばぁばの口を電話代わりに、鯛我家の食卓に入り込む。

「はっ」「何だよ!」

「またお前か!」

黙っていた武満が突然声を荒げる。

「皆さんお揃いで」

「食事中だ」

「何や…案外質素やな」

バックスが腹話術の人形みたく唇を動かす。

「なぁ頼む…もっと別の登場してくれないか」

「何やな…笑いも理解出来んようやな」

「笑いのネタにするな」

「今日の用はお前やないで」

「何だよ」

「お嬢ちゃん?」

「はい?」

「お嬢ちゃんに用があるんや」

「ミルに?」

武満自信、自分には西岸のプランが理解出来ない。それこそ美瑠紀の能力に頼るべきだ。武満は込み上げる想いをぐっと堪える。

「父ちゃん?」

武蔵は、武満の表情に何かを感じ取った。






続く

☆いつもありがと☆

こんばんは(^-^*)/。時々にでも読んで下さる皆さん。

「ありがとう」
毎日それ励みに物語り綴っております。


多少なりとも皆さんそれぞれの、生活においての楽しみアイテムとなれてたら…凄く嬉しい。


「アンドロイドばぁば」 も第七話と進めることも できました。



正直、毎日即興で書き込む為に勢い変に歪んでしまわないかと不安感もあります。


故に、明日一日ゆっくりと休んでも少し練り上げてみたいと想います。


そのぶん遅れは取り戻しますのでよろしく^-'。