それでも僕は「中国化する日本」を選ぶ | ぶっちゃけ税理士・岩松正記のブログ

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仙台市の税理士、岩松正記が書く、起業・ビジネスネタを中心に、ときどき読感やセミナー感想など。
山一證券の営業、アイリスオーヤマの財務・マーケティング、ベンチャー企業の上場担当役員等10年間に転職4回と無一文を経験後に開業。
モットーは「一蓮托生」

こんにちは。仙台の税理士、岩松正記です。

井沢元彦さんの「逆説の日本史」以来の、超刺激的歴史解釈本に出会いました。
敬愛する佐々木俊尚さんが有料メルマガで勧めていた、これです。

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史/文藝春秋
¥1,575
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佐々木さんの推薦でなければ、反中反共の私が絶対に手に取ることのない
題名ですが(笑)、内容は媚中などではなく、非常に建設的なものでした。

本書は第10章の題名、「今度こそ『中国化』する日本」の方が、
内容を適切に表していると思います。


何なんだ一体?と思うかもしれませんが、本書で言う「中国化」とは
「日本社会のあり方が中国社会のあり方に似てくること」とのこと。


どういうことかというと、我々がかつて習った世界史で大変評価の低い
「宋」の国が、それ以前の統治システムをすべて覆すような、
実は大変「画期的」な王朝だったと位置づけ、
さらにその宋で導入された社会のしくみが、中国でも、
そして(日本以外の)全世界でも、現在に至るまで続いている

という仮説のもとで議論を展開していくのでした。

この議論の進め方が実に面白い。
先にも書きましたが、井沢元彦氏の「逆説の日本史」を読んで以来の
知的好奇心をかきたてる歴史書でした。

結論的な言い方をすれば、
日本独自の「近世」である江戸時代のやり方が終焉を迎えた結果、
日本社会がついに宋朝以降の「中国の近世」と同じような状態に移行
―「中国化」しつつある、というのが、本書のタイトルの本当の意味

なのだ、とのこと。

くどいですが、ホント、題名が悪いと思いますよ、これは・・・。


ネタバレにならない程度に、
歴史好きなら反応しそうなキーワードを書きますと

「どうして古代日本は科挙を導入しなかったのか」

「安っぽさ」こそ明治維新の本領

「中国化」と「再江戸時代化」

「より徹底した再江戸化」を行ったのが田中角栄

漢字とコーランこそ、人類史上最古にして最強のモジュール製品

世界の「中国化」が進む中、
日本だけは「新しい江戸時代」の基本構造を改めないまま、
ダラダラと昭和最後の10年間を過ごしてしまった

などという内容です。

一見しただけで、大変刺激的な言葉使いだということがわかり、
興味が駆り立てられるのではないでしょうか。


しかしながら本書は、ただ過去の分析をするだけではなく、
未来への展望をも示しています。

つまり、歴史から学べば、将来へ向けてこうした方がいい、
というところまで踏み込んでいる。


私なりの解釈では、本書は、
最近増えている起業論やノマド論にも通じるような、 
国や組織にとらわれない個人としてどう生きなければならないか
ということを我々に投げかけているのではないかと思います。

 国家の犬 国家資格者である私などにとっては、
非常に考えさせられる、それでいて大変示唆に富んだ内容でした。

ホント、題名で損していると思いますが(笑)、これはお勧めの一冊です。
中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史/文藝春秋
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  *題名はホッテントリメーカーで作りました。